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本と魔法の冒険譚(アドベンチュア)  作者: 暁紫
chap.1『異能力者の魔術戦争』
2/24

【エナック】

違う、違う違う違う…!


私は…こんなことの為に戦ってきたんじゃない…ッ!


どうして!?…ねぇ…!誰か!


”彼女の伸ばされた手を、きっと誰も取らない”


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「学園エナック…かぁ。」


適当に見て回った方が良いのだろうか。人が多いし適当に話しかけて回るのもアリだろうが…と、朝一で悩んでいると声をかけられた。男の声だったが、とりあえずは振り返って顔を確認しよう。


「やあ?…君可愛いね?」


褒められているのだろうか?

嬉しくはない。突然初対面で…ナンパ、してくるやつって本当にいるんだな。…それにしても顔だけで判断すれば、ドイツの人間か?わざわざここまで来たのだろうか。


ドイツ人風の男は構わず話を続ける。


「綺麗な金髪だ…名前はなんて言うのかな?」


上から目線か。今年できたばかりの学校だ、上級生なんてまともにいるわけもない。つまりは、私と同じ年齢でありながらナンパを軽々しくこの私にしているのだ。しっかり礼儀は返そうか。


「名前?…そうだな、私の名前はフルールだ。フルール・ルパラディ。」


「フルールちゃん、良い名だ。花の楽園か、本当に美しい。」


「褒められたところで嬉しく何てないよ。それで?何の用?」


「いやなに、挨拶回りをしていたらね、とびきり美人の君を見つけたから声をかけてしまったよ。」


バカなのか、こいつは。もう良い、さっさと教室に入ってしまおう。


教室に入ると、既に半分以上の生徒が席に座っていた。大体20人程度だろうか、前の黒板に席の表が貼ってある。それを確認すると他の人達と同様、着席する。


「…暖房が効いているな。」


暖房。そのままエアコンの風だが、この風はとても嫌いだ。作られたもの、と言えば少し不自然だが、化学ありきで生まれた風である以上、化学という概念が嫌いな私にとっては充分苦手の範囲だ。それでも寒さにまだ慣れていない私にとっては心地が良かったので、気にすることはなかった。


「さすがに、一人一人に挨拶する必要はないか。」


そうして、しばらく時間が過ぎると教師が見える。教師は教室の前へ立つと礼儀正しく挨拶を始めた。


「どうも、貝松八重保と申します。担当教科は禁忌未来開発です。以後宜しくお願い致します。」


珍しい名前だ。…それと、少し羨ましいが美人だ。いや、それより何と言った?禁忌未来開発?…なんだそれは?


「先生ー、禁忌…なんとかって何ですか?」


誰かが私の疑問を代弁してくれた。

日本ではそんな訳のわからないことを学ぶのか?…バカバカしい。


「ふふ、それを今からお教えしようかなと思いまして。」


そういうと、八重保は足元から大きな箱を取り出した。箱を開け、その中身を配り始める。いずれ、その中身が手元に回ってくる。


「これは…腕輪…?」


黒く、重い金属だ。これを付けろと言うのだろうか?


「皆さん、今から指示しますので、まずはそのブレスレットを付けてください。」


「えっ…と、付ければいいのか、そのままはめるのかな…」


腕輪を右腕に装着する。ただはめただけだが、やはり重量感がある。手をあげられないほどでもないが、純粋に金属の重みを感じた。


「はい、それでは皆さんご一緒に」


そう教師は指示する。何を?…と思う間もなく、八重保は指示の内容を口にした。


「ウィー・スウェア・ター・ザー・エル・オー・アー・ディー・ザット・ウィー・アー・レスキューイング・マンカインド」


「先生、もう一度言ってください?」


誰かが問う。…英語だな、主に誓え、だ?日本は仏教と聞いていたが…。


教師は全員が言葉を覚えられるまで繰り返す。少し時間をかけて生徒がその言葉を覚えられると改めて教師は同じ言葉を口にする。


「はい、それでは皆さんご一緒に!」


『ウィー・スウェア・ター・ザー・エル・オー・アー・ディー・ザット・ウィー・アー・レスキューイング・マンカインド』


私もここでサボるわけにはいかない、と思い言葉を繰り返す。その際、隣のクラスからも同じ言葉が聞こえた。全クラスで行なっているのだろうか…?


しかし、その“言葉”を繰り返した瞬間に視界は暗転しブラックアウト。意識も同じように消えていくのだったーー。


ーー目が醒めると、そこは遺跡のような場所だった。

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