入学Ⅱ
道に迷ったボクに話し掛けてきた謎の先輩(超美人) だけどボクの苦手な部類の人間だ…。さっさと逃げるに限るよ。
「初対面の人間に、いきなりですか。すいません。名乗るつもりはないです。
それより、早く教室の場所を教えてください」
「あら残念。私、君のこと気に入ったのに~。
だから一応紹介させてもらうわ。
私は山科 紅葉。3年生よ。
ヨロシクね」
可愛らしくウインクを決めてくる。確信した、この人絶対モテる。関わりたくない人間だ。
「それはご丁寧にどうも、先輩」
「つれないな~。あ、もうこんな時間、早く行かないとね。Aクラスはあっちよ。
それじゃあ2人とも、また会いましょう」
2人とも?ボク以外にも誰かいたのか?まぁいいやボクとしてはもう会いたくないけど…
一応おじぎをして離れた。
何か入学早々、面倒なことになったな…。
やっと教室に着いた。どうやら反対側に行っていたようだ。教室に入るとボク以外の生徒は揃っているみたい。座って近い席の生徒としゃべってる。
つまり皆の視線をひとり占め!
……………恥ずかしい。
「あっ!やっと来ましたね。え~と…染井 兆君ですね?
席は空いている所をって、1ヶ所しかないですね…とにかく座ってください」
「すいません。道に迷ってしまい遅れました。
どうやらボクが最後みたいですね」
「いえいえ、それは仕方がありませんね。
コホンッ!気を取り直して、私が今日から皆さんの担任になります、榊 笑美と言います
仲良くしていきましょうね」
若くて親しみやすそうな女の先生だからって、男子諸君、盛り上がり過ぎないようにしようね。
女子の目がとっても冷たくなってるんだ…。落ち着いてくれないかい?
今では女子という存在がボクにとっては恐怖でしかないんだ……。