表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖約のスレイ  作者: ネツアッハ=ソフ
3,おしまいの契約
21/23

5,討つ

 怪物(バケモノ)同士の戦いは拮抗(きっこう)していた。いや、意外にも徐々にスレイの方へと傾き始めていた。その状況に初めて少年の表情が困惑(こんわく)へと変わる。


 何故?これは一体どういう事なのか?本来、どれほどの進化(しんか)を果たそうと始まりの怪物であるアーカーシャの立つ次元(ばしょ)へと到達するのは不可能(ふかのう)だ。何故なら、彼の創造した世界で生まれた異能や固有宇宙は全て彼の持つ力の劣化(れっか)でしかないから。


 だが、それでもスレイは追いすがる。食らいついてくる。まるで、そんな事など()にも介さないとでも言わんばかりに。まるで、そんなものは知らんとばかりに。


 この怪物(スレイ)は、それでも食らいついてくるのだ。


何故(なぜ)だ―――」


 思わず()れたその疑問。それに対し、少年の脳裏(あたま)に直接響くように声が聞こえた。


『———分かりませんか?』


「っ⁉」


 頭に響いた声。それは、アーカーシャという本来の人格(じんかく)だった。


 分かりませんか?そう、アーカーシャが少年(バケモノ)の頭に直接問い掛けてくる。少年はその表情を初めて明確な苦痛へと歪めた。それは、致命的な(すき)となる。


 当然、それを見逃(みのが)すようなスレイではない。


 スレイの斬撃が、少年の身体を袈裟(けさ)に断ち切った。


「がっ⁉」


 決着は一瞬だった。あまりにもあっけない幕引(まくひ)きに、少年は目をこれでもかと見開く。


 そんな少年に、再びアーカーシャの声が(ひび)いてきた。


『私が撒いた(たね)は、私の期待に応えて大きく芽吹(めぶ)いてくれた。貴方はそれを信じる事が出来ずに慢心をしてしまっただけの事です』


 ———馬鹿(ばか)、な。


 そう、声にならない声を上げ。少年はその人格を根幹(こんかん)から断ち切られ消滅していった。


 そして……


「ありがとう、貴方のお陰で私は本当の意味で(すく)われた……」


 そう言って、現れたのはアーカーシャ本来の人格(かお)だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ