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落掌  作者: 実嵐
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恥とプライド

「かおりさんがそう告げに来た日は不機嫌だったんです。けど、もう受け入れたというよりかは受け入れざる負えなかったんだと思います。お子さんもいらっしゃいますし、不名誉な形を残したままだと将来につながりますからね。」

管理会社の人はそう言って他の準備があるのだろうか、そそくさといなくなってしまった。きっと管理会社にとっても寝耳に水の状態だっただろう。まさか、犯罪者と契約を取っていたとなると悪くなってしまうこともあるのだろう。冷め切った世界に映るものは明るいとも限らないのだと思った。加賀美はシェアオフェスビルを出た。何処かに日常を暮らすためにほそぼそと生きているものなのだとも思った。彼は警視庁のほうへと足を向けた。警視庁に行くと見覚えのある姿が見えた。

「あら、加賀美君じゃない。」

「久しぶりです。」

「そうね。確か伯が此処に来た時くらいかしら。まぁ、伯も前へと進んでいるってことかしら。時々しか顔を見せないんだけどね。忙しい仕事だってわかっているし、お母さんもそこまで口を出さなくなったもの。事件が解決したこともあるの。納得できていないこともあるのよ。・・・それは時間が経ったとしても失せることがないの。」

正美は寂しそうに言った。金城伯は事件が解決してもなお、新しい事件が起きてしまうこともあってか会うことがあるのだという。世間話をする程度で終わってしまって多くは言わないのだという。彼女もまた失せないものを追ってしまってはいけないと思ってきっと何処か見えないところであきらめてしまっているのだろう。

「あの子も忙しいみたいで、ブラックリストと処刑台の事件が終わった後にショッピングモールの事件に新たに加わることになったみたいなの。国会議員の事件だとかなって裁判で勝てるってわかっていても何時何が起きてもいたしかない事件だってわかっているからって。その息子が大ぴらに出て嘘だとか言っているかといえばそうじゃないのよ。父親が記者の言葉を無視をしてパソコンで打ち込んだ言葉を出すから大ごとになるのよ。」

国会議員だというろくでもないプライドを振りかざしてその事件にかかわっていないことにさせようとしていることもあって政府への批判が大きくなっているのももっともの話である。その息子もまた成人を超えた人でかばいきることが不可能であると思われるのに今なお、かばう姿をテレビに出しているのだという。

「その姿が恥ずかしいのよ。罪は罪よ。軽くなってしまってはいけないの。償いをしないときっと後悔を生むの。」

彼女はそれを人知れず見てきたと付け加えた。

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