少女の過去
わたしは彼に会った日、4歳の春の日を、彼は忘れてしまっているでしょうけど…今でも鮮明に覚えています。
だって、その時にはもう彼には好きな子がいたんですから。
当時1番可愛いと言われていた子なんですよ?それに彼の幼馴染み。
だから、片想いを続けることしかできません。
ズルい!なんで、わたしがソコにいれないの?嫉妬して、そんな自分が醜くて…。
それでも、彼はわたしを気に掛けてくれました。
内気で、ちょっとオドオドしてたけど、とっても優しいくて、いつの間にか好きになっていました。
断られることが怖くて、いつも後ろを付いて行くだけだけど、幸せな毎日。
そんな日々は長く続きませんでした。
小学2年生。両親の都合で遠くへ引っ越すことになりました。
別れることが嫌で、ワガママ言って、たくさん泣いても変わるはずないのに…。
それでも彼は励ましてくれました。いつも笑って、時には怒って、泣いて話し続けてくれました。
だから勇気を出せたんです。
「あっ、あの、ね。また…また会えたら。
わ、わたしね。もっとかわいくなって、かえってくるから!
そのときは…おっ、おつきあいしてください」
夕暮れの公園で告白しました。きっと顔を真っ赤にして湯気を出していたでしょうね。
彼も真っ赤になって、でもキチンと応えてくれました。
「ぼ、ぼくとっ!?
でっ、でもぼくは…ももちゃんのことがすき。
だけど、またあおうよ!
だから、そのときはまた…ともだちだよ!
ぜったい!やくそく!」
「うっ、うん!!ぜったい、ぜったいだよ!!」
今度は嬉しくて泣いちゃいました。
その日約束を交わしてわたしはこの町を去りました。また帰ってくると誓って。
あれからもう7年になりました。自分を磨いて、辛いことや悲しいことも、彼との思い出が守ってくれて…
ようやくここに帰って来て 、奏城学園高等部に入学です!
ただ、彼がどの学校に進むか分からないのが残念です… 。たぶん離れ離れですよ……。
いつ会いに行こうかと考えながら、クラス分けが貼り出された紙を見に行って…
たまたま隣に立っていた男子の声が聞こえて、思わず振り向いて、運命だと思いました。
声は低くなって、随分と見た目も変わっていますが、あの頃の面影が残っています。
やっと、やっと会えた!嬉しくて、じっと彼を見つめます。
約束、守って戻って来ました!
絶対振り向かせてみせますから…覚悟してくださいね♪
きざし君♪