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キャプテン・ノーフューチャー! 工具精霊とDIYで星の海へ!  作者: やまざき
第二章 バース・オブ・キャプテン・ノーフューチャー
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正しい資質(ザ・ライトスタッフ)②

 明かりの落ちた下宿の庭は、そこらに猫が転がってるけど邪魔が入ることはない。ほどよく広くて、申し分なく真っ暗だ。双つ月のファビュラスな方が満月から少し欠けて、やっと東の空に顔を出し始めたところ。


「それで、どういう取り決めにいたしますの?」


「寸止めでいいだろ。降参もアリ。夜目は利く方か?」


「問題ありません。ガンマ様の赤い髪は、ようく見えますわよ」


「ガンちゃん、あたしは? …もう、勝手にそんなこと決めて。仕方ないなあ」


 脳内会話でまばたき二つ分の時間をかけて、メルに思惑と作戦を説明する。ララから見れば、メルが何やら独り言を漏らしているようにしか思えないだろうが…これはオレたちの強味だ。


「でも、楽しみ。ララちゃん、負けないよ!」


 オレは右手から槍を引き抜き、左半身の中段に構える。ララもまた、同じ構えだ。注意すべきは神殿のシンボルらしい環になった穂先。あれをどう使ってくるのか…初めて会ったときに想像した使い方とは限らない。


「では、殿方からリードしてくださいますか?」


 いいともさ。挑んだ方が後の先狙いじゃカッコつかねえ!


 ララの正中線は、あのでかい金属環に隠されている。普通なら振り下ろしなり、掃いなりで崩してから突くところだが、オレの槍は特別製だ。


「シッ!」


 オレの身長は百五十センチに満たない。だから、低く前傾して懐に飛び込むしかないと思ってるだろう。それなら、初撃で終わりだぞ!


 速度重視で突いた槍を、ララは金属環の穂先を半回転させて逸らす。だが、逸らされたオレの穂先はメルだ。追尾ミサイルのように鋭角ターンを決め、ララの喉元を急襲する。初見殺しその一「ホーミング・メルちゃん」だ。命名はメルなので苦情は受け付けない。

 

「ひ、非常、識っ!?」


 二度、三度と首を刈りに行くオレの突きとメルの追尾を辛くも躱すララは、大きく後ろに跳んで距離を稼ぐ。


「うーんざんねん!」


「ま、初見殺し程度で勝てるとは思ってないさ」


 本音じゃショックだけどな。どんだけ体幹鍛えたら、あんだけ躱してんのに軸をぶらさずにいられるんだ? あいつの胸って、乳じゃなくて大胸筋なんじゃねえのか。

 

「伊達にくびれちゃいませんのよ? 次はこちらから…ッ!」


 ララは摺り足とは違う、滑るような歩法で間合い入ると槍を左袈裟懸けに振り下ろす。ただでさえ三メートル近い得物を、長身のあいつが扱うとリーチがとんでもねえ。退いても受けても潰される。左に躱して、ララの身体を盾にする!


 金属環の穂先が笛のような音を立てて、オレの髪を数本もってった。寸止めって話聞いてたのかお前!? アーバレストの回し蹴りよりおっかねえ!

 躱せたのが不思議なほど、と思った次の瞬間。鳩尾にララのサンダルがめり込んで蹴り飛ばされた。


「か…ッ」


 やばい、モロに入れられた。背中から地面に叩きつけられ、横隔膜がひっくり返って呼吸が止まる。口ん中に苦酸っぱい味が上がってくるが、起きろ! 迎撃だ!


「ゲ、ゴボァああああ!」

 

 袈裟懸けを振り切った体勢から、槍を支えに左足で蹴りを放ったララは、残した右足を軸に半回転。遠心力を乗せた槍でオレを薙ぎ払うつもりだ。重さ三十キロは下らないバカみてえな槍の薙ぎ払いなんか受けられるもんか。


「ガンちゃん、やるよ!」


 メルの声にオレは両目を閉じて腕で覆い、ヘッドスライディングで前へ飛び込む。

 敵の攻撃を前に、目を閉じるなんて命を捨てるに等しい行為。でも、それはオレたちの作戦だ。


「えいっ!」


 ボン、という破裂音にも似たマグネシウム粉末の燃焼音。その閃光に目を灼かれたララはオレを見失って槍を地面に叩きつける。


「まだまだぁ!」


 飛び込んで後ろに回り込んだオレを、勘だけで捉え石突を繰り出すララ。


「そう来るだろうと!」


「おもってた、よ?」


半身になってそれを躱し、がら空きになった背中に…対金星人に特化した禁断の秘技を叩きこむ!


「ほわほわほわ…」


「ひゃあああああ!?」


 決まった。秘技「メルの梵天アタック」! 笹の葉みてえなエルフ耳の金星人なら、この技は効くだろう!? 力が抜けて、もはや動くことすらできまい。重い槍がその手からこぼれ落ち、へなへなと座り込んだララは梵天の威力に抗う事すらままならない。


 梵天のフワフワが耳をくすぐるたび、ぴくん、ぴくんと背中を震わせて切なげな声を漏らす。


「くすくす…ララちゃんかわいい♪ お耳きもちいいね? ほわほわほわー」


「やっ…あんっ! ほわほわ、しない…でぇ…っ」


 くっくっく…ほれ、降参か? 降参しないと、次の技でお仕置きだ。お前みたいなのはSっ気が強い分、受けに回ると弱いんだろ? メル、ダメ押しで背筋をすーっとフェザータッチしてやりなさい。


「はあっ、うんっあああああん!」


 前にオレにやられてゾワっとした経験のあるメルが、喜び勇んでララの背中をエロい手つきで撫で上げる。梵天の刺激で敏感になった身体に、これは決定打になるだろう。模擬戦の最中は少しも息を乱さなかったララは、息も絶え絶えといった様子で自分の身体を抱きしめてガクガク震える。


「はあ…はあ…こ、こう…こう、さん…で、す…うくっ」


「はーい♡ ガンちゃん!」


「おう、勝ったな!」


「勝ったね!」


 パチンとハイタッチ。完全勝利だな。そして、オレたちは戦えるようになってる。オレの指示通りに動くんじゃなく、メルが自分で考えて最適と判断した行動をアドリブで突っ込んでオレが合せる。

 高速意思疎通の脳内会話でも間に合わない場合だって、あるはずだ。どちらかが気絶する場合だって考えられる。そうなっても、残った方が戦えるなら勝ち目が残る。


 一石四鳥の三羽目は「オレたち二人」で戦えるのかの確認だ。そして、その検証は成功した。マオーイで会ったときのララは、何度脳内で戦っても勝てなかった。手も足も出なかったと言っていい。

 オレだけなら、今でも勝てないだろう。でも、メルとなら戦える。二人なら勝てる。初見殺しと小細工ばかりで実力とは程遠いが、それでも格上(ララ)に手が届く。そう思うと、自然と笑みがこぼれた。


「はあ…ふう…やっと、落ち着きましたわ」


「付き合ってくれてありがとな。ほら、掴まれよ」


「ありがと、ララちゃん!」


 立とうとするララに手を貸すと、うっすら余韻の残る顔を見られたくないらしい。そっぽ向きながら口をへの字にしてご機嫌斜めだ。


「…あんなはしたない声を上げさせられたのは、生まれて初めてですわ」


「奇遇だな。オレもあんな声をナマで聴いたのは、生まれて初めてだ」


「すっごくかわいかったよ? ムーンドッグの子犬みたいに、あんって♡」


「…いじわる」


 美人がぶすっとした顔しちゃ台無しだぞララ。さて、ババアたちが戻ってくる前に…お待ちかねの罰ゲーム、行っちゃいますか?


「これまでで、いちばん悪い顔してる…ほんとにするの?」


「当然。メルも乗り気だったろ? オレもやる時ゃやるんだよ…さて、ララ。シャワー浴びてこいよ。お前のカラダ、たっぷり使ってやるぜ…?」


 均整の取れた肢体を下から上へ舐めるように視線で辿る。安定感のある腰つき、絞られたくびれ、張りのある双丘。鎖骨から肩へと流れる優美な曲線。ほつれた結い髪がうなじにかかり、汗ばんだ肌に貼り付いている。


 オレの視線を感じたのか、ぞくりと肩を震わせたララは羞恥に頬を染め、唇を噛んでうつむく。


「…覚悟、してますわ。でも…優しくして、くださいましね?」


「約束できねえが、善処しよう」


「…はい」


 若干ふらつきながらララは玄関の方に去り、オレたちも後に続く。メルにはこの後の準備を頼んで、オレは自室で着替えを取って手早く水シャワーを浴びる。

 脱衣所で髪を拭いていると、鳩尾にできた青あざに気付いた。あの蹴りで、こんな薄い青あざになる程度…ダメージを与えるのではなく、押しのける方を目的に手加減してくれた感じだ。


「手加減された、か」


 模擬戦なんだから、実戦みてえに立ち上がれなくなるような傷を負わせるのは反則だ。それは分かってるけど「もし実戦なら」と思うと、さっきの達成感が泡になって消えちまいそうだ。まあ、それは後にしよう。


 部屋着に袖を通してメルを迎えに行くと、すっかり準備を整えて得意げな顔だ。


「お待たせメル。ありがとな、道具作るのけっこう難しくなかったか?」


「ううん、平気だよ。これララちゃん使うの?」


「そのつもりだ」


 こんな太いの、オレにゃ無理だからな。

 黒光りする太い棒を手の中でもてあそんでいると、控えめにドアがノックされる。開いてるよ、と返事するとララがそっと入ってきた。

 結い髪は解かれて腰のあたりまで長く流れ、抱いた枕に顔を埋めてる。胸元は枕で隠れているが、押さえつけられて形がゆがんだ乳が普段よりいやらしい。裸より煽情的なスケスケのやつを着て、太ももをもじもじしてる。


 こりゃあ…エロい。エロティックだ。ララの吐息に媚薬的な何かが含まれているかのように目が離せなくなりそうだ。段取りも何もかも放り出して、あの女を貪りたい欲望に火が付きかけるが…大丈夫ですよメルさん。この光景はまぶたに焼き付けるのみに留めますとも。


「ララちゃん、すごくきれい。じゃあ枕はここに置いて、こっち来て? うふふふ…」


「ああ。ララ、たまらねえよ。すぐに始めようぜ…もう準備できてるからよ。ククク…」


 オレたちの行為は容赦なく、ララの肉体を責める。時間をたっぷりかけて真っ白い塊を執拗に押しつぶし、何度もこね上げると彼女は息を荒くする。


「どうしたの? まだ始まったばかりだよ。もっともっと! ぎゅってするの!」


 延々とこね続け、すっかり汗だくになったララは休ませてくれと懇願する。


「仕方ないなあ…ガンちゃん、次はどうしよう?」


「まあ、そろそろいいだろ。少しだけ寝かしてやろうか」


 十分ほど寝かせたら…次はこいつの出番だ。冷たく、黒く、太い鉄の棒。

 ララ用に作らせた特別製だ。使う時は、両端のくびれが良い具合だろう。はあはあ息を上げるララのほっぺたに押し付けて、オレは嗜虐の喜びを自覚する。煽情的に透けるベビードールの肢体には、これまでの行為によって白いものが飛び散っている。


 綺麗なものを汚す、という背徳的な悦び。その相手がララだというのが、なんともいえず興奮を誘う。あのララが、と思うほど…喉の奥から殺しきれない笑いがこみ上げてくる。


「さあ、もういいだろ。ほら、握れよ」


 泥のように疲れているララに、次の行為を強要する。のろのろと体を起こし、ゆさりと揺れる胸に鉄棒を突き付ける。その冷たさにひくっと震え、金の目が許しを請うが今のオレは無慈悲。嗜虐の権化、ドSである。


「ララちゃん、がんばって!」


「いやあ、ララがいて助かるわ! 久しぶりだなあ、うどん!」


「ううう…どうしてこんなことを…」


「負けた方を好きにできる、という賭けでララが負けたからだ。そこでどういう意味なのか勘違いしたのはお前で、オレじゃない。目の保養ではあるが」


 セクシーうどん打ち。これは新ジャンルではないだろうか。

 スケスケ衣装の女性が粉まみれになりつつ、ハアハア言いながらうどん玉を捏ねたり伸ばしたり。オレには刺さらないが、上級者の一定層には売れるのではないか?


「こ、こんな仕打ち…あんまりですわ…」


「うるせえ。これまで受けたセクハラの仕返しだ。出来上がったらみんなで食うんだから、ババアとローラが戻ってくる前にやるんだよ!」


 これが、一石四鳥の最後。セクハラうどん返し! いやあ、上手く行った。

 こっちに来て半年以上食ってなかったんだよな、ぶっかけうどん。近所のうどん屋で食うの好きだったんだよ。


「でもガンちゃん、ちょっとだけ残念なんじゃないの? ララちゃんとえっちなことしたくない?」


 そんなのしたいに決まってる。あんだけ乳揺らされたら、どんな男だって興奮するわい。だがオレは損得勘定と鋼鉄の自制心を持つ男。それにメルの相棒なのだ。今夜のところは、これで勘弁してやる。

 だから、メル。


「ぶっかけ♪ ぶっかけ♪」


 そこだけ楽しそうに連呼するのはやめなさい。

うどんおいしいです(^p^)


***ここから引用のご紹介***

クァール…A・E・ヴァン・ヴォークト氏「宇宙船ビーグル号の冒険」より

重力等化装置…エドモンド・ハミルトン氏「キャプテン・フューチャー」より

ムーンドッグ…同上

ガーニー警部補…同上、エズラ・ガーニーより

シートン監査官…E・E・スミス氏「宇宙のスカイラーク」リチャード・シートンより


素晴らしい作品に敬意をこめて。

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