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吸血忌譚  作者: 腹痛朗
16/26

嵐はそよ風の如く

 翌朝、いつものように朝食と広史さん達のための昼食を作る。僕の朝食は、余ったカレーに余った炒め物を入れたものだ。命名するなら、『混沌辛子粉入り汁かけ飯』だろうか、自分で考えていて食欲が失せた。早く食べてしまおう。


「ふぁあ、っはよさっくん……ものすげえ料理作ってんなオイ」


「大丈夫、望の分は別にパンとサラダ作ってあるから」


同じメニューを広史さん達にも振る舞って、見送っている。他人にこれを食べさせるわけにはいかない。


「死ぬなよ、さっくん」


「食べられるものと食べられるものを合わせたんだから死なないよ、恐らく、きっと」


「自信吹っ飛んでるじゃねぇか!やめとけよ!」


「聞く耳持たん、全身全霊を込めていただきます!」


望よろしく、混沌辛子粉入り汁かけ飯を掻き込む。喉を通してしまえば味を感じる暇はない。そして水で追い打ちをかけるッ!


「さっくん、アンタ、おとこだよ……」


不良漫画にでも出てきそうな台詞を吐きながら、望はうっすら涙を流していた。

実際問題、そこまで不味くもなく美味くもなかった。カレーの味の強さ恐るべしである。



***



毎日騒がしい朝を過ごしつつ、通学路を歩いていると、お馴染みの2人に遭遇した。

……否、もう1人、見覚えのある人物がいるような気が……


「あれって、アリス……?」


「そうよ望さん、今日からよろしく」


もう見慣れてしまった彼女の高速機動、銀髪の少女、アリスが僕らの隣にいた。


「ほう?アリス嬢は武術の心得でもおありで?」


「今、見えんかったんやけど……」


一応は一般人である彼等は、アリスの動きに面食らっている。何してるんだ、この似非外国人め。


「アリス、あんまり派手なことするのは良くないんじゃないかな」


「いーやそれよりもだ、どうしてお前がここにいんだよアリス!」


「おや、朔と望はアリス嬢の知り合いだったのかな、中々数奇ではないか」


「こーんな可愛い女の子、今までどこに隠しとったんな、水臭いなぁ」


ああ、これは良くない、話が逸れる逸れる。どうにか収束させねば。


「僕から説明させてもらうけど、アリスは僕らが帰った時に会ってね、なんというか、手助けして、くれた、というか、うん、そういう感じ、だから僕と望も正しく昨日の今日なんだ。それでアリス、君はどうしてうちの学校の制服着てて、通学路を歩いているのかな」


「あら、頭の良い貴方ならわかるんじゃないかしら、転校してきたのよ、私」


ですよね。くそぅ、もうどうにでもなれ。


「うむうむ、我等四天王を束ねる魔王と言ったところか」


「おいおい、ポッと出の新キャラに魔王は名乗らせねぇぜ、下っ端だ下っ端」


「私、そんな妙な集団に加入した気は無いのだけど」


「アタシらに声かけた時点でもう逃げられんよ~変人、変態、偏屈者の集まり、知る人ぞ知る天才集団、鷹原中学四天王なんやから」


「だから魔王とかなんとか……子供ね、まったく」


その点に関しては同意である。というか周りが勝手にそう呼び出しただけであり、僕達に罪は無い。


「それじゃ、私は色々手続きがあるから、ここで別れるわね、また後で、四天王の皆さん」


気付けば、もう校門の前だった。時間が早く過ぎるのは良いのか悪いのか、スローライフというものを送ってみたいものだ。



***



そんなこんなで教室に到着。相変わらず『色』は見えっぱなしだが、慣れというのは凄いもので、もう気分の悪さや頭痛は消えている。

自分の席に座れば、丁度先生が教室に入ってくるところだった。

教室は既に、廊下側に1セット増えた机と椅子の存在に沸いていたし、先生の第一声も、クラスメイトの期待を裏切らないものだった。


「えー、突然だが、転校生を紹介する。家の都合で、始業式から1日遅れてしまったそうだ。入りなさい」


はい、と涼しげな声が扉の向こうから聞こえた。その声が美しい女性の声だと察して、男子は歓声を上げ、女子は興味を薄めた。

満を持して扉が開き、青い瞳の少女が入ってくる。

クラスメイト全員が、言葉を失った。


「伽夜アリスです。名前の通り、ハーフで、髪や目の色もこうですけど、日本生まれ日本育ちです。これから仲良くしていただけると嬉しいです」


語尾に音符マークでも付きそうなほど明るい声だ。何故だか猫を被っているらしい。


「伽夜の席は廊下側の1番後ろだ。伽夜は慣れていないだろうから、皆もサポートしてやってくれ」


学校という日常の象徴に吹いてきた風は、いずれ暴風となってあらゆるものを掻き乱す存在感を放っていた。

今時、ハーフのことはダブルというらしいですね。半分ではなく2倍なのだ、というポジティブな考え方です。

作者としてはこちらを使いたいのですが、定着度的にハーフの方を使っていく予定です。

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