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一人の少年と魔法の本  作者: 髙梨
第一章 信じる心を無くした王子
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002

 何故こんなことに……城の前に立っただけで罪なのだろうか。


「君はどんな罪を犯し、ここへ入ることになったんだい?」

 不意に若い男の人が優しい声で話しかけてきた。

「僕は何もしていません! 気づいたら城の前に立っていて、それだけなんです! なのに王様は僕のことを隣国の敵だとか言って……」

「そうか、すまない。私の弟が無礼を働いて……」

 弟? てことはこの人はあの王様のお兄さん?

「あなたは誰なんですか?」

「私の名前はサムロス。この国の王、サムハンの兄だ」

「何だって! 何故そんな人が牢に!?」

「数日前、この国『ウィサム』の王であり私の父であるローム王と母のサティ女王が何者かによって命を奪われた。すぐに私が疑われた、王の座を狙っていたのではないのかと。私は否定したが、ほかに父と母を殺して得をする者は誰もいなく……そして弟と大臣であるバマンにより罪を問われここに入れられた」

「得する者はいないって、隣国の王とかはどうなんですか? 敵なんでしょ?」

 サムロスは首を左右に振って否定した。

「それは違う、父が死ぬ前までこの国と隣国の『アリハン』は良好な関係だったのだ。関係が悪くなったのは弟がこの国を治めることになってから。急に弟がアリハンはこの国を狙っているなどと言い始めたのがきっかけで悪くなった」

 そんなことが……にしても何故急に弟がそんなことを言ったんだろう。

「私は大臣が犯人だと思うのだ」

 急にサムロスは言った。

「大臣が犯人?」

「今、弟は人を信じることができなくなっている、唯一信じているのがいつも父の隣にいた大臣バマン。つまり弟はバマンのいいなり。国を治めているのは見かけは弟だが本当はバマンなのだ。そしてバマンは父と母が亡くなる数日前から何故か弟の面倒を見るようになった。その頃から弟は疑い深くなり始めた。怪しすぎるのだ」

 これは多分。大臣が犯人だろう。でも大臣が犯人であることをどうやって証明すれば……。

「大臣が犯人だとしてそれを証明する方法はあるんですか?」

「ある。しかしここを出なければ無理だ」

 脱出か。牢から出られるのは一日に一回の食事のときだけ、その時しかないな。でも見張りの兵士がいるからすぐに捕まってしまう。兵士をどうにか……。サムロスは何か方法を思い付いているのかな。

「サムロスさんはここから出る方法って思い付いているんですか?」

「あ~そんなさん付けなんて、普通にサムロスで良いよ畏まる必要もない。そういえば君の名前を聞いてなかったな。なんて言うんだい?」

 あぁそうだ。自分の名前名乗らずに相手の名前だけ聞いてしまっていた。

「僕の名前はロイって言います。」

「ロイって言うのか、良い名前だな。遅くなってしまったがよろしくな、ロイ」

「よろしく、サムロス」

 僕とサムロスは握手した。大人の人の手は大きくて暖かい。

「それで出る方法って思いついてるの?」

 う~んやっぱり年上の人に敬語無しはなんか変な気持ちがする。

「思いついている。しかし……。む、兵士が来るみたいだ。この話はまた明日にしよう」

 もう夜になったのか。確かに今まで聞こえていた色んな人達の声や足音が聞こえなくなっている。

 兵士が降りてきた。今度の兵士はどこか頼りなさそうな兵士だった。理由は言えないけど、そういうオーラを放っている。

「お、おい食事の時間だから、出てくるんだ」

 鍵を挿し扉を開ける、兵士震えている……?

「お前ら、大きい音出すんじゃないぞ?! 絶対にだ!」

「分かりました……」


 城の中は食べる所だけ明かりがついていてほかの所は真っ暗だった、床が見えないほど。

 ご飯を食べる所につくと、長い机の上にはカップと銀のスプーンが一つずつあった。ご飯ってスープだけなの!?

 あまりの少なさにがっかりしていたら、兵士が周りをきょろきょろ見ながら言った。

「早く席について食べてくれ、俺は自分の部屋に一秒でも速く戻りたいんだ」

 眠そうじゃないし、もしかして暗くて静かな場所とか怖いのかな。

 僕とサムロスは席につく、カップの中には甘い香りがする黄色のトロトロしたスープが入ってた。粒? みたいなのも入ってる、おいしそう……。

 食べようとスプーンを手に取ろうとしたら僕は手を滑らしてしまい、スプーンを落としてしまった。

 静かな城内に金属音が鳴り響く……。不味い、やってしまった。

「ひぃ!?」

 すると兵士が悲鳴を上げた、結構大きい。慌てて僕はスプーンを拾った。

「すみません……わざとじゃないんです」

「わ、分かったから早く食べてくれ!」


 僕たちは急いでスープを食べ、牢に戻った。スープはやっぱり甘くておいしかった、温かさもちょうど良くてふーふー息を吹き掛けなくても食べられた。あの粒なんだったんだろう、プチプチ弾けておいしかったけど、アルミスおじいちゃんにも食べさせてあげたいなぁ。

 そんなことを考えながら、僕は眠りに入った……。

 二話?です。

 成長してれば良いのですが……。次回もよろしくお願いします。

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