子供なりに大人のように
朝のホームルーム(我が中学校では朝の会と呼称している)が終了すると、アリスに人が群がりだす。
この田舎に転校生というのは珍しい、しかも銀髪に青い瞳などという、目立って仕方がない見た目をしていれば、人気も出るというものだ。
僕達はもう散々話したからわざわざ彼女のところに赴く気にはならないけれど。
「そういえば、弓弦と真千はどうやってアリスと知り合ったの?」
僕と望が彼等を見つけた時には、もう随分仲が良さそうだった。
まぁ、弓弦と真千は変人なのを置いておけば、コミュニケーション能力が高いから、大体の人とは仲良くできるのだけど。
「ああ、前を可愛い子が歩いている!制服が同じだ!と真千がはしゃぎだしてな、そのまま突撃といった具合だ」
なるほど真千らしい。アリスはびっくりしただろうな。
「だって銀髪やよ!?しかも後ろ姿からでもわかる超美人!これを放っておいて何が女よ!」
「テンション上がりすぎでしょ……」
あまり話は表に出ないが、弓弦と真千は恋人同士ではなかったか。いや、相手が女だから浮気にはならない?……確実にそっちの方が問題あるよね。
「オレはなーんか気に入らねぇなぁ、昨日も、さっくんに色目使ってただろ、あいつ」
「そんなの使われた気、ないけど」
寧ろ殺されかけたのだが、どういう認識をしているのやら。
「色目っつーと語弊があるけどよ、どさくさ紛れにさっくんにあんなに近付いて、さっくんの隣はオレのもんだってーの!」
そういうことか……待てよ、やっぱり殺されかけたことが眼中に無いんじゃないのかそれ。
「おーおー、お熱いねぇ2人とも、シャーベットみたいなうちのゆづくんにも見習ってほしいわ~」
シャーベットなら美味しそうだから良いんじゃなかろうか、真千の言語センスがわからない。
「オレの心はバーニングしてるけど、さっくんは岩のようにびくともしないぜ?いくら誘惑しても興味なさそうにすんだよ」
「恥ずかしがっとんのやないん?それともまさか、朔っちってばそっちの趣味が~!?」
「何、朔、衆道へ走るのは流石にどうかと思うぞ」
「弓弦、生々しい。というか僕、そんな趣味無いからね!至ってノーマルだから!」
「ならオレに魅力が無いとでも言うのか!ひでぇぞ!オレに恥辱を味わわせておいて!」
「君は自分の意思でタオル1枚でいるでしょ!?」
「望さん、いつもそんな格好してるの?」
うわっ、驚いた。いつの間にかアリスが後ろにいた。またあの高速機動を使ったのだろうか、見れば、クラスメイトがぽかんと口を開けている。
「なんだアリス、いつからいやがった!」
「朔君にそっちの趣味があるとかどうとかの話からかしら」
話を戻さないでほしい、このままでは変な噂が広がりそうだ。
「朔君がどんな趣味だろうと私は気にしないわ、あ、他意は無いから、望さん、殺気を収めてくれないかしら」
ゾッとするほどの赤と黒の『色』が望から放たれていた。どれだけアリスを嫌っているのだ。
「望、大丈夫だよ、他の娘を変な目で見たりしないから」
なだめるために言ってやると、ようやくいつもの綺麗な『色』に戻ってくれた。
「それだけのことを言うのに、貴方達って付き合っていないの?不思議な感じだわ」
「そんなの通り越してさっくんはオレの嫁だからな、そもそも四六時中一緒だってのに今更付き合うって何すりゃいいんだ」
「それ、朔君の同意は取ってるのかしら」
「ああ、うん、半分勢いだったけど、貰ってねって言ったよ、もし約束破ったら殺されるね、確実に」
「そうだな、さっくんを殺してオレも死ぬ。浮気相手がいるならそいつも殺す」
望の過激な発言にアリスはかなり引いている。うん、怖いよね、僕もちょっと怖いし。
「それで、僕が望に手を出さないのは、結婚する前にそういうことしちゃいけないでしょっていう考えがあるわけであってね、決して男が好きとかそういうんじゃないから」
「うむ、その考えには俺も賛成だな、身持ちはしっかりしていなければ」
「2人とも古風なんやな~、この時代、そんなこと言う人おらんよ~?」
そうかもしれないけど、最近の若い人は自分の体を大事にしない人が多いと思うのは、僕の勘違いではないと思う。望とこれからも平和に暮らしていくには、ルールを決めないと、やっていけないと思うのだ。
あまり話が進まない……今後の展開を考える必要がありそうです、頑張ります。




