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落掌  作者: 実嵐
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色の染める方法

金城の話を聞いていれば佐藤にとっての更生する場がなかったというのだ。佐藤は少年時代からたびたび問題を起こしてはそのままになっていたのだ。

「佐藤敏夫はもともと虐待を受けていたらしいんや。そこから逃げるために高校の時に就職して勤めたんやて。けど、そこで出会った悪からいけない情報を得てギャンブルやら借金やらするようになったんや。親言うっても放っていたこともあって自動的に縁は切れたようなもんやったらしい。」

「ジャッジマンが狙うのは佐藤です。彼にとって大切なのは正義です。正しさを示す場になりますから。」

加賀美はネットカフェのパソコンにボイスレコーダーに入っていた音声を流すためにイヤホンをつけた。何処か聞き覚えのある声から聞かされるのは何処か浮ついた理論を言う人だったのだ。正義のヒーローとして動いていかなければならないといっているのだが、声には覇気は感じられないのだ。正義感で動いているのか、それともまだかすかな罪悪感の元で動いているのかはわからなかった。

「これがジャッジマンか?」

「はい。須藤さんがボイスレコーダーで取っただけとか言っていましたけど、かなり鮮明に聞こえますね。」

「これなら警察も証拠として扱えるほどの品やな。須藤哲司とか言った刑事もかなりの腕の持ち主やったらしいからな。伊達に息子だというだけやないな。」

須藤哲司は警視庁にいたときにたびたび表彰を受けていた人物なのだ。哲明は喫茶店のほうを受け継いだに過ぎないが、警察に入ったとしたらきっと刑事として働いていたのだろうと思ってしまったのだ。

「そういえば、黒岩幸吉って聞いたことってありますか?」

「あるで。検察の中でなかなかの部類の人間やからな。裏では暴力団とかとかかわっているんやないかっていう噂が週刊誌に流れたときにはその週刊誌を力づくで止めたとかいう話や。その週刊誌の記者は死んだやで。一応自殺ということで処理されとって、一部は疑問を持った連中が押し掛けたほど大きな事件や。」

その週刊誌は止められておらず、続いているが、黒岩幸吉のことを扱うことは禁断として扱われているのだ。黒岩幸吉は検察としての立場を利用していること言われているのだが、今や誰も問えないのだ。ただ1人に限っては言えるといわれているのだ。

「黒岩幸吉を問えるのは黒岩隆吾だけだといわれているんや。幸吉に逆らったのは弁護士になった隆吾だけやからな。それに独立しているとなると戦いやすいやろな。」

隆吾からは聞かなかった話だった。幸吉もまた悪に染まってしまったのだろう。

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