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落掌  作者: 実嵐
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場所と場所

警視庁の記者クラブの中を少し教えてもらった。金城は事情を知ったので悔いのないようにしてもらうためといっていた。残りの2人はカメラマンとして腕が認められた人材がいるのだという。もう1人は記者として動いているのが常なのだとも言った。

「カメラマンとして動いていたほうはうちを通じてよく写真集を出していたんだよ。けど、報道写真もとがめられることがあるし、フリーだとやりきれない部分も出てくるから、社長が提案をして受け取ったという感じなんや。まぁ、腕は一流やしな。報道カメラマンとしての責務がついただけや。」

その人物を欲しがった出版社も現れたそうだが、日楽には恩があるとして勤めることにしたのだという。写真集も売れているし安定も生まれているのだという。彼の話を聞いていると実情が見えてくるようにもなっている。警視庁の玄関に近づいていると声をかけられた。

「なんだ。仁か。」

声のしたほうに振り向くと刑事のおじちゃんがいた。刑事という職をもうやめてしまっているのに訪れるというのはどういうことなのか。

「刑事のおじちゃんこそ、どうして此処に・・・?」

「あぁ、俺か。死んだ相棒の息子が昇進して警視庁捜査一課に配属になったって聞いてな。祝いの言葉くらいはいいに来たんだよ。・・・隣は金城君の息子か?」

「はい。金城伯といいます。今は日楽新聞で記者をしています。」

刑事のおじちゃんはほほえみを浮かべながら金城の話を聞いている。きっと彼のことだ。幸之助から話を聞いている可能性はある。

「金城君がつけそうな名前だ。正義感が強くて捜査一課に呼ばれていても断って交番に誇りをもっていた人だったからな。あんなことがなかったら・・・。」

彼は最後の言葉を濁していなくなってしまった。金城という人物は父親は警察官で交番勤務であったことが分かった。彼も明かせないものがあるのではないかと思った。警視庁を出て歩道を2人でとぼとぼと歩いた。そこには点在するかのようにコンビニがあるのだ。

「お前、あの人とも知り合いなんか?」

「そうです。うちの寺の氏子でもかなりの立場をもっている人で昨日会ったところなんです。」

「そうか・・・。いずれ親父のことは話す。・・・知るかもしれへんな。」

金城はそう言って新聞社が見えてくると部長に話すことがあるといって会社へと向かった。加賀美は金城の後ろ姿が見えなくなるまでその姿を見ていた。彼には向かう場所がある。現場となっている場所に。

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