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落掌  作者: 実嵐
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明かされる何か

「彼に良心が全くなかったようにも思えなかったのよね。罪悪感からか、自暴自棄になってしまいそうになるのを奥さんがいることでならなかったようにしか見えなかった。時々、此処に来ては泥酔するまで飲んでとかもあったの。奥さんはそれを見ても怒らなかったの。」

かおりの態度がとても優しかったのだという。その時に彼女は結婚に至るまでの経緯を聞いたのだという。大学の時に会ったというのだが、その時にすでにかおりの中では不思議にしか思えなかったのだという。

「家族の中で立場が悪いことや検事にならないといけないという責任しか持たされていなかったんじゃないのかしら。弁護士になったというのはそのしがらみから外れたっていうことになる。それで人を救うことをしたかったじゃないのかしら。」

彼女は突き出しを出しながら言った。ビールを飲み干した喉は潤っているのか、乾いているのかは加賀美にとってはどうでもよかった。誰かによくやったといわれたいわけでもない。何も求めていないのを感じているのだろう。彼女は黒岩隆吾の話を漏らしていた。

「確か・・・、いじめで友人をなくしたとも言っていました。パソコンのことを教えてもらったのはその人からで世間に対して思うところがあったんだと思います。黒岩の生みの親は自殺をしたわけですし・・・。」

「生みの親は自殺したって言った?」

「はい。」

彼女は手を震わせた。黒岩は普通に暮らしている中でうっ憤を晴らすためにしていたと思っていたのだろう。そこからわかることは少ないだろう。

「彼の実の親は津田事件の容疑者になった津田海とその妻の津田秋絵なんです。・・・自殺した後に黒岩幸吉が真実を隠すために養子にして検事を強制して事件から遠ざけようとしたんです。」

「そんなことがあったの。・・・だって彼、俺の親は検察庁のトップだとか言って自慢をしていた時もあったのよ。少しでも自慢をして何かから逃げたかったのかしら・・・。」

黒岩幸吉は恨む相手なのに自慢をしていたのだ。矛盾した何かが心に空いた穴を埋めるために使っていたのかもしれない。それは愛情だったのかどうかも定かではない。そんな彼にも何処かで逃避行する場所を探すのに時間がかかったのではないかと思った。

「あの事件のことを覚えているわ。津田事件。あまりにも警察も検察も裁判所もお粗末な対応をしていたのを覚えているわ。拘置所で自殺をしていて遺書もあったのに遺書すらも紙きれのようにしか思わなかったのか、奥さんの渡さず捨てようとしていたとかね。」

判断を下す側がくるってしまってはが正しいのかまでも区別がつかなくなってしまうのだろうか。抗議の声もかき消すしかなかったのだろうかとも・・・。

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