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落掌  作者: 実嵐
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未来を拓くための扉

それから数日が経った。あまりにも早く過ぎ去って言ってしまうものだと改めて思った。祝勝会をやることになったために諏訪に頼みこんで休みを重なるように促してもらったのだ。加賀美が指定されたのは、チェーン店の居酒屋であった。早めにきてしまったと思って席で待っていようと思って予約をしていた名前を言った。すると、店員は笑顔で誘導をしてくれた。個室のテーブル席ですでに3人は座っていた。

「俺が一番遅かったんですか?」

「そういうように仕向けるように言うって話あっていたんや。加賀美ができるだけ早く来たがるってことも羽鳥っていう部長から部長が仕入れていたみたいや。」

「そうだったんですね。」

金城と沼田は笑顔を見せた。そこにいづらそうに座っている金子がいた。社会部のノリと文化部のノリの違いがあることが今になってわかった。口をつぐんでいる金子の眼は何か言いたそうだった。

「金子君はね、君が辞めると知ってもっと文化部で受け継ぐことができたんじゃないかって思っているんやて。」

「俺にも話が回って来たんだ。」

「なんのだ?」

重い口を開くことが容易にできることでもなかったようだ。金子の身にも加賀美が連載をしていた記事を書かないかと話が来た。最初は驚いた。羽鳥はとんでもないことを言っているとしか思えなかったのだ。会長賞を取った連載を受け継ぐ意思まではなかった。何故なら会長賞を取って少しの連載をしたうえで受け告げという話になったのだ。

「誰もやりたがらなかったこともあって、部長はお前と変わって入って来た相沢に試す意味で連載をさせたんだ。あいつは会長賞を取った人間は知らないが、連載を続けないといけないと使命感にあふれている感じでもなかった。」

連載をしたときに歴然と上がったのは加賀美の連載と相沢の連載が大いに違いすぎるのだ。細かく書く加賀美に対して明らかに文字を埋めている感じのある言葉を連ねる相沢では太刀打ちできなかったのだ。読者からも加賀美の連載がみたいと手紙が送られてくるほどだったのだ。

「それで打ち切ったんだ、連載。俺が一言やるといっていれば続いたであろう連載のページを打ち切らせてしまったと思って仕方ないんだ。俺が一番知っていたのに・・・。」

金子には寺の息子でいずれ新聞記者をやめて寺を継ぐことを聞いていたのだ。それはあくまでも世間話程度の話で浮上した言葉だった。きっと彼の中では連載を残っていればそこに絶えず残るものがあると信じているからであろう。

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