005
書きたい時に書く!
朝。
僕は、むず痒さを感じ目を覚ました。
耳元で、すー、すーという寝息が聞こえる。
左を向くと、そこにはサムロスの姿ではなく、眼鏡をかけた女の子の寝顔があった。
「うああああ!?」
咄嗟にベットから飛び降りる。
「うんんん~」
眼鏡をかけた女の子が眠い目を擦りながら起きた。ずれた眼鏡を掛け直しながら気だるそうに挨拶をする。
「おはよう~」
不思議な声だなぁ。
女の子の声なんだけど、男の子の声にも聞こえる。
格好も不思議だ、見たことがない。
たれ目で、髪は短くボサボサ、色は白。そして、フードが付いている、大きな紫のシャツを着ていた。
気だるそうな雰囲気の彼女にとても良く似合っている。
肌は程よい色で柔らかそう。
そして、体に似合わぬ大きな服の所為だろうか? 自然と胸に目がいく。
おじいちゃんから教わった、引力ってやつも働いているのかもしれない。
ふむふむ、膨らみは、かすかにあるみたいだ。
眼鏡に、貧乳か、で、気だるそうなオーラを放つ。
今度、おじいちゃんの絵本や紙芝居に登場させてもらおう!
じゃなくてじゃなくて! なんで隣に寝ていたんだ?
「あなたは誰? なんで僕の隣で寝ていたの?!」
「頼まれたから」
「いや、頼んでない、頼んでないよ!?」
「あー。君じゃない、君のおじいさんからだ。あとこれ、手紙」
眼鏡をかけた女の子は、立ち上がり、短いズボンの右ポケットから手紙を取り出して僕に渡した。
ズボン穿いていたのか、大きいシャツで隠れて分からなかった。
手紙にはこんなことが書かれていた。
バカたれが!
あれ程、入るなと言っていた部屋に入り、しかも儂の描いた絵本を開くとは、どういうことじゃ?!
ビクビクしならがら家に帰ったら、中は滅茶苦茶で、片付けるの大変だったんじゃぞ!
しかも、少し、物が無くなっていたし......。
帰ってきたら、ただじゃ済まさないからな! ロイ!
で、元の世界に帰る方法じゃが。
簡単じゃぞ、この物語を完結させれば良いのじゃ、完結させるといっても、別に変なことをしなくて良いからの。
恐らく、お前は『信じる心を無くした王子』の中にいるはずじゃ。
だから、黒幕を倒して、王子の心を取り戻せば、その世界からは脱出できるじゃろう。
あと伝えることは......。
そうだ、そうだ。魔物が出現する。
まぁ、単純な思考しか出来ないから、お前じゃったら、大丈夫じゃろう。
あ~あと、困難が立ちはだかった時は、何もせず、ただ物語という川の流れに身を任せることじゃぞ、そうすれば道はひらけるじゃろう。
多分、困難など無いと思うが。
何故なら、儂の弟子を送り込んだからじゃ。
彼女は素晴らしい。服装は整ってるし、ハキハキと喋り、機敏に行動をすることができる。
彼女の意見をちゃんと聞くんじゃぞ。
ではのう~頑張るのじゃぞ~。
006 楽しみにお待ちいただければと思います!