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【不可解】
「おや、何してるんだい。」
背後からの声。
あわてて振り向いた。
その声の主の顔はハッキリと見えた。
「……誰?」
白い髭を長く蓄えた老人だった。
この赤き惨状を見てもこの笑顔なのか?
「レイシャ、気をつけて…」
「はい…」
レイシャは警戒するように老人を睨む。
「おや…怖がられているのかい、私は。」
「当然だろ。これ見ろよ、死体の山を。」
「ふむ…そうだねぇ。」
「どうして、そんなに余裕なんだ。」
おかしい。
視力がないとも思ったが私達の姿が見えている以上は、この地獄も目に写っているはずだ。
「そりゃあ、だって…この街の特徴だからさ。」
「はい?」
「街の…特徴?」
「おや、知らないのかい。君達にこの死体が見えている、ということは君達も魔術に触れたことがある者だと思ったのだけど。」
「なっ、貴様……」
どういうことだ?
レイシャはこの街の特徴とやらを知らないようだが…
「レイシャ、この街って…」
「私も、よく知らなくて…。初めてきたので。」
次に老人が首を傾げながら口を開いた。
「説明してあげよう。着いておいで。」
私達はそれに従い、着いていくことにした。