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落掌  作者: 実嵐
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時となり

仁が考え深そうに手紙を読んでいるのを見ていた幸之助が楓に頼んでコーヒーを作ってもらっていたのか、コーヒーカップを机において向かいの椅子に座った。

「会えばいいじゃないか。当分は暇だろうからな。」

彼はそう言ってコーヒーをすすった。楓も少し笑っているようでもあった。消えない過去を追っていることを選んでいるようにもならなかった。卜部良助は何処かで後悔をしていたのだろうかと思っていたりするのだ。

「彼は刑務所にいるのでしょ。だったら会うべきよ。・・・何か言えるわけじゃないでしょうけど、記事を書いたことにも何かの縁を感じるわけなんでしょうし。これからに役に立つかもしれない。」

楓は息子の背中を押すこともいいことだとわかっているからだろう。彼女もいまだに解決しないものにもあったりするのだ。旅館の問題すらも忘れたといえない心もあったりする。姉や兄に何処かで助言することもできずに黙ったままでただ権利だけをもっていることを今更ながらむなしくなってしまった。

「貴方には後悔をしてほしくないの。会える状況だったのにそれを選ばなかったことが何を導いてしまっても嫌なのよ。」

仁はその言葉に黙り込んでしまった。

「まぁ、時間をかけて決めればいいの。案外早く決まってしまうかもね。」

楓はそう言って退散してしまった。幸之助と2人きりになったことを重くなったとも感じなかったのだ。彼のコーヒーをすする音だけが部屋に響いた。卜部は弟に対して後悔をしているのだろうか。そして、自分の父親は本当は殺人犯であったことが分かったのだ。それも闇取引においての仲間割れだったのだ。拳銃を手に入れていったい何を企んでいたのだろうか。今や本人が死んでしまった今、誰に聞くことができるのだろうかとなる。卜部光明は区議会議員としての地位によっていたのかもしれない。それに親の会社もあったのだろうからかなりの悪党だったのかもしれない。

「俺、会うよ。卜部さんから直接手紙をもらったこともあったから。」

仁の心は空が青さを目立出せるように晴れていた。卜部に会うことで疑問を晴れてくれることを望んだ。きっと何処かで消えてくれるものがあるのだろうから。

 次の日になり幸之助とともに寺の中にいた。加藤の家で法事があるのだが、別の人に頼んでも構わないといってきたのだ。

「俺は法事に行くよ。加藤直人が一体どうするのかを選ぶのだろうかを見届けたいと思っているんだ。」

「それならいいんだ。用立ててる必要こともないからな。」

幸之助はそれを聞いて満足そうな顔をしていなくなった。

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