組織という立場・・・言い訳とか
「卜部良助に会うんやったら別に構わん。調べなあかんこともあるのもわかっているから。」
「そうですか。少しでも情報をと思うんですよね。ネットカフェでの生活が続きそうです。」
「ネットカフェにいれば疑われるぞ。」
金城がそうとも限らないことを言った。定食屋が店じまいをすることになってそそくさと2人で出たのだ。行き場をなくしてしまってはいけないと思って加賀美は金城に喫茶店に行くことを提案した。すると、喜んで来てくれることになった。喫茶店といっても情報を得るための場所になってしまっているのだ。歩道を歩きながらコンビニを見た。店内には何人かの人が動いていた。
「それにして聞きたかったんだが、お前は寺の息子やろ。なんで、新聞社の記者なんてなったんや?」
「父に社会勉強をするように言われたのがきっかけです。大学で教養で取った民俗学が面白かったんでその探求もかねて入ったんです。文化部にいたころは毎日、走り回ってました。」
「会長賞を取って社会部に異動してしまうことになるんやな。わからん世界やな。」
目的の喫茶店につくと金城は似たりと笑った。その意味は測り知れない部分にあふれてしまっているが黙ることにした。喫茶店の中に入ると客はそこまでおらず、ガラガラといったところだろうか。
「いらっしゃいませ。」
「久しぶりです。須藤さん。」
「どうですか?ジャッジマンとのコンタクトの様子は?」
須藤は慣れた手つきでコーヒーを注いでいく。2つのコーヒーカップをそろえているようだった。カウンターにコーヒーカップを載せた。
「ジャッジマンはコンタクトを頻繁にとって来てますよ。・・・親父の記録を見ていて思ったんですけど、初期のころにはジャッジマンの隣に数字は書き込まれていないんです。ブラックリストになってすぐに数字が載っているんですよね。不思議ですよね。」
須藤はそう言って自分が飲むための安いコーヒーカップを取り出して注いでいるのだろう。大学生にいわれた言葉があったのだ。弁護士ではないかといっていた。
「数字の羅列も変わらないこともわかっているんです。だから、何かの職業なのではと思っている次第です。・・・あと、ジャッジマンが返事をしたんですよ。卜部恭介の名前が挙がって数日後だったですけど。」
「ジャッジマンが返事をするとどうなるんだ?」
「殺されるんですよ。仮釈放を知る人物で模範囚であることもわからないとできないことですから。」
処刑台、ブラックリストを含めて10人以上殺されているのだ。警察の立場もなくなりつつある。