入学Ⅲ
未だに男子は先生に夢中みたい。まぁ、ボクも多少は嬉しいんだよね。流石に隣のクラスみたいなおっさんは嫌だから。
……また視線を感じる。まさか一緒の学年でクラスメイトだったなんて、まったく誰なんだ?
「は~い静かにしてください。
それじゃあ、窓側の席の子から自己紹介をしていきましょう!」
しまった、忘れてたよ。別に問題はないか。視線の主も誰か分かりそうだし、観察させてもらうよ
やれやれ、初日から疲れるよ。
「神戸 仁です!クラスの皆とは1年間仲良くしていきたなって思ってます。
ヨロシク!」
おっと爽やかなイケメンスマイル。このクラスのカーストトップは彼に決まりだね。皆とは仲良くなんて、ボクはお断りだよ。
「伏見 出雲。
別にアンタ達と仲良くする気はないから」
キッパリと言ったね~。腰まで届く黒髪をポニーテールにして纏めた、クール系。
彼女となら仲良く…、いや、まだ様子見だ。
なかなか個性が強い。特に伏見さんの時、先生困ってるし大変そうだ。
おっと、そろそろボクの出番だね。
今さらだけど、席順バラバラだったんだ…。ボク真ん前なんだけど。後悔してもしょうがないや。
さて、無難に挨拶しましょうか。
「染井 兆です。あまり人付き合いは得意ではありませんが、よろしくお願いします」
こんなもんか。誰か話し掛けて来ても適当に流すつもり。
けど伏見さん、ずっとこっち見てたな。睨まれてるのかと思って怖かった。それにボクの中を見透かしてる気がする…。
でも、あの視線とは違う。
そんな感じで自己紹介は進み、残すところはあと3人。
「はじめまして。
桜野 芳乃と言います。
皆さん仲良くしてくださいね♪」
誰もが見惚れる笑顔を向ける彼女。何人か絶対惚れてるよ?お疲れ様。
でもボクから視線を外そうとしないね?これは確定かな…