表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

父の日

その日も僕は会社で馬車馬の如く働かされていた。


北斗の拳に出てきた、鬼の哭く街カサンドラのウイグル獄長の様な上司に、毎日鞭でひっぱたかれながら服はボロボロ、身体に数えきれないほどの生傷をつくりながらの仕事。


水も満足に与えられない。


仕事中に過労死した者はその場で細かく切り刻まれ、荒れ地に肥料としてまかれる。



「うぅ…こんな仕事もう辞めたい…エジプトのピラミッド作ってた連中だってここまで酷い扱いは受けてなかったはずだ…」



僕は同僚に愚痴をこぼす。



「そう言うなよ。一緒に頑張ろうぜ!そういえばお前、父の日とかになんかやるのか?」



「なっ…乳の日…だと?」



鞭でひっぱたかれたわけでもないのに全身に衝撃が走った。


自分で言うのもなんだが、僕は国民的行事のようなものにかなり疎い。


しかし、まさかそんな日が存在していたなんて今の今まで知らなかった。


乳の日…


どんな日なんだろう。


想像しただけで胸が高鳴る。

僕はドラゴンボールの孫悟空よりワクワクしてしまっていた。



頭からその事が離れない。

仕事でいっぱいいっぱいだったのが一転、脳内はおっぱいおっぱいのトランス状態。


くそっ!

そんな日があったなんて僕は今までどれだけ損をしてきたんだ!


でも具体的に何をする日なんだ?


まさか無断で女性の胸にタッチしても良い日なんて解釈は都合が良すぎるだろう。


うーん、そういえばさっき同僚がプレゼントがどうとか言ってたな。


なるほど。



翌日、僕は女性用の下着売り場にいた。


大量のブラを購入。

会計の際に店員さんは変態を見るような冷たい視線を送っていた。




「えっと…なぜこんなに大量のブラを購入なさるのですか?」



店員さんは恐る恐る聞く。



「ああ。乳の日のプレゼントです!」



「父の日のプレゼントにブラジャーですか!?」



店員さんはやはり蛙の子は蛙、変態の親は変態なんだなというような目で僕を見送った。




翌日会社で、愛すべき女性従業員逹に購入したブラを手渡す。


その度に罵声を浴びせられ、ぶん殴られ、その時初めて自分がうっかり八兵衛もビックリのうっかりをしていたことに気付く。




僕は会社から20年の減給処分を下された。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ