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落掌  作者: 実嵐
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光を消す闇

「仁には悩んでいる時間が長いほうがいいんだよ。答えが安易に見つかる場合もあるし、そうじゃないときもある。楓さんは違ったんだ。答えが出せずに逃げ出したんだ。それでもいいと思っている。特段、いい決断なんて人が決めるわけじゃない。そうだろう?」

幸之助はそう言ってしたくの準備を始めた。仁はその言葉を聞いてゆっくりと心が動くを感じた。したくをして幸之助とともに地主のところへといった。すると、少ないながらではあるが参列者がいた。昨日のこともあって聞きに来たのだろうか。

「いったいどういうことなの?この土地は自分たちのものかもしれないけど、息子を悪者にして自分だけいい思いをしていたっていうの。いい加減にしなさいよ。直人という人も親戚の子供で葬式で茶番をして周りをだまして何が楽しかったわけ?それで今更すいませんでしたなんて言われても何も聞けないわよ。地主も自分の立場だけを考えていたっていうのね。・・・ならいいわ。周りの人達にいって貴方たちがやって来たことを言ってやるわよ。」

その女性は怒ったようにしていなくなってしまった。確か、地区の婦人会の会長であったような気がする。地主ということもあって彼女と不穏な空気にならないようにしていたはずだが、それを知られてしまったのだろうか。頭を落とした地主の奥さんが玄関でたたずんでいた。それは寂しそうに・・・。

「大丈夫ですか?」

「えぇ、大丈夫です。あの人のことも洗いざらい話したわけじゃないんですけど、息子と隠れて話しているところを手伝ってくれていた彼女にばれてしまったんです。気難しいことで有名なのは知っていましたけど・・・。これで村八分ですかね。」

悲しそうな顔を張り付けていた。彼女もまたこの土地を追われてしまうことが見えている。きっと地主が良くしてくれていることもあったから仲が良かったのだろうが、家族ぐるみで土地を売ろうとして間違えて人のいる土地ばかりを売ることを許可してしまったとも言えないのだろう。大きな屋敷には数えれるほどの人間しかいなかったのだ。昨日の葬式と打って変わって寂しさがにじんでしまっていた。

「主人も望んでいなかったんだと思います。何処かで止めたかったなんて言えなかったんでしょう。息子にも大変な思いをさせてしまったと思います。転職の時に起こしてしまったことですから、就職が困難になってしまったことを嘆いていました。」

全ての不幸を背負ってしまった背中には明るい光など残っていなかった。

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