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第3話　少女の姉

　ある日、どこかに出かけて帰ってきた妹が一つのコインを手にしていた。

　そのコインは魔法のコインで、何でも願いを叶えてくれるそう。

　神様がくれたんだって。

　信じられないけど、でも本当みたい。

　だって、色々な事ができるようになったもの。

　宿題も簡単に終わるし、ペットの散歩だってらくちん。

　おもいがけずに手に入った「幸運」の力はすごかった。

　だから私達は、何ができるのか知るために、コインの研究に夢中になった。

　けれど、妹はその力を独り占めしようとしたようだ。

　ある日、人気のない場所に誘い出された私は。近くのビルで行われていた解体現場から落下してきたコンクリートに押しつぶされた。

　けたけたと笑う妹の表情が、鮮烈だったわ。

　その時、私は死の間際になってようやく気が付いたの。

　ああ、私の妹はいつから人でなくなったのだろう。

　私もまたコインの力に魅入られていて、その変化に気が付かなかったのね。