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聖約のスレイ  作者: ネツアッハ=ソフ
3,おしまいの契約
23/23

グランドエンディング

 原初世界、何処までも()てしなく広がるその世界の中央で彼は地面に一人(すわ)っていた。


 彼は……いや、性別すら存在しないその者は果たしてどう表現(ひょうげん)すべきだろうか?


 ともかく、彼は地面に一人ぽつんと座っておりただ星空を(なが)めていた。一人、ただ微笑みながら原初世界の空に浮かぶ満点の星々(ほしぼし)を眺めていた。


 原初世界を構成する粒子は全て宇宙(うちゅう)だ。原初世界の森も、地面も、水も、星々すらもが全て無限の広がりを持つ広大無比な多元宇宙だ。


 無限の広がりを持つ多元宇宙が、更に無限大に(ひろ)がっている。それこそが、この原初世界だ。


 彼は、アーカーシャと()ばれた彼は星々をただ眺めている。彼の持つ神眼(しんがん)はその星々を構成する粒子たる多元宇宙に住まう一人一人の生命(いのち)すら見通す事が出来る。


 文字通り、彼の神眼に()えないモノなど存在しない。無限に存在(そんざい)する多元宇宙の、更に膨大極まりない数が存在する生命の営み。それを眺めて彼は微笑(ほほえ)んでいるのだ。


 そんな彼に、一人歩み寄る者が居た。シークレットチーフ、そう呼ばれた男だった。


「……ようやく()ける事が出来たようだな?アーカーシャ」


「貴方ですか。そうですね、私の負けです」


「どうだ?敗北した気分(きぶん)というものは」


「そうですね、いっそ清々(すがすが)しい気分ですよ」


 そう言って、互いに笑い合った。互いに清々しい笑みだった。


 そう、アーカーシャは自身の敗北を(みと)めて。それでも()れやかな気分だった。やはり、其処は彼なりの想いというものがあるのだろう。常人(じょうじん)には理解出来ないものが。


 そして、そんな彼を理解しているからこそシークレットチーフも()みを浮かべていた。


「全ての命は輝く(ほし)。その星々が放つ輝きこそを私は(あい)した……」


 ぽつりと、アーカーシャが呟いた。その呟きこそが、彼の本心(ほんしん)だった。


 全ての宇宙と生命を創造(そうぞう)した父であり、母であるアーカーシャ。彼は満天の星々の如く輝く生命たちこそを愛していた。それ故に、そんな輝きが無価値(むかち)であるなどと認めたくなかった。


 その価値を()にしたくはなかった。だから……


 だからこそ―――


「私は全ての命を分け隔てなく愛しています。だから、どうか生命達(みんな)よ。これからもどうかその命の輝きを(うしな)う事だけはしないでくれ」


 そう、(いの)りの言葉を口にした……


 全ての命は輝く星。そう、それ故に人々は何処(どこ)にでも行けるのだろう。


 その輝きを失わない限り。何処までも……

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