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落掌  作者: 実嵐
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終わったことになった時に進む

彼は今更ながらに気づいていたようでもあった。卜部良助にとっての思いというのがあったのだろうかと思ってしまったのだ。嘘に染まってしまった人間が改めるには時間がかかるといったところだ。

「俺もいずれハローナイスを売るつもりですよ。今のままで止まっていたとしても昔と変わらないのはわかっていますから。ただ受け入れるほどのお人よしがいるかといわれれば別ですけど・・・。」

「そこまで言うんですね。」

「俺はただの世間からにおいてもお荷物ですよ。軟弱な体制のところくらいか、障碍者を請け負って金を得ようとする輩くらいしか受け入れないですよ。俺は世間からも社会からも嫌われているんです。」

良助は進んでいくことの遅さに感じながらも間違えた道について悩んでしまっていたのだ。卜部はこのことを記事を書いてほしいと加賀美にいった。別段、面白い記事とかどうかではなく、せめて真実を描いたときの世間の反応が気になったのだろうかと思ったのだ。

「きれいな色に染まるのは簡単なんですかね。無理をするしかなかった人間もいるし、荒波や荒野に向かってわざと危険な行為をした人もいる。そんなことをしたとしても消えないことも見えなかったことも含まれてしまうんですよね。」

恨ましいことばかりを思っていたとしても考えてしまうのだろう。間違えたと気づいたときの行為が間違えてしまったのならと思うのだ。

「太陽と月のように存在する人間たちがこぞって何かを得ようとしているのだろうかと思ってしまったりするのですよ。いくら非科学的だと思ってしまったりするのだろうとしか考えるしかなかったのだろうと思ってしまったのだ。」

晴れた空を見て美しいと感じるか、ただ熱い日だと思うだけで済むかということでは終わらないのである。いくら時がたったとしても止まらないものに流されてしまうしかないという選択肢もあるのだろうから。嘘にもならなかったりするのだろうから。良助はうまいと感じることがあるのだろうか。

「ハローナイスについて話しますよ。実態くらいは容易に・・・。」

カフェは何処までも他人の居場所を作り出すことができるのだと思ってしまったのだ。卜部は車いすをかすかに動かした。そこに書かれていることが動いているようにもなってしまっているのだ。加賀美はボイスレコーダーのスイッチを見えぬように入れた。これは証拠として働いていくのだ。

「俺も本気になってきましたよ。」

卜部は過去も含めて話し始めた。

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