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落掌  作者: 実嵐
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入れ替え

金子が言ったことが本当ならば余計に痛いところを突かれることも起こりえるのだ。金子から受け取った記事を見ると須藤哲明と名が入った写真があった。

「そこの喫茶店、2代目店主で父親が退職した金で喫茶店を開いたらしいんだよ。父親の仕事が刑事っていうのもあって立ち寄ったりもあるらしいんだよな。此処の喫茶店は料理にも力を入れているし・・・。」

「お前にとっていい店なんだな。」

「取材にいった後、何度か行っているかな。うまいナポリタンとかね。」

昔ながらのナポリタンの写真が載っていた。金子が言うにはトマトケチャップを多く使うというよりはホールトマトを使っていると感じるところがいいのだそうだ。金子から話を受けた後に再び記事を見た。父親は警察一筋だった時期もあったというが、刑事になって家庭に帰れない日があったりするのをよく思わなくなったそうだ。退職まじかになって父親には気になる事件が起きてしまったのだ。それを動いていないとは書かれてあるがそれが本当か思えないのだ。加賀美はじっと記事を見つめている。

「加賀美、お前の連載を託す奴が決まったから来い。」

羽鳥から声がかかった。椅子から立ち上がって小さなスペースへと向かった。応接室に近い役割を果たしているスペースで聞くことになる。羽鳥は加賀美が連載している記事をもっているのか、ファイルをもっていた。羽鳥の隣にいた少し若手のような感じにも取れる人物が何処か緊張した面持ちで座っている。

「加賀美の後継者としてやってもらうことになった相沢隆成君だ。まぁ、相沢君の書いている記事が受けるかどうかはわからないからと思ってな。加賀美に会っておいて相談できる状態であってほしいと思ったまでだ。」

「相沢です。よろしくお願いします。」

相沢は堅苦しいが何処かに愛嬌を感じる行為がにじみ出ている。見た目は銀縁眼鏡をかけている感じとは少し裏腹さもあった。

「相沢君は最初から文化部だったんですか?」

「違います。社会部にいたんです。だけど、諏訪さんから向いていないといわれていてどうしようかと思っていた矢先に文化部への異動の話が上がったので受けたんです。」

「それじゃあ俺と入れ替えですか?部長。」

羽鳥はコーヒーを飲みながらほくそ笑むような感じもあったが、なじみの笑顔に戻って言った。

「まぁ、相沢君は試しになっていて、加賀美は諏訪が記者クラブに入れるといっている時点でかなりの期待をされている。そんなところだ。相沢君が書いた連載が受けなかったらなくなっているかもな。」

羽鳥が漏らした捨て台詞に怯えている相沢を目の前で眺めるだけしかできなかった。

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