2,それぞれの世界で
とある神造の世界にて―――
その世界は既に陥落寸前だった。いや、他のほぼ全ての世界は陥落寸前だった。だがそれでもまだまだ諦めきれない。諦めるわけにはいかない。
だからこそ、今此処に命を燃やすのだ。世界を、自分自身の大切な何かを守る為にも。此処で命を燃やし尽くす覚悟で挑むのだ。
それは決して無意味でも無駄でも無価値でもない。この全てに価値はある。
それを証明する為に、今此処に全てを賭けて挑むのだ。挑まねばならないのだ。
「魔王よ、まだ行けるか?」
「ふんっ、神王こそ腑抜けた事を言うなよ」
神王も、魔王も、竜王も、そして三人の人王も。全てを賭して命を燃やす。
とある並行世界の地球、日本———
其処でもやはり世界は陥落寸前だった。天地の全てを埋め尽くす魔物の群れ。だが、そんな中でも人々は未だ希望を捨ててはいなかった。
決して強がりなどではない。強がりでは済まされない。そんな強さが其処にあった。
「ほらっ、まだまだ敵はたくさん居るよ!もっと気合を入れて!」
「妹よ、お前そんなキャラだったっけか?」
「二人とも呑気にしゃべっている暇があるなら敵に集中してっ‼」
「「イエッサー‼」」
希望は潰えていなかった。
とある世界、統一王国———
「くっ、このままでは……」
既に、この世界も陥落寸前。騎士団も一般兵達も疲弊していた。もはや此処までか?そう誰もが諦めかけたその時。一人諦めない者の姿が其処にあった……
「皆、まだ諦めるなっ‼まだまだ我らは立っている‼生きているのだから‼」
「……っ」
それは、勇者と呼ばれた少女だった。その姿に、皆は奮起して再び立ち上がった。
そうだ、まだ終わっていない。まだ生きているのだから。なら、此処で終わらない。まだ、まだまだ自分は生きているのだから。諦める訳にはいかないだろう。
そう、命を燃やす価値は此処にある。




