つぶやきを元に
須藤はその時の写真は残せないにしてもと思い、素人にして気を張ってボイスレコーダーをつけていたのだ。
「その音声がボイスレコーダーに入っているので、パソコンに移して加賀美さんのところに行くようにしておきますよ。」
「有難うございます。」
加賀美はそう言って須藤が丁寧に入れたコーヒーを飲んだ。手の込んだ選びぬいた豆のブレンドされた味わいをしていたのだ。須藤は奥に引っ込んでパソコンの準備をしているのだろうか。カチカチと音を鳴らしているようでもあったのだ。パソコンに詳しいのは須藤の一番に仲が良かった友人がパソコンなどといった機械の関係に詳しかったのだ。連れという形で教わっていたのを須藤哲司に教えていたのもあって詳しくなったのだ。
「加賀美さん、使っていただいていいですよ。かなり使えるようになっていますから。」
彼に呼ばれていくとボイスレコーダーに声が載っていることを示すようになっていたのだ。須藤は店から店主がいなくなったら困るのでそのまますぐに戻って言ってしまった。仕事は素早くやっているようなのである。取引先から豆の注文をしているようでもあったのだ。彼は特定の農園から買っていることもわかるのだ。こだわった作りをしているのを現地で見ているのだろう。須藤のパソコンにあるボイスレコーダーの履歴を加賀美のスマホに入れた。映すことで何処かで役に立つかもしれないと思ったのだ。須藤もさすがだとしか思えなかった。刑事の息子として生きた証を残しているのだとも取れたのだ。
「須藤さん、映すことができました。」
加賀美はそう言って店のカウンターに戻ったのだ。カウンターには大学ノートが置いてあった。途中まで読んでいたのだ。哲司の見立てではかなりの立場をもっていることもあって、用心深く人とのかかわりを重要と思っている割には自分に自信がない環境にあったこともあって、ネットでの評価を重きをもっているのだ。その評価を表で表せていることもあるのだろう。あと、ヒーローだと扱われていることも重くないと感じているのだろうと思った。正義になれなかった正義のヒーローはネットによって生み出されてしまったのかもしれないとかすかに思うしかなかった。
「加賀美さんは違うんでしょうね。・・・もともと新聞社の記者として動いていることもあるんでしょう。」
「違うんですよ。文化部で伝統文化を担当していた歴のほうが長いこともあるのかもしれません。社会部に入ったのは最近でそのことが影響するのかもしれないです。」
加賀美はつぶやくように言った。




