42 その手に掴むは、 3
マレッド王都を脱出して十七日、セルシオたちはリンカブスの王都に来ていた。馬車は街に入る一時間前に小さくして、リジィのリュックに入れた。
ここに来るまでに力で道具を生み出し、馬車での生活は快適になっており、街への出入りも自由になっていた。
馬車の中には水が無限に湧き出る壷があり、食料を年単位で保存できる箱があり、地面からの振動を全部吸収する絨毯があり、空間を自在に伸縮できる杖がありと、傭兵が使うには有り得ない道具がずらりと並ぶ。
ほかに「人変わりの仮面」や「伝書造鳥」という道具や、念のために百人以上の傭兵を吹き飛ばせる使いきりの道具も作っている。千人単位で吹き飛ばせる道具もあったが、それは過剰だろうと作ることはなかった。
あとは壊れたシデルの斧の修復や各人の装備も強化していた。
人変わりの仮面は変装用の道具で、秘匿されている道具でもある。これによって街に入っても怪しまれなくなった。これは身長体重は変えられないが、顔や肌色や髪や声を変化させられる。これを使い、見た目を完全に変えたため買い物もできるようになった。
もう一つの伝書造鳥はシデルのための道具だ。見た目は尾長と変わらず、声を記憶し、時速百キロで飛ぶ。道具としての価値は幻煙の香炉や人変わりの仮面ほど高いものではない。作り方は喪失してしまっているが、世界に千ほど残っている道具だ。オータンが心配しているだろうと、本人に確実に無事を知らせられる道具がないか聞き、探しだした。心配のあまり体調を崩していたオータンは、シデルからの無事の報告で体調が安定し始めた。その返事を聞いて、シデルはほっとしていた。
王都に入った四人は宿を取り、仮面を外して寛ぎ始める。
占いで四人がリンカブスに向かっているとわかっていたが、検問を敷く時間はなく各国はリンカブスに門番の数を増やして怪しい者を探すように要求するのが精一杯だった。門番たちは魔法道具を使って変装しているとは思っておらず、堂々と通る者は見逃したため四人は街に入るのに苦労することはなかった。
のんびりと過ごし日が暮れ、仮面をつけたままでは食事はできないので、ゆっくりと食べたいという理由で部屋まで運んでもらう。お金を多めに払えば、ここらのサービスは怪しまれずにやってもらえる。
「一人で忍び込むんだろう?」
夕食を終えて、シデルが確認するように尋ねる。
「その方法しか取れそうにないからね」
検索による情報収集で、リンカブス王は周辺諸国との関係からセルシオを捕らえ差し出す考えとわかっていた。エルメアも表向きは賛同しているが、助けてもらったお礼としてひっそり匿う方向で動いている。そんな動きを王はなんとなく察しているため、見張りをつけている。だからエルメアたちに会うという選択肢をセルシオは取らなかった。
ならばどうしようかと考え、城に忍び込みオルトマンを治療してしまおうと思ったのだ。その時に頼みごともするつもりだ。
変化で治療可能だと検索によって判明している。やることは薬を飲まされる前まで肉体時間を戻す。これでオルトマンは元に戻る。
「透明化でしたか。そんなことができるなら、楽に忍び込めそうですわね」
「姫様を助ける時より楽そうだよね」
二人は貴族の屋敷に忍び込んだ時のことを思い出している。
「オルトマンさんを治したらすぐにここを出て行くんだっけ?」
「滞在すると居場所がばれる可能性が高いからね。慌しくてごめんね」
ごめんという言葉に置いていくことへの謝罪も込められていた。
「兄ちゃんと一緒にいられるなら、慌しくてもなんとも思わないよ」
愛しさに表情を弛め、罪悪感を心に秘めて、セルシオはリジィの頭を撫でる。
その仕草にリジィは少し首を傾げたが、気のせいだと流す。
夜になって力が戻り、早速体を透明にしたセルシオは起きている二人に確認してもらう。
「どう? 見えなくなってる?」
「ああ、消えたな」
「失礼」
一言断り、イオネはセルシオがいた場所に手を伸ばす。ある程度近づくとイオネの手も消える。伸ばした先にセルシオの胸があり、鎧の表面に手が触れた。
「ちゃんといますわね」
「成功だね、じゃあ行ってきます」
リュックを背負ったセルシオは扉へと向かう。
見えないセルシオにシデルが声をかける。
「リュックも持っていくのか?」
「なにがあるかわからないから念のためにね」
リュックには人変わりの仮面や煙幕が入っている。それもそうかとシデルは頷く。
宿を出たセルシオはまっすぐ城を目指し、途中で見回りの傭兵とすれ違う。気づかれなかったことで大丈夫だと確信を得た。気配を抑え、静かに歩けば大抵の傭兵は気づかない。中には勘の鋭い者もいたが、そういった者も、姿が確認できないと首を傾げるだけだった。
ここの城には堀はなく、七メートルの城壁で囲まれている。入り口は城門の一つのみ。あとは以前通った隠し通路がいくつかだ。
今城門はしっかりと閉じられているので、侵入するのは城壁を登るしかない。登りやすそうな場所を探して、えっさほいさと十分ほどかけて城壁のてっぺんに着く。今度は城壁を下りて城内に侵入成功した。
(ふう、疲れた。さてとここからオルトマンの部屋に行くには)
正面入り口へと歩き、部屋を目指す。オルトマンは地下からアズとミドルに与えられた部屋近くに移されている。タイロスから命令を与える方法を聞きだしており、それにより飲み食いはできているので衰弱死や飢え死にはしない。
簡単に部屋前まで来ることができたセルシオは、周囲の気配を探って誰もいないことを確認して、扉を静かに開け入る。
部屋の中は暗く、ベッドに誰か寝ているのはわかるが、それがオルトマンかはわからない。
暗さに目が慣れて、ベッドに近づき、顔を覗き込むとオルトマンだと確認できた。
そのオルトマンの額に指を当て、変化の力を使う。暗くてセルシオには見えないが、オルトマンの皮膚の状態などが健康体へと変わっていく。次に先ほどまでの状態に戻らないように、変化の固定化を施す。このままだと戻した時間を辿り、薬を使われた状態へ戻ってしまうのだ。固定化を施せば、戻した時間から新たな時間へと肉体は時を刻んでいく。
(これで大丈夫だと思うけど)
「オルトマン」
小声で呼びかけ、体を揺らす。それに反応し、何事もなかったかのように目を開く。
「んん? 誰だ?」
「小声でお願い」
「その声はセルシオか? ちょっと待て明かりをつける。暗くてどこにいるのかもわからない」
「それは駄目。忍び込んできてるから」
「忍び? なにがってそういや俺は!?」
いろいろと思い出してきたのか、体を勢いよく起こす。
「忍び込んでるって言ったろ、静かにしてよ」
「ここは? 俺は確か……兵に捕まって……駄目だ、そこで記憶がとぎれている」
薬を飲まされたところまで記憶を戻すならば、牢の中にいたことも覚えていなければおかしいが、加減を間違えて兵に捕まったところまで戻したのだ。
「色々と説明するから、静かに聞いてよ?」
「頼む」
セルシオはアズがアーエストラエアに来たことから話していく。ところどころ飛ばしたが、一時間ほど話し続けることになった。
「適格者か、それは聞いたことないが、現に姿見えないからなぁ。それはそうと礼を言わないとな。姫とアズを助けてくれて、ミドルに力を貸してくれてありがとう」
「友達で仲間だから当然」
「それでもこの恩は中々返せそうにないな」
「頼みがあるんだ、それで聞くことで恩を返したことにしてほしい」
「俺にできることなら言ってくれ」
頼みを口に出し、三十分ほどしてセルシオは部屋を出る。
そのまま侵入時と同じルートで城を出た。
翌朝、扉が開く音が目を覚ましたオルトマンは体を起こす。
扉を見ると、呆然とした表情のアズがいた。起きる前のアズと比べると少し顔つきや体格に変化があり、一年近い時間が流れていることを実感した。
「よう、アズ。迷惑かけたな」
「お、お父さ、お父さんっ」
嬉し泣きで涙を溢れさせ、そのまま駆け寄って抱きつく。
号泣する娘をしっかりと抱き返し、そのままでいさせる。
「落ち着いたか?」
「……うん」
「起きて早々悪いんだが、ミドルを呼んできてもらえるか? 二人に話しがある」
「話?」
連れて来たら話すと言って、アズを部屋から出す。
すぐにやってきたミドルとも再会を喜び、その後扉を閉めてもらい、オルトマンは真剣な表情となる。
「どうしたんだ親父? そんな真面目な顔をして」
「二人はセルシオの置かれている現状を知っているか?」
オルトマンからその名が出てくるとは思っておらず、少しキョトンとした表情を見せるが、すぐに暗いものとなる。特にアズの変化が大きい。
「昨日な、いや今日か。夜中にセルシオが城に忍び込んできたんだ」
「セルシオが!? でもどうやって? 見張りは厳重だし……隠し通路を使った?」
透明になり正面突破したとは思いつかないアズは、地下通路のことを思いつく。
「いや、適格者になったことでいろいろなことができるようになったらしくてな? それで姿を消して、城壁を登って入ってきたんだと。んで俺の治療して、情報を話して帰っていった。今頃は王都を出てるだろうな」
二人はオルトマンの言ったことが理解できない。透明? 治療? と聞いた言葉が頭の中をぐるぐると回っている。
オルトマンも中々理解できなかったので、二人の困惑はよくわかる。
「実際に俺が元に戻っているし、そういうものなのだと納得しておけ。使っている本人も完全には理解できていないらしいからな」
二人も結果を喜ぶことにして、理解は諦めた。
「話を続けるぞ。セルシオは手配書が出回り、追われている状態ってのはあっているな?」
「うん。どうにかしたいけど、私の力じゃどうにもならなくて」
「姫様でも撤回はできないって」
二人は悔しそうだ。
「でも姫様は匿うことは考えているんだろう?」
「よく知ってるね?」
ミドルはアズ以外に教えては駄目だと念を押され、こっそりと知らされた。
「力とやらを使って調べたらしい。そこを使わせてほしいとセルシオから頼まれた」
「セルシオ、王都から出たんでしょう? 王都近くに潜伏してるの?」
もしかすると会えるかもしれないと目に期待の色が浮かぶ。
「いやすぐに離れるって言ってたな。匿ってほしいのは仲間たちだと言っていた」
「リジィちゃんたちのこと? 今王都にいるの?」
「とある宿に変装して泊まっているんだとさ。ミドルはこのことを王女にこっそりと、アズはその仲間にセルシオからの伝言を伝えてくれ」
オルトマンが起きたと知ればエルメアは見舞いにくるだろうが、見張りもいるだろう。その時に匿えってくれとは話せないので、近くにいる機会の多いミドルに頼む。
「一人で動くつもりなのか、セルシオは」
「一人の方が動きやすいと言っていた」
「リジィちゃんは泣いて、ほかの二人は怒りそうだわ。すぐに行って来ようと思うから、宿とか偽名とか教えて?」
オルトマンは頷き、教えられたことをアズに伝えていく。
アズは城を出て、ミドルはエルメアにオルトマン回復を伝えにいく。
教えてもらった宿のカウンターで、偽名を伝え部屋を教えてもらったアズは、ノックして返事を待たずに中に入る。
セルシオの帰りを待っていた三人は慌てて、マスクをつけようとしてできないでいた。
「アズでしたか、驚かさないでください」
「ごめんね。いきなりだけど、周辺に怪しい人がいないか気配を探ってもらえない?」
「どうしてだ? いや見張られているんだったな」
「そうらしいね」
シデルとイオネはこっそり窓の外を見たりして周辺を探っていく。
「調べたかぎりだといませんわね」
「そう、じゃあセルシオからの伝言伝えるね」
「ちょっと待ってください、伝言? まるでここにはいないような。まさかっ」
感づいたイオネを無視してアズは口を開く。
「『ここからは一人で行動する。再会は半年後になると思う。それまで三人とも元気で』これが託された伝言です」
「やられたっ」
シデルが拳をベッドに振り下ろす。自分も一ヶ月ほど前に同じことをやったのだ。それなのに気づけなかったことが情けなかった。
「たしかに理解はできます。あんな力があるんです、一人の方が動きやすいでしょう。でも理解はできても、納得はできませんわっ」
アズの予想したとおりイオネは怒りを抱いた。
そしてリジィは、無言のままで荷物をまとめだした。
「リジィちゃん?」
「追う。もう離れないって決めた。追いつく」
絶対に考えを変えないと固い意志が感じられた。
それにシデルもイオネも表情をはっとさせ、同じように荷物をまとめていく。
「ちょっと待って」
「待たない」
アズの言葉に、聞く気なしとリジィは手を止めない。
「それでも待って。私も行くから。準備が整うまで待って」
「姫様のことはいいんですの?」
「ミドルもお父さんもいるから大丈夫。助けられてばっかりだし、私もセルシオを助けたい。好きな人の力になりたい」
「あたしも兄ちゃん好き大好き……手伝ってくれる?」
リジィの強い視線にアズは頷きを返す。
リジィは手を差し出し、アズがそれを取り、そこにイオネが手を重ねて二人にウィンクを一つ。
シデルも手を重ねたかったが、なんとなく入れない雰囲気を感じ取り、苦笑を浮かべる。
急いで城に戻って、オルトマンにこのことを伝えようと部屋に入る。そこにはちょうどエルメアがいた。
「姫様」
「真面目な表情ですが、どうしたのです?」
「暇をいただきたく。父がこうして元気になり、心配事は一つになりました。その心配事を解消するため、まことに勝手ながら仕事を辞したく思います」
ミドルがなにを言い出すのかと口を開く前に、エルメアが口を開く。
「心配事とはセルシオのことですね?」
「はい。手配書が出たとはいえ、大事な友です。安否が気になっております」
「どこにいるかわからない相手を探すのですか?」
見張りがいるとこっそり知らされており、エルメアはセルシオの行方を知らないと演技する。
「はい。ここでじっとしているよりはましだと」
「……わかりました。寂しくなりますね」
そう言うとエルメアはアズを抱き寄せる。その時に耳元と小声で話しかける。
「頑張ってきなさい。好きなんでしょう?」
瞬間アズの顔が照れから赤くなる。その反応にオルトマンとミドルは首を傾げた。
「知って!?」
「何年友達をしていると思うの? それに私は同性よ? あなたの浮かべる表情や瞳の色には身に覚えがあるわ。強力なライバルもいるみたいだけどね」
リジィのセルシオへの好意はわかりやすいくらいで、付き合いの長くないエルメアでも見抜くことができた。
そっとアズを放し、身につけていた指輪を渡す。
「餞別よ。お金ないと困るでしょう?」
「お給料貯まってるので」
「あって困るものではないはずよ。念のために持っておきなさい」
ありがとうございますと頭を下げる。
話が終わったと判断し、オルトマンがアズに声をかける。
「お父さん?」
「俺も行くぞ」
それにアズは首を横に振る。
「病み上がりなんだし、あまり動かないほうがいいよ。セルシオはどこにいるかわからないから、あちこち動き回ることになる。体に負担がかかるよ。お父さんは一日でも早く体調を戻して、姫様を守って。ミドルもね」
「一人で平気なのか?」
「大丈夫」
リジィたちがいるということをオルトマンも知っていて、大丈夫という言葉に彼らと一緒にいくから大丈夫だと意味を込めた。
オルトマンは言葉に出していない返事を、表情や口調からきちんと受け取り頷いた。
「俺の分まで助けてやってくれ」
ミドルの言葉に、もどからそのつもりと頷きを返す。
行ってきますと力強く言うアズを見送る三人は、アズが独り立ちしたような感じがしていた。
部屋に戻って荷物をまとめて、午後三時前に城を出る。
宿に行くと、リジィたちが今か今かと待っていた。
「これからどう動くの?」
「まずはマレッド方面に向かう馬車に乗る。途中で降りて、俺たちの馬車に乗り換える。あと二日経たないと元に戻らないからな」
どういうことだろうと首を傾げたアズに、リジィは小さくなっている馬車を取り出し見せる。
最初は玩具の馬車かと思ったが、馬が動いていることと詳しい説明を聞いて、小さくなっていることに驚きながらも納得する。
「これを置いていったということはセルシオは追ってくることを予想していた? 追いかけてほしかった?」
「どうでしょうか? 予想していたらリジィに持たせることなく自分で持っていると思いますわ。どちらかというと姫様が匿いきれなくなった時に、逃げるための足を残していったのかも」
「俺もイオネと同じ考えだな」
二つの予想はイオネが正解だった。この馬車があれば大抵の悪路は突き進めるし、休息なしで逃げ続けることも可能なのだ。セルシオは力で大抵のことはどうにかなるので、リジィたちに残していった方がよいと思った。
宿を出た四人はマレッド方面の馬車に乗る。目指すはセルシオと必ず会えるだろうアーエストラエアだ。
一人リンカブス王都を出たセルシオは夜道を少し歩いて、小さな林の木に登って夜を明かした。
人買の馬車から出てアーエストラエアを目指していた時のことを思い出し、懐かしさと苦々しさを感じていた。
あの時のように無防備に寝ることはなく、気配に注意して浅い眠りで朝を迎える。
「警戒してくれて知らせてくれるような道具を探そうかな。ずっとこれだとさすがに辛いし」
朝食を食べた後、のんびりと街道を歩く。あと二日は姿が消えっぱなしなので堂々としたものだ。
リジィたちはセルシオとすれ違ったのだが、透明化のせいで気づくことはなかった。セルシオもすれ違った馬車に、リジィたちが乗っていることに気づくことはなかった。
その夜、警戒用の道具を作った後、一人でもなんとかできるように鎧に能力上昇効果を付与する。無理かなと思いつつ、全ての能力を一度に上げる効果をつけようとして成功し、一人驚いていた。これにより筋力運動器用魔力生命が1000上がった。レベル500分の上乗せで、体力気力はレベル220なのに能力はレベル720というおかしなことになっている。
自分自身の体を操作しレベルを上げないのは、強くなるのは自力でという思いがあるからだ。
剣にはシデルたちの装備を強化した時に、二つの強化を施してあるので改めて強化する気はない。もとからあった頑丈の魔法を最上級に変更し、絶対気絶の効果をつけている。全切断という分子原子結合に作用し斬れないものはなくなる効果をつけようかとも思ったが、対した人間を殺すことになると思い、少し気が引けた。
「体軽いな!」
どれだけ変わったのかと剣を振り、走り跳ぶ。これまではスキルを使わないと岩を斬れなかったが、今なら素の状態で斬れそうだった。スキルを使えば鋼すら簡単に斬り裂けるだろう。
「こんだけ強くなっていれば魔王級に遭っても逃げられる、はず」
人間相手なら大丈夫だろうと頷き、体を慣らすため走ったり、木の枝から枝へ飛び移っていく。いつかは自力でこの域に届いたらなと思いつつ、アクロバティックな動きを楽しむ。
作った道具を固定化したり、大治療薬などの新たな道具を作ったり、情報を集めたりしながら、上乗せされた能力のおかげで速いペースで進む。
これだと四ヶ月未満でアーエストラエアに着くと予測できたセルシオは、一直線のコースを変更して遠回りすることにした。
今はリンカブスを出て二ヶ月目、エルゼラン帝国にいる。このまま東へ進むつもりだったのを、北東へ変更しセイテン山脈に入る。セイテン山脈は北東の海からアーエストラエアに吹く風を防ぐ位置にあり、人が住まず魔物が多く生息する山脈だ。
襲い掛かってくる魔物を気絶させつつ、一番高い山を目指すセルシオはふと人の気配を捉えた。
「こんな場所に人?」
人変わりの仮面を被り、そちらへと近づいていく。
セルシオと同じ一人で山を登る男がいた。年は三十手前で、手に杖代わりの槍を持っている。それなりに鍛えていそうだが、強化されていないセルシオよりも弱いだろう。
暇潰しになるかもとセルシオは男に声をかけた。声のした方向がわからないようで、周囲へ槍を振り回している。
「だ、誰だ!?」
「ただの旅人なんだけど」
姿を現した変装済みのセルシオに警戒した視線を向けている。
「旅人がこんな場所にいるわけないだろう! ここには街なんかないし、旅のコースには不向きな場所だぞ!」
「修行とか高い山から地上を見下ろしたいからここに来たんだよ。そっちこそこんなところにいるのはおかしいだろうに」
修行や登山の理由に嘘はない。無茶ができ、暇もあるので風景を楽しみたく思い山頂を目指しているのだ。
ちなみに占いで場所特定の指示を出している者たちは、山に篭るつもりかと判断し、山狩りのためセイテン山脈に兵へ向けた。変装していることもばれているため、ここにいれば男も怪しまれ捕まるかもしれない。
一人で行動していることもばれて、リジィたちを人質にしようと居場所を特定しようとしたが、適格者のように目立ちすぎる特徴はないため、一国のどこかにいるという大雑把なことしかわからず、変装していることもあり捕獲は困難でしかない。
「俺は……いや修行と言ったな? 俺に雇われるつもりはないか?」
「お金はあるから遠慮しとくよ。こんなところに人がいてちょっと興味が出ただけなんだ。もう行くよ」
じゃあなと言って離れて行こうとするセルシオに、男は慌てた様子で声をかける。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
「なに?」
「一緒に行ってくれ頼む! 魔物が怖いんだよっ」
「いや怖いなら来なけりゃいいじゃないか。魔物の巣だぞ、ここ。まあ途中までならいいけど」
「助かる」
男はゲイターだと名乗り、安堵したように表情を少し弛ませる。
「俺はさっきも言ったようにこの山の頂上を目指してるんだけど、そっちは?」
「俺も一応山頂だな。そこからさらに移動するんだが」
「ふーん」
もう少し仲良くなれば目的を聞けるかもしれないと、聞くことはせず歩を進める。
「なにか目的あるみたいだけど、護衛を雇おうとは思わなかった?」
「金に余裕があるわけじゃないんだ。だから魔物避けの薬を買いこんだんだが、素直に雇えばよかったと思っているよ」
「だろうね。むしろそれだけでここまで来れたことがすごいよ」
セルシオも山に入ってここに来るまでに、五十匹近い魔物を気絶させている。これまでに遭った魔物の強さはダンジョン六十階辺りが最高だが、もっと奥に進めば強い魔物がいてもおかしくない。
ゲイターにペースが速いと言われたり、魔物を気絶させたりしつつ進み、翌日の昼過ぎに頂上に着いた。
「向こうの山の方がもっと高いのか。あっちにも行くかな」
風景を楽しむセルシオと違い、ゲイターは地図を片手に目的地を調べていく。数分地図と山肌を見比べて頷いていた。
「あの山に行くならもう少し一緒だな」
「そうなの?」
「俺の目的地はあそこの中腹だ」
二つ隣の山を指差す。その場所にはなにもない。少し木が少ないかといった感じだ。
鉱石でもあるのかと思いつつ、もうしばらくよろしくと言い、休憩の後に出発した。
二日後の昼前にゲイターの目的地に着く。
「岩が多いところだね」
ここにくるまでの山肌は土だったが、ここは岩が七で土が三だ。岩の色も材質も同じで、ここらにある岩はほとんど同じものなのだろう。
「ここまでありがとう。俺はこれから調べものだ。セオは頂上なんだろう?」
「うん、じゃあね。帰りに様子見に寄ると思うから、危ないことはしないようにね」
「ああ」
ゲイターとわかれたセルシオは自分のペースで歩き始める。歩みを止めるような障害はなく、その日の内に山頂に着いた。魔物はダンジョン三百階辺りに出てくるものもいたが、剣にかけられた絶対気絶の魔法はしっかりと効果を発揮した。
登ってきた反対側には草原が見え、その向こうには初めて見る海が広がり、登ってきた側には森や平原が広がる。遠く遠くに行ったことのない街がかすんで見える。どこまでも続く両方の景色に圧倒される思いだ。
「広いなぁ」
しばらく景色を楽しもうとそこで夜を過ごすことにして腰を下ろす。
少し肌寒く感じながら景色を見続け、リジィにも見せてあげたいと思い、今どうしているのか気になる。
「元気にしているといいけど」
検索でリジィと入力し、別れてから今日までの行動を呼び出す。
『セルシオの帰りを待っていたリジィは、アズから秘密裏に出発したと聞かされ、すぐに追うことを決意した』
冒頭のこの文を読み、セルシオは表情を驚きに染め立ち上がる。
「追ってきてんの!?」
大きな声だったが誰にも聞かれることなく山の空気に消えていった。
立ったまま続きを読んでいき、アズの同行にも驚く。既にアーエストラエアに入り、シーズンズ家の所有している空き家にいることがわかる。リジィたちがアーエストラエアにいることはばれていないようで、人々に追われるようなことにはなっていない。
「こんなことなら伝書造鳥を無視するんじゃなかった」
失敗したと溜息を吐く。二度連絡を取るために伝書造鳥がきたのだが、リジィたち側で誰が隠れて聞いているかわからないので現状を伝えることはおろか、連絡を聞くことすらせずに返していた。
すぐに向かうかと思うも、まだ第二調整のすんでいない現状で追っ手のたくさんいそうな場所に行くのは無謀だと、首を振る。
伝書造鳥を作り出し、そこから逃げるように伝言を託し飛ばす。調整が進み、変化したものは九日もつようになったので、固定化せずともリジィたちのところへ届き、返ってくる。
その後は四人がピンチになったら助けられるように、道具を作っておこうと魔法道具一覧を呼び出して、読みふける。
夜が明けて朝焼けを堪能し、山を下り始める。
山でも上位の魔物をあしらったことで、魔物たちはセルシオを避けるようになっていて、行きよりも楽だ。
ゲイターとわかれた場所まで戻ると、ゲイターの姿はなかった。
「あれ? どこに行った」
少し探してみようと気配を探りつつ、歩き出す。
十五分して、傷だらけで木の洞に隠れているゲイターが見つかった。気絶していたので、気配が小さく見つけるのに手間取った。
治療魔法を使い、ゲイターを起こす。目を覚ましたゲイターは両手を振って暴れる。
「お、俺を食っても美味くないぞ!」
「喰わないよ」
「……あ、セオか。また魔物かと」
「魔物避けの薬は意味なかった?」
「ああ、頭が二つある蛇に襲われてな。ここに逃げ込んだところで気絶したんだ」
ゲイダーが襲われたのは見た目そのままの名をもつツインヘッドスネーク。体長十メートル弱の大蛇だ。ダンジョンの二百階辺りに出てくる魔物だ。毒持ちで、ゲイターが生きていられるのは幸運以外のなんでもない。
「帰るなら麓まで送っていくけど、どうする?」
「まだ調査したいっ。少し手伝ってくれないか?」
「んー……少しくらいならいいけど」
死ぬような目にあってもまだ続けるのかと呆れる思いが湧くが頷いた。
「ありがとうっ!」
セルシオの手をとって、心の底からの感謝を伝えてくる。本当に怖かったのだろう。
とりあえずは朝食をということで、ゲイターのキャンプ地に向かう。襲われた時のまま荒れたテントなどを片付けながら、ゲイターはここに来た目的を話し出す。手伝ってもらうのだから隠すのは止めたのだ。
「ここは鉱山都市があった場所なんだ」
「へー、そんな風には見えないってことは滅びた?」
「そう! 百年二百年といった時間ではなく、もっと昔千年以上前にだ」
「千年かー、それなら跡がないのも納得かな。滅びた原因はなにかわかってる?」
「ここまで痕跡がないから、地震か大規模な地崩れのどちらかだと思っている。魔王級が出現したかとも思っていたが、廃都の死将がいるところはぼろぼろだけど形が残っている建物もあるらしいから違うと判断した」
廃都の死将というのは、剣を使う銀骨のスケルトンだ。昔の剣士が死してなお強さを求め修行するためにスケルトンになり、一都市を滅ぼし、魔王級にまで上り詰めたといわれている。戦いの大陸と呼ばれるマコニア大陸にいる魔王級で、長く使っている剣はなぜか壊れることなく今まで殺した相手の血で赤黒く染まっている。
「ゲイダーはここになにしに来たのさ? 探しものがあるとか?」
「ここに都市があるのではないかという資料を見つけた時から調査目的で動いていて、いうなれば都市そのものが探しものだな。ここにあるなにかを求めてはいない」
浪漫を探しにきたと言ってもいいのだろう。都市があったとわかれば満足なのだ。
「物好きだね」
「自覚はある。一応片付いたな。もう少し待っててくれさっさと朝食を食べるから」
「わかったよ」
待つ間に、ここらの地図を見て本当にあるのか確認しようと検索をしてみる。
いつぞやも見た立体地図が脳内に現れ、それを使って地面を透かして見ていく。
(ほんとにあったし)
セルシオに見えているのは入り口が埋まった坑道や多くの地下室だ。部屋の名前など確認していくと、地人の都市だとわかる。ざっと名前だけ確認していき、都市の長に関連した地下室を見つけた。棚がいくつか見え、この部屋の状況を別ウィンドウで見ると、古びた本などが置かれていた。
そこで朝食を食べ終えたゲイダーが声をかけてくる。検索をやめて、目を開く。
「そろそろ行こう」
「了解。昨日のうちにどこか目星つけたりした?」
「いや、昨日は都市の広さを調べるためにあちこちと歩き回っただけだ。最後の方は蛇に追われて調査どころじゃなかったしな」
そうと頷き、立ち上がる。
(魔物の気配がするとか言って、長の地下室に誘導していこうかな)
そんなことを考えつつ歩き出す。
ゲイダーには気配はわからないので、セルシオの言うままにコースを変えていく。
長の地下室上を通った時、止まって違和感を感じたというふうに首を傾げた。
「ん? 今通り過ぎたとこ少し違和感なかった? なんというか地面を踏んだ反発が少しおかしかったような?」
「そうか?」
わからないとゲイダーは首を傾げた。セルシオもそんなものは感じていないので、ゲイダーは正しい。
ちょっと調べてみるといって、土や建物が崩れてできた瓦礫をのけていく。木の根が絡みついてどかしにくかったが、そこは上昇している力でどうにかなった。
「なんか空洞があるぞ?」
「ほんとか!?」
期待に胸躍らせ、ゲイダーがしゃがんで地面を見る。
「ほんとだ……穴を広げよう!」
二十分かけて人一人通ることができる穴を開けた。明かり粉を落とし明かりを確保する。上から見るに底まで五メートルだ。雨水が溜まっているのか、床に明かりが反射している。近くの木にゲイダーが持っていたロープを巻きつける。
早速下りようとするゲイダーを止める。
「どうして止めるんだ!?」
「念のために魔物がいないか気配探る、地中に住む魔物がいるかもしれないし」
「そ、そうだな、頼む」
ここからでは気配がないが、念のために詳しく気配を探り、問題なしと判断した。
今度こそとゲイダーはロープを伝って下りていく。水を踏む音が聞こえて、下りたと判断したセルシオも下りていく。
もともとは二十畳ほどだったらしい部屋は天井や壁が崩れ三分の一が土で埋まっている。
「ここは民家の地下室なのか?」
もう一度明かり粉を使い、全体が見えるようになった部屋を見渡し言う。
「そうみたいだね。棚に本があるし、見てみたら当時のことがわかるかもしれないよ?」
「そうだな!」
興奮を抑えきれない様子で、本棚に近づいていく。
「あ」
ゲイダーが本に触ると、力が強かったのかぼろぼろと端から崩れていく。
しまったと表情をしかめて、丁寧に扱い近くにあったテーブルに本を載せる。
「これは地人文字か?」
「読める?」
地人やほかの種族特有の文字は、世界で使われている共通文字から派生したものでなので、ところどころはセルシオも読める。しかし同じ文字でも意味が変わることがあり、完全に読み解くことはできないのだ。
「少しはな」
指で文字をなぞっていくゲイダーから離れて、セルシオは本棚を見ていく。
タイトルを読んでいき、興味があるものを探していくが、好奇心を刺激されるものはなかった。
「……これは?」
本として装丁をとっていない、上部を紐綴じされているものを見つけた。並ぶ本の中でもっとも古いように見えて、なにが書かれているのか好奇心が湧く。
(でもこのまま持ち上げると崩れるかな?)
試しに端を爪で擦ると簡単に削ることができた。
変化で紙束の時間を戻そうとして止める。時間を戻すと、内容が書かれていない時まで戻るかもしれないと思ったのだ。紙束に頑丈の魔法をかけてこのまま読めるようにする。その時にわかったが、もともと長持ちするように魔法がかけられていたらしい。それなのにこの状態だ。どれほど昔からあるのか予想もつかなかった。
持ち上げても大丈夫になった紙束を捲る。
(こっちは昔の文字?)
共通文字ということはかわらないが、古すぎて意味や言い回しが変化していてこちらもセルシオは理解できない。
腕輪に指を当て、文字ツールを変化で五段階目まで上げる。これでよく理解できなかった文字の並びが、すっと頭に入ってくるようになった。
紙束は内容の量が多くはなく、突っかかることなく読み解けるので、ゲイダーが気づく前に読み終えることができた。
(これはさすがに間違いだろ)
内容に疑問を抱いた。
この紙束は神話について書かれたもので、教会が言い伝えているものは別物だった。
教会の神話ではこの世界は神が造ったとされている。しかしこっちでは神が天空より訪れて人々に力と知識を授けて、文明発展を手助けしたとなっている。
その後は人々の発展を見届けて、天空に去っていったとなっている。教会の神話では眠りについているとなっていて、こちらも食い違いがある。
これを信じるなら神は既にこの世界に存在せず、人々はいもしない神を信じていることになる。
セルシオは薄ら寒さを感じ、体を震わせる。神が見守ってくれていると思っているから安堵している部分があるし、悪いことはできないと思えていたのだ。多くの人がセルシオが同じだろう。こんなことが世界中に知らされたら、どんな混乱が起こるかわかったものではなかった。
(これを誰かに見せても笑い飛ばされるか怒られるだけだろうけど、このままにしておくのも不味いか?)
ゲイダーの様子を窺ったセルシオは服の下に紙束を隠す。あとで処分しておこうと思った。もしこれが本当だとしても、公表していいものではないと思ったのだ。ゲイダーにばれると歴史的価値があると処分に難色を示すかもしれない。だが無用の混乱を巻き起こすかもしれないものを、そのままにしておくことはできなかった。
(力が使えるようになったら本当なのか確かめてみよう)
そしてその夜、セルシオはいないということが本当だと知った。
大きく動揺しその続きを読むことなく、ウィンドウを閉じる。絶対に紙束を処分し、誰にも言わないと決めた。
次の日、日が昇る前にセルシオは頬を突かれ起きる。突いていたのは伝書造鳥だ。
ゲイダーに聞かれないよう少しだけ離れて、託された伝言を聞く。
すぐに伝書造鳥の口からリジィの声が聞こえてきた。
『心配してるのはこっちもだよ! ずっと一緒だって言ったのに! 嘘つきっ兄ちゃんなんか嫌いだよっ……嘘ごめんなさい。嫌いっていうのは嘘だから、会いたいよ』
『今回は約束破りましたわね? 何度かリジィ泣いていますわよ? 早くこっちに来て謝りなさいな。再会を楽しみにしていますわ』
『一人の方が動きやすいってのはわかる。俺の時のように手助けを必要としていないのもな。それでも助けたいって思うのが仲間だろう? 無理に手伝わせろとは言わないから、早く終わらせて戻ってこい』
『久しぶり。怪我なんかしてない? こっちは皆元気だよ。私も早くセルシオの姿を見たいし、きちんと声を聞きたい。会えるのを楽しみにしてるからね』
伝え終わったと口を閉じる。自身が悪いとわかっていても、嫌いと言われるのは辛いものがあった。ご苦労様と伝書造鳥の頭を撫でて「必ず会いに行くから」と「目立つような真似はしないで静かにしてて」という二つの伝言を託し、空へと放つ。伝書造鳥は夜明け前の空に消えていき、そのすぐ後に空が濃紺から青く塗りかわっていった。
朝になり、その日の午後まで発掘を手伝い、セルシオは山を下りることを告げる。ゲイダーは名残惜しそうにしていたが、一緒に下りることにする。一人では魔物に対抗しきれないと、ツインヘッドスネークに追い回されてよくわかった。
ここで得た本を丁寧に布に包み、しばらくはこれの解読に頑張るのだと言うゲイダーとわかれて、セルシオは遠回りでのアーエストラエア行きを続ける。
感想ありがとうございます
》情けは人のためならず、的な感じで~
目立たないけど今回サマスがリジィたちを助けました、クリスティーもアーエストラエアに入っています
》一度牢に入れてから放置されすぎ
指摘されてたしかにおかしいなと気づきました。短時間交代制で見張り置くとかもできたはずですよね、油断してたということでしょうか
》勇者の再起も含めて~
勇者の出番は最終話にあります
》セルシオは昔にお金を集める際に~
第一段階調整時に契約が解除されたということにしておこうかなと。正直契約のこと忘れてた
》リジィ達を潜在能力の開放とかで~
できます。イオネは自身の努力で強くなりたいので嫌がりますが
装備の強化はしました。特にリジィの装備が見た目は普通ですが最高品質で揃えられ、天の塔に行っている者たちでもそこまで揃えてねえよといった状態です
》過去の敵が味方に的な展開は有ると~
過去の敵といわれて一番最初に思い出したのが魔王級の子供。味方になってくれたら心強いです
》人に会うたびに襲われたりするのも面倒ですよね~
予想はあたりで、変装道具作りました。街に行かなくてもどうにかなるけど、入れたら物資調達が楽なので




