放課後
視線の主がわかったけれど、ボクは何もする気はない。だって関わる気もないし、ボクが被害を受けなければいいんだから。
「桜野さん!ぜひ俺とお友達に!」
「いーや、俺と遊びに行こうよ!」
「お前、でしゃばんな!引っ込んでろ!!」
ガヤガヤと男子達は桜野さんの席に群がっている。必死すぎて周りが引いてるのに気が付いてない…。
このクラスで1番可愛いと言っても過言ではないからね。お近づきになりたくない奴の方が少ないか。ボクみたいに。
「あ、あの伏見さん。よかったら」
「言ったわよね。アタシに関わるなって。アンタ達には興味すら沸かないから」
おっと伏見さんをお誘いする勇者は存在していたのか…。断られるのを分かってながら、頑張るね…。
あ~あ、空気悪くなってるよ。こんな時はさっさと消えるに限るね。
どうせ、もうすぐ…
「おいおい、お前ら落ち着けよ。桜野さん達も困ってんだろ?
それにクラスのみんなとも話そうぜ」
やっぱり、出てくる頃だと思っていたよ、神戸君。ホラ、君の一声でクラスが静かになったよ。女子は顔を赤らめ羨望の眼差しを、男子は恨みがましく嫉妬の視線を向ける。
それでもイケメンスマイルは崩さないんだよね。
「何なら今からみんなで遊びに行かね?
親睦会も兼ねてさ!
なっいいだろ?」
帰るタイミングを失ったじゃないか。どうしてくれる?
それにさ…君の言うみんなの中から何人ハブいてるの?
「アタシは行かないから」
「伏見さん、そんなこと言わずにさ。きっと楽しいよ」
「アンタ達は仲良くトモダチごっこでもしてなよ。その中にアタシは入りたくもないけどね」
キッパリと断って教室を出ていった。カッコよすぎだよ…ボクが女子だったら惚れてたね!!
神戸君は呆然。女子はこそこそと陰口を叩く。所詮こんなものか…。
幸いボクは眼中にないようで、伏見さんに便乗して教室を出た。誰も気付いてないよ…ちょっと悲しい
「アンタ、染井…だっけ?アイツらと遊ばなくていいの?」
下足場で不良に絡まれた…訂正、伏見さんに絡まれた。怖い過ぎるよ。もしかしてカツアゲ?
「別に。あんなのって一部の人間が楽しむだけさ。ここだとカーストトップの集まりと、おこぼれを頂きたい連中だけがね。
1人をを好むボクはにはつまらないし、時間の無駄になるだけだよ」
「クククッ!中々言うじゃない。気に入ったよ
これからヨロシクな、染井」
ボクおもしろいこと言ったかな?とにかく笑いながら帰っていった…。
まいったな…厄介な人達に気に入られちゃった…
今日は厄日かも…二度あることは三度あるとか?
さっさと帰ろ。そう思って玄関を出ようとした時
「あっあの!待ってください染井くん!」
名前を呼ばれたから仕方ない。振り返ると何故か桜野さんが立っていた。
二度あることは三度あるって本当だったんだ…。