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落掌  作者: 実嵐
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うやむやにしておくかい?

会社につくと社会部は何処かあれていた。新たな大きな事件が発生したことによって人を割くことができないために諏訪が困っている様子だった。数人でやり切れる事件ではないことの証なのだ。加賀美はすぐに鞄を机に置き、諏訪の机まで駆け寄った。

「おはようございます。」

「おはよう。といっている場合ではないんだ。・・・ショッピングモールで化学薬品がまかれた。それによって死者がとんでもないことになっている。発生がショッピングモールが開いてすぐだったこともあってか、被害が拡大しているところなんだ。」

「それなら俺がそこに変わります。ブラックリストの件は他の人に行ってもらうのがいいと思います。」

加賀美は早口で言うと金城が後ろでその言葉を聞いていたのか、のそのそと諏訪の机の前へと来た。

「部長、それをしたらあかん。加賀美は俺にとっても姉貴にとってもこれまでの事件の被害を受けた人間にとってもブラックリストと処刑台の事件を任せたいんや。俺のエゴかもしれへんけど・・・。」

「金城がそういうんだったら彼はブラックリストと処刑台を任せている意味がある。ならば、必然的に離れてもらう必要はない。・・・ただ言えるのは使える記者には限りがあるってことだけだ。」

諏訪の緊張感の持った顔を彼は見つめた。目をそらすことができないほどに鋭く光っているようでもあったのだ。諏訪は少し考えるように腕を組んでいたが、そこからすぐに声を上げた。

「みんな、聞いてくれ。この事件には俺が加わる。下手な事件ではない分、この事件を担当することになった人間が警察に対する質問を一度考えていくようにすること、いいな。伊達な事件じゃない。死者の人数が膨れ上がった分、負担が増えたと思え。」

諏訪の言葉で担当になっている人間は大きな声を張り上げていた。加賀美はその様子を見た後に、金城の机に向かった。

「なんでそないなことを言ったんや、みたいな顔をしとるな。」

「はい。」

「ただでさえお前には期限がある。・・・それに俺はブラックリストと処刑台の被害者のこともわかっている。犯罪者や言うって殺されている。それだけやない。ヒーローになっている。そのヒーローを止めてれるのはお前しかおらんと思っている。荻元光の悪事を暴いたときのようにすがすがしくはいかへんがな。」

荻元光のことで記事を書いたとき、金城が言ったすがすがしさは全くなかった。ただうやむやにしたくないという気持ちだけだったのだ。その気持ちだけが書かせた。

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