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落掌  作者: 実嵐
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切り取ったもの

加賀美は何処かそわそわした感じで立っていた。ビルの前でずっとそうしていると不自然に思われてしまうのを心得ているのですっと入っていた。シェアオフェスなので合同で行える部分があるといっていたのだ。騒がしく思えないのは、会議室が防音設備がしっかりしていることがあるのだろうか。彼の中では浮かばれない心のままで行かないといけないと思ってしまうのだ。目的の階まで階段で上がった。エレベーターならさっさと上がってしまうのは何処か心がついていけないと思ってしまうからだ。足が止まってしまうのは結末が見えたが故の躊躇だろうとも思えた。

「どうかしましたか?」

「いえ・・・。」

「私は此処のシェアオフェスの管理会社のものです。そう警戒なさらなくて結構ですよ。」

ぱっきりしたスーツを着た女性が優しく言ってきた。ドアの前で立っていたことを気にしたのだろう。取材の時間よりも少し早かったわけだが、そこまで時間もないこともわかっている。

「黒岩さんってどんな人ですか?」

「あぁ、黒岩法律事務所の人ですよね。彼は確かパラリーガルすら持たない時期もあったほどの苦労人です。此処に来たのも何処かの法律事務所をクビになったのを皮切りに来たようですから。・・・最近になって寂しそうな顔をするようになりましたね。あと、定期的に何処かに行くみたいでその日の依頼は受けないみたいです。」

黒岩は家族についてはあまり語ろうともしないらしい。特に、親のことになると不機嫌になってしまうのでしゃべらないようにしているらしい。

「こっちも入り込まないようにしているんです。関係が悪くなってしまったら出て行かれてしまうんです。安易に立ち入らないことも決まりなんです。」

以前、やらかした社員がいたらしいのだ。関係良好を常に言われているために立ち入らないと決めたら聞かないのだという。シェアオフェスということもあって清掃会社にも気を配っているのだという。情報を漏らすのはそういう関係者だと思われてしまっても困るからだ。

「黒岩は本当にいいひとでどうして前の事務所をクビになったのかと思いましたけど、独立したほうが見えてくるものがあるからといって以前の事務所にいたときより掛け持ちしていたそうですよ。体壊すからといって奥さんに止められたとかも聞きました。奥さんとの仲はいいらしくて奥さんや子供さんの話は聞きますよ。」

黒岩は子供がいるのだという。それも小学生の男の子と女の子だという。家族写真でははしゃいだ笑顔を見せていたとも・・・。

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