プロローグ
そして、その日全多元宇宙の全ての星々。全ての世界で大規模な魔物の発生が観測された。
魔物の数は未知数。魔物の保有する力も未知数。全ての多元宇宙が一斉に崩壊の危機へと立たされ世界終焉への強制カウントダウンが始まった。
極めて大規模な魔物災害、一瞬にして多元宇宙のほぼ過半数が陥落したのは言うまでもない。その恐るべき脅威を前にして、人々の絶望は急上昇してゆく。
もう駄目だ。世界は此処でおしまい、約束された終末の日の始まりなのだと。人々が一気に諦めへと入るのも無理はない。しかし……
まだ、諦めない者達が世界には居た。
……とある神造の世界。
「まだだ、まだ諦めるな!人々よ、一丸となり世界を守れ‼」
神王の一言に、魔物の軍勢へと挑む者達。三人の人類の王が、竜王が、魔王が、そして神王がそれぞれの戦力を揃え魔物の軍勢へと挑む。その姿に、絶望していた人々も奮い立ち戦いへと入る。
……とある世界における地球、日本。
それは、天地を覆い尽くしてまだ余りある。異形の魔物達に、人類は襲撃を受けていた。
だが、それに抗う人々は確かに居た。
ある者は家族を守る為に、ある者は友を守る為に、そしてある者は自身の居場所を守る為に。
それぞれ理由は違えど、決意は同じだった。守る者の為に、今ある危機を排除する。そう、今此処に存在する危機を乗り越えんと人々は心を一つにしていた。
そんな中、彼等の姿はあった。
「おい、こんな状況でアイツは一体何をしているんだ?」
「先輩なら、この魔物災害の元凶を討ちに出たけど?」
「マジで?アイツ、そんな美味しい所を!」
「言ってる場合?二人とも、行くよ!」
「おうっ‼」
「はいっ‼」
とある三人の、呑気な会話だった。
……とある統一王国。
そして、この世界にも魔物の軍勢は押し寄せてきていた。
天地を覆い尽くす魔物の軍勢。その光景は、まさに天地を覆い尽くす黒い大波だろう。
天を、地を、そして宇宙の星々全てを覆い尽くす魔物の軍勢。その光景に、ある者は絶望し地に膝を着く。だが、その者を一人の少女が助け起こす。
「大丈夫、皆で一丸となって戦えば乗り越えられる」
「し、しかし……」
「今、スレイ達が敵の本陣へ乗り込み決戦に赴いているんだ。だったら、私達が膝を着いて諦める訳にもいかないでしょう?」
「……はい、そうですね」
その言葉に、膝を着いて絶望していた騎士の一人は奮い立つ。
決戦の時は、来た。




