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本と魔法の冒険譚(アドベンチュア)  作者: 暁紫
chap.1『異能力者の魔術戦争』
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【グーテンベルク家(2)】

「本題だ?」


クランディアは聞き返す。

そう、本題。これはレイシャの代弁のつもりだ。私はよくわかっていないが。


「そうですね、本題に入ります。まず、この人は炎の力を奇跡的にその身に宿すことに成功した。フルールです。」


「宜しく、フルール・ルパラディだ」


「…貴女、私と同じ苗字だったんですね。」


「言わなかったっけ?」


「さあ?…兎も角ですが…まず、グーテンベルク達。」


レイシャがグーテンベルクの二人を呼ぶ。かなり上から目線だが、恐らく彼女の本質なのだろう…?


「なんだ、レイシャ。」


ラードルフが続きを求めてレイシャの名を呼び返す。


「はい。ミゾレが復活してしまったことは、ご存知ですか?」


「はーー?」


知らなかったようで、その驚き方は、逆に驚かされるほどだった。

だが確かにそうだ。折角この世界にとってのガンを取り除いたのに、ちょっとしたことでガンが復活したともなれば、一気に疲れてくるだろう。


「…マジか、レイシャ。それでミゾレは何処に。」


「いえ、2対1だということを悟った瞬間に逃げましたが、機兵でも使って攻めてくる可能性は全然大きいです」


「わかりません。魔術を展開し逃走しました。」


魔術を展開し逃走…。

それが出来るなら、私の瞬間移動とやらは弱いんじゃないか…?


「逃げたか……奴が行く場所なんて検討も付かんしな…。」


「な、なあ?私の瞬間移動って…意味あるのか?」


疑問が口に出てしまったが、仕方ない。いずれは聞いておこうと思っていたことだ。


「ええ。魔術での瞬間移動は、あらかじめ移動する場所に何かの仕掛けを作っておく必要があります。」


「あー…つまり?」


「貴女は無制限に瞬間移動が出来る、貴重な力です。」


ふむ…。必ずしも炎の元の所持者と能力が同じになるわけではないようだな。


「と、いうかそれならミゾレがどこかに仕掛けを作っていて、そこに移動したということになるのか?」


「そうですね。」


「その場所に検討は付かないのか?」


やっと出てきたまともな考察にクランディアが答えた。


「残念だが、わからんな。」


「…そうか。」


ダメみたいだな。

これでは一歩も前に進めない。沈黙が流れる。壁に掛けてある時計の音がハッキリと聞こえる。10秒ほど立った時、おっさん…ラードルフが口を開いた。


「奴なら、墓か教会にいるだろ。」


「墓か教会だ?」


思わず聞き返す。


「そうだ。奴の親は俺達グーテンベルクとルパラディに殺されている。それに、奴の心は人間そのものだ。墓参りくらいはするだろう。」


「まあ、理由としては最もだが…」


「そしてもう一つは教会だが、奴は信者だ。何のかは知らないが、己の信ずる何かがあるらしい。ならば教会にいるのも道理ってわけだ。」


「…だそうだが。レイシャとクランディアはどうするんだ?」


いつのまにか私が仕切っているようになっている。全員あまり喋らない性格だからだろうか。


クランディアが問いに答えた。


「二手に分かれる。俺達は教会に、お前らは墓に行け。」


「そうですね、それが良いです。」


「じゃあそれで…っと、うおっ、なんだ?」


揺れだ。激しい振動がこの家を、もしかすると街を襲った。


「ん…皆さん静かに。…この音は、来ましたね、クランディア。」


「そうだな。」


「お、おい?一体何が……」


「機兵だ。ミゾレが能力で創造した殺人マシーン共が攻めてきた。迎え撃つぞ。」


「私は戦闘というものは出来ないのですが。何より私の能力は温度感知です。」


「温度感知…?」


「はい、ある程度の範囲であれば対象の温度を感じ取ることが出来ます。ので、機兵を扱うミゾレとは相性が悪いのですが…」


「何ごちゃごち喋ってる、外行くぞ。」


クランディアとラードルフが外へ出たのを合図に、レイシャが外へ出る。それと同時に私も外へ出た。


外に出て見えたのは10機ほどのロボット兵と、無残にも殺された街の人間の姿だった。クランディアは一歩前に出る。


「…天変地異、能力解放。雷電っ…!」


するとロボット兵3機の頭上から雷が落ちてくる。目がとてもチカチカする。


「倒せはしないか…。親父、任せた」


「ああ、わかった。」


今度はラードルフが前へ出る。ラードルフの手には木で出来た大剣が握られている。


「木で…倒せるのか?」


「見ていてください、フルール。」


ラードルフは目を見開き、歯を食いしばり、左足を一歩後ろへ下げると大剣を構える。すると大剣は紫の炎で染まる。


「行くぞ雑魚共ッ!ギガ…スラッシュァァ!!」


その一振りは、世界をも斬れるのではと錯覚するような一撃だった。

しかも、一撃だったのにも関わらず目の前の機兵は全て半分になりその場で倒れている。


「お、おぉ……すげぇー…」


「でしょう?」


そして丁度、日が昇り始めたのだった。

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