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落掌  作者: 実嵐
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影写真

「それでなんですか?部長が来るように言っていたから少し驚いてはいたんですよ。」

「あぁ、黒岩幸吉についてのリークされた内容はなんやったんや。」

「それは津田事件の真相についてです。」

津田事件というのは有名な事件なのだ。津田海という男性が容疑者として浮上したのだ。彼は容疑について否定をしていたうえに、近い存在である奥さんも疑問を思っていたようだが、警察も検察も手を貸すことなくただ時間だけが過ぎていたのだ。

「津田海は拘置所で自殺したうえに奥さんである秋絵も有名どころの弁護士に相談したが、相手にされなかったこともあって幼い子供を残したまま自宅で自殺したようですよ。」

「その子供はどうなったんや?」

両親を亡くしたとなれば養護施設に向かったと考えるのが、妥当だろう。沼田によればその痕跡は一切残っていなかったことを疑問に思って近くの施設を調べ回ったのだという。

「施設に入る前に黒岩幸吉に引き取られていることが分かったんです。親戚が金目的で明け渡したんだと思ったんです。それから黒岩幸吉は困ったかのように私学の学校に通わせて同じようにしていたんですよ。」

それも高額な金がかかるということで有名な私学だったのだ。そこは弁護士や検事になった人も多かったのだ。その経歴すらも気にしたということにもなる。

「その子供の名前が分かるか?」

「確か・・・隆吾とか言ってました。隆吾って変わった名前じゃないですけど、その家族の名前とは会わないんですよね。異様にしか思えなかったんです。」

黒岩の長男は学、次男は勉といって何処かかっちりと感じてしまう名前が連なっている中に隆吾が含まれると違うように感じてしまうのだという。

「その子供を引き取った黒岩の態度が一変したみたいなんですよ。黙っていてほしいのか、近所じゃ腫物扱いをされているようですよ。偉そうな態度をしていたのに、あたりさわりのない会話だけしかなくなった以上に子供に触れる内容にはかなり敏感だったようです。」

特に敏感だったのは隆吾に関する内容だったのだ。家族そろうと隆吾だけ顔が違って見えることを同級生が告げると幸吉が激怒したのだという。笑い話では済まなかったのだろう。学校に訴えてその子供を退学へと導いたとまで言われているのだという。幸吉の家には異様なくらいの家族写真が飾ってあったのだ。家族については触れさせないようにしているのではないかと思う人もいたほどなのだという。

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