表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落掌  作者: 実嵐
72/149

見えぬ世界の終わり

「その当時はそれでよかったと思っていました。父親から褒められていたし、これで感じてしまうこともあったんです。事件が起きたときは恭介に対して恨んでいました。ですが・・・。」

良助はぽつぽつと打っている。自分自身の行いが週刊誌の記事に乗ったり、父親がしていた会社についても浮き彫りになったりしたときは1人になり、そして障害を持った状態でできることもあったのだ。そこで雇ってくれたのがハローナイスだったのだ。

「過去の経歴もあってか、ハローナイスで闇の時に使われる弁護士としても雇われていたので給料もよかったですよ。」

荻元光が培ったのは闇で逃れるための方法だったのだ。その知識をもって今はハローナイスにいるのだが、卜部が明かしたというのは全てを終わりにしたいと考えたりしていないのだろうかと加賀美は思った。今や弁護士という資格がなくなってしまったことも変わるきっかけになったのだろうかと思ったのだ。

「そんなことを言ってもいいんですか?」

「えぇ、俺なんて弁護士資格がなくなったらただの障害を持ったお荷物ですよ。特にハローナイスにとってはね。施設に入れて金儲けをすることができなくなってしまうんでね。」

行政に全てを明かす結果になってしまったので、近日において警察が乗り込んでくることになっているのを卜部は知っている。経営者である内藤丈太郎には言っていないのだというのだ。何故、明かさないのかと聞いてみると少しだけパソコンを打つ手が止まった。加賀美はその間にコーヒーを飲んだ。うまみを感じられるほどのコーヒーだった。

「それは・・・、俺を今、ハローナイスのお荷物にしたうえでやりだしたのは俺だと言い出すのが目に見えているからです。擦り付けることは簡単ですからね。」

内藤がやりたいと言い出したことだと彼はボイスレコーダーにとっておいたのだとも明かしたのだ。ばれないところにおいているので、彼は大丈夫だと声に出さずに言った。テーブルにあったアイスコーヒーが汗だけを流していた。彼は最初に出されている水を飲んでいる。

「生きているだけで迷惑をかけているっていう意味が分かったかって恭介が言いに来たかったみたいです。死ぬことも顧みずに出てきた恭介は俺に何かを言い来たかったのかなとも考えるんです。過ちは何処かで振り返らないと進まないんですよね。」

弟の死をそこまで重く受け止められるように変わっていることも驚きだったのだ。卜部恭介が伝えようとしていたことが聴きたかったと加賀美は思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ