来襲
魔族進軍への警戒として再び哨戒任務に向かった蒼夜達。
どんなことが起きるのか是非読んで下さい。
哨戒任務は昭島方面の少し奥が目的地だった。
多摩川と秋川の合流場所に到着した。ここから先は魔族のテリトリーだ。魔族はここから進軍すると考えられている。
「とりあえず、一旦小休止だ」
東堂の指示に小隊は緊張を少し解く。
蒼夜はまったく疲れておらず自ら見張りに立つ。指を小銃のセレクターに置き、少し高いところにある民家の屋根に上る。
魔力探知と目視の警戒。
陸と來もまた屋根によじ登って来た。そして座る。
警戒を手伝うというより景色の良いところで休もうという訳だ。
「蒼夜君。向こう岸はどうだい?」
「瘴気が濃すぎて目視では何も分かりません」
「ほんとだ、霧かよってくらい濃いな。あれじゃ何が来てもわかんねーわ」
「魔力探知もできないのかい?」
「はい、魔力探知でも向こう岸の様子は分かりません」
「いっそのことこの辺一帯を爆撃したら瘴気が晴れたりしないかな」
陸は少し物騒なことを言っているが、蒼夜も來も反対はしない。そんな予算があるならやってほしいな、というのが本音だ。
小鳥のさえずりなのか鳴き声がどこからか聞こえる。人と魔族が殺し合っても動物たちは壊れた街で逞しく生きているようだ。
五月の日差しが心地よく全身を包み込んでくれる。
蒼夜は川越前線基地にいた時を思い出す。埼玉の寂れた町の残骸と植林の景色の中にいて、たまに鳥や小動物と出会い、配給の不味い飯を割いてあげていた。
あの頃は賢治が隣にいたっけな。全員生きて終戦すると心のどこかで思っていた。しかし、生き残ったのは蒼夜だけだった。
目を瞑り胸元の紫石を下げているネックレスに、短いチェーンでつないだ賢治のドックタグを服越しに触る。
クシフォス。どうすればあいつに勝てるのか。毎日何度もあの戦いを思い出す。賢治の最後の顔も、滴る血の暖かさも夢に見る。
大きく息を吸って切り替える。今はまだ任務中だ。余計な思考は判断を鈍らせる。
周囲は変化がなく、ただ瓦礫と川のせせらぎと向こう岸の瘴気の霧が見えるだけだった。
だが、先ほどまで聞こえていた鳥のさえずりが聞こえない。妙に静かだ。背中に視線を感じる。蒼夜は急ぎ東堂に報告を入れる。
「東堂さん。敵近いです!」
「どこだ⁉」
「正確には分かりません!」
一気に小隊に緊張が走る。
全方位を警戒する。まだ見えていないが確実に狙われている。
蒼夜は小銃を置き、軍刀の柄を軽く握る。おそらく戦闘距離はすでに白兵戦の間合いだ。
廃墟の影から物音が聞こえた。一度跳躍したら届きそうな距離だ。
隣で陸と來の息遣いが聞こえる。
蒼夜達が休憩していた廃墟の上の階から黒い影が飛び降りて来る。全員フードを深くかぶり顔が見えないが気配が人ではない。だが、魔力探知が全くできなかった。
数は見える範囲で20体前後。全員剣を持っている。だが、魔法障壁が見えない。
「上だ!」
蒼夜が叫ぶ。その声に來以外が抜刀し、迎撃態勢が一瞬で整う。來は狙撃銃をすでに構えている。
來が先制で一発撃つ。驚くほど正確に敵の眉間に向かって弾丸が飛ぶが、フードの魔物はそれを軽く首をかしげる仕草で避ける。
「っ……」
來が息を飲むのが聞こえた。來の弾を避けたフードの魔族はすでに來の目の前に降り立っていた。殺意の欠片も感じられない動作で來の首を斬ろうとしている。
まずい。彼では反応できない。
蒼夜はすぐさま魔力を爆発させ抜刀術を発動させる。
――紫石術式「漆閃抜刀」――。
魔力を凝縮させ、一気に爆発させ斬撃の威力を極限まで鍛えた技。
神速の抜刀術を、來の目の前の敵にぶつける。
斬った。そう思った瞬間、目の前のフードの中で笑った気配がした。
來の首を狙っていた右手の剣とは別に、左手の剣を持って蒼夜に振ってきた。
蒼夜は咄嗟に身を低くして避け、來とフードの魔族の間に入る。
キィインと金属がぶつかる音が響く。蒼夜は目の前の魔族の顔を凝視する。魔族特有の紅い目と荒れた灰色の肌。
カルナか。
アルグス直轄の部隊。魔法ではなく、圧倒的な二刀流剣術で戦う特殊集団。弾丸など全て避け、鋭い剣筋で幾多の仲間が殺された。
距離を取るためにカルナの腹部を蹴り飛ばし、引かせる。
「クッソこいつら強ぇーぞ!」
横を見ると陸がカルナの攻撃をいなしながら背中合わせになる。屋根の下では小隊が連携しながら劣勢ながらも耐えている。
目の前のカルナを早めに殺して合流しなければ。
「人間の剣士よ。名は何という?」
目の前のカルナが日本語を話す。川越で戦ったカルナも日本語で喋ってきたが、改めて聞くと異質な声だ。
まるで金属と金属を擦り付けたような不快感を覚える。
「はっ!お前ら魔族とお友達になるつもりはないね!」
陸が恐れしらずな物言いで返す。内容には蒼夜も同意だが。
カルナは陸に見向きをせずに続けた。
「我らも相容れるつもりはない。だが、我が主君クラトシア様が『ソウヤ』という剣士を探しておられる。居所を答えたら命は保証しよう」
一瞬、來と陸の動揺を感じた。蒼夜の瞳も微かに揺れる。
おそらくクラトシアというアルグスが自分を探している。だが、なぜそいつは俺を知っているのか?
クシフォスと何らかの繋がりがあるアルグスなのだろうか。とにかく今はこいつらを処理しなければ。
「その反応全くの無関係ではないと見た」
「仲間は売らない主義でね!」
「ならば死して、我が主クラトシア様の贄となれ」
蒼夜の前にいるカルナの二刀流はかなり高い完成度をもっていた。二連撃が重く、攻撃をいなすだけで精一杯だ。
陸も苦戦を強いられている。二刀流の相手は慣れておらず、俊敏さも他の魔族とは一線を画す。
カルナが右手を振り上げ蒼夜に斬りかかる。それを蒼夜が防ぐと、下から左手の斬撃が来る。蒼夜は舌打ちをしながらナイフを逆手に取り出し防ぐ。
その時後ろから來の声が飛んで来た。
「そのまま動かないで!」
瞬間、軽い銃声が蒼夜の右耳を掠める。この音は狙撃銃でもなく、アサルトライフルでもない。9mm拳銃。
カルナはこの不意打ちに驚きの顔を見せ、ギリギリで避ける。だが、それで十分だった。
重心が右にズレたカルナの右手の剣を蒼夜は巻き落とす。そしてナイフで左手の剣を抑えている間にカルナの首を落とす。そのまま魔族の胴体が崩れ落ちる。
短く後ろを見る。來が拳銃を次のターゲット、陸と戦うカルナに向けている。
発砲音。
カルナは弾丸を避け重心を崩している。蒼夜は自身の軍刀を敵の剣に力強く押し当て、その自由を物理的に封殺した。その一瞬の拘束を逃さず、陸は抵抗の術を失ったカルナの一振りを叩き折り、その胴を真っ二つに切り裂いた。
屋根上の敵は殲滅した。残りは地上で戦っている十数体のカルナ。
小隊は円形に陣を張り、外側を玲、一馬、東堂、志信で抑え、内側から小銃による制圧射撃をしているが、決定打になっていない。
「僕はここから狙撃をするから、二人は下のフォローに行けるかい?」
「もちろんそのつもりだぜ!」
陸が答える。
普段の敵と違い今回はアルグス直轄部隊だ。だが物怖じせず突っ走れる陸もやはり手練れだった。
「蒼夜、合わせるぜ」
「頼みました」
陸の言葉に蒼夜は一瞬昔の戦友が頭を過る。懐かしい感覚だ。
素早く気持ちを切り替え、屋根から飛び降りる態勢に入る。陸もそれに倣う。
二人は息を合わせて飛び降りた。着地地点付近にいるカルナを目掛けて二人は刃を向ける。
それを見ていた凛花は射撃を二体のカルナの足元に向けた。カルナは自然と視線が足元に行き、上にいる蒼夜と陸に気づかない。
蒼夜と陸の刃は重力に従い、カルナの首元を刺し殺した。
弱点は視界の範囲外からの攻撃。動体視力は並外れているが、見えないところからの攻撃には弱い。
それを自覚しているカルナの次の行動に出る。
カルナ十数体が背中合わせになろうと包囲を解く。だが、その隙を逃すような小隊ではなかった。
「陽斗!」
「はい!」
東堂とアイコンタクトを交わした陽斗は練っていた魔力を解放し、カルナの頭上に巨大な水の塊を生成する。
同時にほのかも詠唱を始める。高まる魔力は徐々に熱を帯び赤々と輝きを放つ。
「灰より生まれしは、終焉の焔。千の嘆き、万の怒りを宿し、今ここに、審判の火柱となれ――。灰哭ノ柱」
カルナ達の頭上に展開されている水の塊にほのかの業火が衝突する。
急激に熱された水は水蒸気となり、その体積は爆発的に大きくなる。
水蒸気爆発。
轟音と共にカルナ達は半数ほどが吹き飛ばされた。
爆発は小隊全体を飲み込むほど巨大だったが、楓の結界でそよ風すら感じられない。
粉塵が晴れると、あと10体ほどのカルナが立っている。
粉塵に塗れ、暗黒の血がフードに付着している。
蒼夜は魔力を纏い高く跳躍する。
黒炎が蒼夜の刃に広がる。
そして鋭い軌道を描いてカルナに斬りかかる。
一体のカルナは二振りの剣を構えて受けようとする。
しかし、後ろから蒼夜に続いて飛んできた陸がカルナの剣を抑える。
そして蒼夜の刃がカルナの首を切り落とす。
ドス黒い血が噴き出る。
だが、蒼夜は返り血を浴びる前に、横に飛び、次の獲物にその夜の目を向ける。
目の前のカルナに斬り掛かろうとした時、横から別のカルナが飛び出る。
予測されていたか。
身を退きながら舌打ちを溢しそうになる。だが次の瞬間、そのカルナの頭が撃ち抜かれた。
死体が地面を叩く。
恐ろしいほどの精密射撃。蒼夜は來の腕前を知っていたが、超高速で動く白兵戦に合わせられる、その射撃能力に舌を巻く。
だが、油断はしていられない。一度退いたため、敵が態勢を整える時間を与えてしまった。
「蒼夜!先に行け!」
陸の号令に蒼夜は間髪入れずに突撃する。
蒼夜の横、つまり陸から魔力の波動を感じる。
雷撃がカルナに襲い掛かる。
だが、カルナはその魔法を剣で破壊する。
「何っ!」
「魔法の核破壊……⁉」
魔法には核がある。それを破壊すれば魔法への物理干渉は可能だが、核の場所を把握し、正確に斬るとは。
この個体は他より練度が高いな。魔法での牽制は難しいだろう。軍刀を握る手に力が入る。
「陸さん。ツーマンセルで行きましょう」
「とっくにそのつもりだぜ蒼夜!」
他の小隊メンバーもツーマンセルまたはスリーマンセルで動いている。
蒼夜と陸は全く同時に突撃を始める。5歩で届く距離だ。一瞬でカルナに肉薄する。
二人の斬撃をカルナは両の手に持つ二振りの剣で受ける。
陸が至近距離で雷撃を顔面に放つ。
だが、その魔法さえこのカルナは顔を傾けて避ける。
反射神経が良いとかそんなレベルの話ではない。
「クッソ!こいつ何モンだ!」
陸が吐き捨てる。
ここまで強いカルナは蒼夜も初めて相対する。
蒼夜は鍔迫り合いを仕掛け剣を飛ばすことを試みる。陸もそれを見て同じように仕掛ける。
だが、カルナは片手で力負けせず、むしろ蒼夜と陸の軍刀が飛ばされかける。
「くっ!」
蒼夜は短くイラ立ちを込めた声を上げる。
軍刀を弾かれた蒼夜の顔に向けて鋭い突きが迫る。
ギリギリで避けるが頬が微かに割けるのを知覚した。
反射的に半歩引き姿勢を低くする。陸は雷撃を左手に具現化させる。
雷撃を持つ左手をカルナに突き出す陸、神速の斬撃を繰り出す蒼夜。
決まった様に見えた攻撃は無効化された。
何が起きたか認識することが叶わないほどの速さで、蒼夜の斬撃は弾かれ、陸の雷撃は避けられた。
陸はカルナの蹴りで蹴り飛ばされる。蒼夜は態勢を一瞬で整え、追撃に出る。
勝てる算段はまだ無いが、ここで退いたらすり潰される気がする。
焦燥とイラ立ちを込めた、上段からの斬撃。カルナは左の剣で防ぎ、右の剣が蒼夜の腹部を迫る。
軍刀を剣に滑らせ、身を低く半身になりながら右の斬撃を避けながら体当たりする。
カルナは僅かに後退し、両刀の二連撃を放つ。
何とか二振りの剣をいなし、カウンターで首を目掛けて突きを狙う。
それに対してカルナは片足を蹴り上げて防御しようとするが、蒼夜は軍刀の軌道を変えて足を斬る。
一瞬カルナの口が歪む。
蒼夜は後退しすぐさま軍刀を構える。
カルナは一呼吸し蒼夜を凝視する。
「お前がソウヤであるな?」
無言を返す。
それをカルナは肯定と受け取った。
「その剣技。この我と幾ばかりか斬り合い、まだ息のある者は初めてだ。クシフォスの奴と斬り合い生き抜いたのも納得だ」
「……それがどうした?」
「我が主はお主を覇道の贄とするために、この地でお前を殺し、そして征服する」
「させると思うか?」
「愚かな人の剣士よ、我が主の御力に不可能はない。恐怖と後悔に沈め」
その言葉を最後にカルナは魔族の言葉で号令を出す。
カルナ同士が頷き踵を返す。フィゴだけは一度振り返り、蒼夜に目を向ける。
追いかけようとしたが、川幅を超える跳躍を見せて、一斉にカルナ達は瘴気の中に消えていった。
「被害報告!」
東堂が叫ぶ。
軽傷者が複数出ているようだ。蒼夜は震える手を抑えて納刀する。
「蒼夜も大丈夫か?頬っぺたに戦士の勲章があるぜ」
走り寄ってきた陸が蒼夜の顔を覗き込んで言う。
「陸さんも大丈夫ですか?蹴り飛ばされていましたが」
「俺は大丈夫だぜ。一応防弾チョッキも着てるからな」
陸は笑って言った。やっぱりこの人は賢治に似ているな。いつだって笑っている。
蒼夜は東堂の集合の合図に応え足を進めた。
ーー瘴気の中に消えたカルナ達は青梅市の城に来ていた。
青梅市の西に広がる山々を切り開き巨大な居城を建てている。
城の周りには中世の外郭のような壁が聳える。人が四人重なってもまだ足りない程の高さだ。
ドロヴァが巨大な城門を二人で開け、カルナ達はローブを揺らし大理石の床を鳴らしながら入城する。中には大広間があり、その奥の階段を上ると謁見の間がある。
カルナの団長は謁見の間の扉の前に立つドロヴァに向かい合う。
「何用でしょうかフィゴ様」
フィゴと呼ばれたカルナの団長は自分より幾ばかりか目線が上にあるドロヴァを見上げて言う。
「我が主クラトシア様に拝謁を願う」
「かしこまりました」
ドロヴァはその剛腕で扉の持ち手を掴み引く。重々しい音を立てて扉が開き、謁見の間への道が開く。
フィゴは部下を率いて謁見の間に入り、玉座に座るクラトシアの前に跪く。大理石に反射する顔は歓喜に歪んでいた。
「よくぞ戻った我が忠臣よ。『ソウヤ』は見つかったのか?」
「はっ!確かにかの者を見付けました。スヴェイルの報告通り確かにタチカワの陣地におります。私の部下も数人殺されました」
「人の剣士も中々強いのぉ。クシフォスめに一太刀入れた者は我が殺す。そして魔王議会でクシフォスめを失脚させる」
禍門をくぐった魔王たちは自分の領地を戦いで広げて来た。ここ数年はほとんど変動が無かったが、ついに東京保護区を完全攻略を進める決定が先月の魔王議会で下され、魔王同士の睨み合いが激化している。
そして東京方面に進撃していたクシフォスとクラトシアは覇権を掛けて競争をしている盤面が出来上がったのである。
「我が主のためならこのフィゴ全てを捧げて参る所存です。どうかこの命いかようにもお使い下さい」
フィゴは深く頭を垂れて傅く。それを満足気に見ていたクラトシアは新たな任務を与えることにした。
「フィゴよ。此度の侵攻に際し、『ソウヤ』を孤立させ我との決闘の場を整えよ」
その指示にフィゴは当然のように答える。
「我が主の御心のままに」 瘴気の中に消えたカルナ達は青梅市の城に来ていた。
青梅市の西に広がる山々を切り開き巨大な居城を建てている。
城の周りには中世の外郭のような壁が聳える。人が四人重なってもまだ足りない程の高さだ。
ドロヴァが巨大な城門を二人で開け、カルナ達はローブを揺らし大理石の床を鳴らしながら入城する。中には大広間があり、その奥の階段を上ると謁見の間がある。
カルナの団長は謁見の間の扉の前に立つドロヴァに向かい合う。
「何用でしょうかフィゴ様」
フィゴと呼ばれたカルナの団長は自分より幾ばかりか目線が上にあるドロヴァを見上げて言う。
「我が主クラトシア様に拝謁を願う」
「かしこまりました」
ドロヴァはその剛腕で扉の持ち手を掴み引く。重々しい音を立てて扉が開き、謁見の間への道が開く。
フィゴは部下を率いて謁見の間に入り、玉座に座るクラトシアの前に跪く。大理石に反射する顔は歓喜に歪んでいた。
「よくぞ戻った我が忠臣よ。『ソウヤ』は見つかったのか?」
「はっ!確かにかの者を見付けました。スヴェイルの報告通り確かにタチカワの陣地におります。私の部下も数人殺されました」
「人の剣士も中々強いのぉ。クシフォスめに一太刀入れた者は我が殺す。そして魔王議会でクシフォスめを失脚させる」
禍門をくぐった魔王たちは自分の領地を戦いで広げて来た。ここ数年はほとんど変動が無かったが、ついに東京保護区を完全攻略を進める決定が先月の魔王議会で下され、魔王同士の睨み合いが激化している。
そして東京方面に進撃していたクシフォスとクラトシアは覇権を掛けて競争をしている盤面が出来上がったのである。
「我が主のためならこのフィゴ全てを捧げて参る所存です。どうかこの命いかようにもお使い下さい」
フィゴは深く頭を垂れて傅く。それを満足気に見ていたクラトシアは新たな任務を与えることにした。
「フィゴよ。此度の侵攻に際し、『ソウヤ』を孤立させ我との決闘の場を整えよ」
その指示にフィゴは当然のように答える。
「我が主の御心のままに」
新たな魔族カルナ。
二刀流と魔法障壁を持ち合わせていないことが特徴で、剣技だけが強さの証明と考える珍しい魔族です。
これから蒼夜たちの前に立ちはだかることが増えてきますので、蒼夜達がどう戦うのかお楽しみに!




