いえる時
彼の人生を棒に振ってまで選んでしまったことがばれてしまったのだ。彼の就職先として名前が挙がっていたのは地主の知り合いだったこともあって信頼のない感じに取られてしまった。その知り合いから断れてしまうところを地主は見ていたわけでもない。
「知り合いのツテだから大丈夫だとか言ってあの人は息子を出したんです。いい会社だからといって・・・。けど、面接があってその次の日くらいに上がった話ではあったこともあって断れてしまったんです。前の会社のようにはいかないかもしれないといって受け入れてくれようとしてくれていた矢先だったんです。」
そこが大手であったこともあって何処からかの噂を伝っていてしまって子会社やらにも話が言ってしまったのだ。彼も収集がつかなくなってしまって息子は自分の部屋にこもっていた。自分の行動に難ありとされてしまった親に対する恨みもあったのだろう。
「当分は部屋から出ませんでした。ただバイトに受かったといって働きだすまで時間がかかりました。閉じこもることで進むことができないことを彼は知ったんだと思います。」
自分たちが仕向けたことなのに、何処か後悔という言葉が浮かばないしゃべり方がいら立ちを仁に膨らませていく。受け入れようとしてくれた会社にも謝罪もきっとなかったのだろう。連絡を受けて受からなかったときに彼が悪いのだとしていたのだろう。地主の息子はバイトを2年以上続けていた。そこで働いていたことで生まれて信頼によって正社員として雇ってもらえるという話になったのだという。その話を聞いたときに彼は喜んで報告するのに対して、嫌がるような感じがあったのだという。
「欲を言いたくなかったんですけど、そんなところに再就職させるために行かせたわけじゃないってあの人は怒っていました。息子から言われたんです。あんたたちの所為で自分の就職先が消えていってしまったのだと初めて聞かされたんです。その時、後悔したんです。」
「けど、いまだに茶番を続けていたということは自分たちを守るために息子さんを利用し続けたというわけですね。早めに打ち明けようとは思わなかったんですか?」
「思いました。けど・・・。」
彼女の言い訳じみた言葉が一体誰を守っているかが分かってしまっているのが嫌だった。地主の息子はぬれぎぬを着せられたことを明かすこともできなかったのだろうか。明かしたとしても嘘としてとらえてしまって受け入れてもらえなかったのだろうか。それが悲しみをいやすには時間がかかってしまうとも思ってしまった。