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落掌  作者: 実嵐
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過去と今

2人で話しているとガラガラと引き戸の音が響いた。ドアを開けた人に注目してみると、黒スーツでも少し高級そうな素材で作られていると思わしきものであったのだ。

「あら、先生。お久しぶりです。この辺で仕事があったんですか?」

「えぇ、柄にもなく警視庁のほうで顔を出す用事が起きましたからね。」

黒スーツの男性は警視庁に顔を出す用事だとすると検事かはたまた弁護士といったところだろうか。カウンターに座っている男性は若者というよりかは経験がついてしまって疲れてしまっているようにも思えた。

「おかみさんが先生といってましたけど誰でしょうね?」

「このあたりで考えられるのは弁護士やろな。弁護士やったら来たりすることが多いから顔見知りも考えられるちゅーわけや。」

2人で話しているのが漏れたのか、男性はカウンターから酒をもってきてテーブル席へと近づいてきた。

「この辺だったら警察かなんかか?」

「違いますよ。日楽新聞の記者ですよ。もしかして、警察には効かれては困ることでもあるんですか?」

「いやはや、そういう意味ではないんですよ。弁護士をしているんですよ。大手のところにもいたんですけどね。全くもってできなかったんです。だから今は個人事務所なんで仕事を選んでいる場合じゃないんです。まぁ、検事なんてやめるべきじゃなかったです。」

彼はそう言って名刺を出してきた。加賀美と金城も名刺を出した。社会部の記者だと知って驚いたようにしていたのだ。弁護士で黒岩隆吾と書かれていた。独立をしたのは大きな会社の顧問弁護士をしていた時の裁判でしくじって負けてしまったことが理由だったのだという。そこの事務所には汚点として残っているものがあったのだという。

「卜部良助が働いていたんですよ。彼は主に大企業の顧問をしていることが多かったみたいなんですがね、弟さんの事件や過去のいじめとかが明らかになってクビにしたみたいですよ。」

「卜部良助の居場所とか知っていたんじゃないんですか?」

「どうですかね。そういう話は聞いてはならない雰囲気だけは当たり前にありましたから。担当だったパラリーガルだった人は別の事務所に移ったほど居心地が悪かったのでしょう。」

黒岩に今の現状を聞くとパラリーガルはいるのだが、いい給料を与えることができないことがやまやまなのだというのだ。そこの事務所では刑事事件を扱うことは少なかったので検事であった経験がつながらなかったのだという。

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