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落掌  作者: 実嵐
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飲まれた世界

「羽鳥がとりわけ厳しいとかじゃなくて、文化部ってのは読まれる内容が偏ったりしてしまうこともあるんだ。だから、読んでもらうための方法として興味があるものを書かせているんだってさ。だが、これっぽちも大きな展開にならなかった。それが加賀美君のおかげで日の目を浴びることができた。それを無駄にしたくないんだよ、きっと。」

諏訪の言いたいことが分かった。政治家とかの話はマスコミがこぞって取り上げるので、文化部が取り上げる企画っていうのはかすかにも響かないのだろうと思ってしまったのだ。その土地に興味があるものとかいろいろあるのだろう。その相手を社会部に行かせたことにも罪悪感があるのだろうか、時折何処か寂しそうな表情を隠しながら言っていた。

「まぁ、羽鳥のことだからそんなことを思っていないんだろうけどさ。」

相沢は辞表を出す気持ちでいることを知ったのは企画が終わってからなのだという。記者としては烙印を押されているものがあるのだろう。諏訪が感じることがあるのだろうとしかならないのだ。

「相沢はそないな人間やったゆうことや。部長が気にすることはないで。」

「金城、そうは言うけどな。こっちは生活をかすかにでも預かっているようなものなんだよ。出まかせだけじゃ済ませられないんだ。」

口だけでなく、心すらも侵略してしまうのではないかと思ってしまった。金城は何処か遠くを眺めているようでもあったのだ。その態度に悩んでしまう部分があったのだ。諏訪に呼ばれた後に別のところにいた人に声をかけた。

「金城さんって相沢さんと関係が深かったんですか?」

「深いっていうものじゃないよ。教育係だったんだよ。失敗したときも金城が相沢のことをかばっていたりするんだから。」

相沢は手のかかる後輩だったのだという。社会部ということもあって警視庁に顔を出すことも覚え始めたところに手順を間違えたのか、偽の情報を流してしまったのだ。金城はそこにかかわっていないことが諏訪にもわかっていたので、諏訪は一度金城を相沢から離すことにしたのだ。地方で記事を書いていたがパッとしないこともあっても文化部に舞い戻ることを条件に戻って来たのだ。それでも活躍することができないことになったのだ。

「知らなかったことになるのだろうかなってな。」

「相談されたとか聞いたことありますよ。金城さんって結構面倒見がいいですから。」

涙を流す姿が見せているのかもしれないのだろうかと思ってしまう。

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