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4Iワールドエンフォーサーズ 〜最強アク役チーム、腐り果てた異世界を罰する〜  作者: 都P
WORLD4 ロボットトイの臨界点的理想郷『ペルフェロイド』
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W4-3 おもちゃのペルフェロイドについて知ろう

 ハンバーガーショップで食事を終えた後、4Iワールドエンフォーサーズは今度こそ、個人で自由行動を始める。と、思いきや……


 自分の目的地を目指して街を歩いている最中、使役者は後ろに振り返って、

「どうしてついてきていますの、お二人とも?」

 脱走者と戦死者に尋ねた。


「アタシは、特に行くところ思いつかないから……何となくお前についていこうと思って」


「では戦死者さんは?」


「……」


「ああ、コイツもアタシとおんなじ理由で来たらしいぜ」


「それ本当ですの、脱走者さん?」


「いや知らん。で、このままついてきてもいーい?」


 使役者はため息をついてから、

「どうせなら最初から言ってほしかったのですけど……左後ろはドサドサ足音するのに、右後ろは全く聞こえないのが怖かったですし……いいですわよ」


「わりぃわりぃ、じゃあしばらくよろしく」

「……」


 というわけで使役者は、脱走者と戦死者とともに行動することとなった。

「そんで、どこに行くつもりなんだよ使役者」


「家電量販店ですわよ。おもちゃと言ったらそこが一番、情報や流行の空気感が集まってる気がしますので」


「え、おもちゃはおもちゃ屋で買うもんじゃないのか?」


「私の世界だとおもちゃはでっかいモールか家電量販店で買う方が多いですの。それか通販。ポイント還元率がいいらしいですから」


「ふーん、けどいいのか、おもちゃ屋ならそこら中にあるってのに」

 そう言って脱走者は、今いる地点から見える店を次々と指さした。


 品揃え多数、品質保証、旧製品も完備、などなどの謳い文句がデカデカと店頭POPに書かれてある小規模な店が、脱走者の指先により次々と示される。


「本当にいっぱいありましたわね。けど、せっかく近くに大きい店がありますから、そちらへ行きましょう」


 歩くこと数分、三人は、この発光物がやたらと多い街でもひときわ物理的に輝いている家電量販店の中に入る。

 目的のペルフェロイドの売り場は、最上階のひとつ下(九階)をまるまる占拠していた。

 ちなみにその下八階は、ゲーム売り場と、ペルフェロイド以外のおもちゃである。


「もはやおもちゃの枠を外れつつあるようですね」

 使役者は壁に張られたフロアマップをチラ見して、二人と一緒にエスカレーターに乗る。


 自動で上へ上へと登っていく間、使役者はペルフェロイドの製造元であるペルフェクシオン・ソサエティの公式サイトを眺めた。

 先ほど帰還者が見ていた百科事典サイトでもいいとは思うが、使役者個人としては、誰でも編集できるようなサイトは信用ならないと思っているためだ。


 そこにある『会社のはじまり』というページには、このような文章があった。



 2098年、我々の前身、パーフェクトイズは、当時の某大手おもちゃメーカーの役員を務めていた、ブライアン・ベイカー氏が独立後に起業されました。


 当時の主力商品はラジコンで、ピーター氏が前職で学んだ技術を活かした、安定した通信制御機能と、可動部の円滑化から、キビキビとした精密な走行が特徴でした。

 しかし当時、電動のおもちゃは既に時代遅れとなっており、ごく少数のマニアに支えられ、最低レベルの堅実な経営を行っていました。


 2141年、経済不況とそれに伴う国家間の関係悪化、各地位で紛争が勃発するなど、世界は未曾有の事態に陥っていました。

 その前後に、パーフェクトイズは国の要請で、おもちゃ産業の技術を利用し、最新鋭の兵器の製造を求められました。


 ブライアン氏はそれに従いつつも、『こんな暗い世の中であっても、子どもたちを笑顔にさせたい』と、軍から提供された技術を転用し、今までにないおもちゃの開発を独自に行いました。


 そして出来上がったのがミニロボット『PFR』―――後のペルフェロイドの原型です。

 ちなみにこの名前は、メカっぽい名前として、適当につけたと話していたようです。


 サイズは十八センチ前後ととても小さいが、ロボットアニメさながらのアグレッシブでカッコいい動きが可能という優れモノ。

 こんな未来からやってきたようなおもちゃを、例え暗い世の中であっても、世界中の人々が欲しがらないわけがありませんでした。


 PFRは比較的情勢が安定している国に輸出され、その先々で大ヒットを果たしました。

 販売から一ヶ月後、パーフェクトイズには紛争中の国から、『私たちのところにも売って欲しい!』という要望がいくつも届きました。


 彼らにブライアン氏ははっきりと言いました。

「喧嘩なんかする人たちなんかに僕の大切なおもちゃは売らない」

 

 すると世界の各地で奇跡が起こりました。

 どうしてもPFRが欲しいという国民たちが団結し、戦争に熱中する独裁者を打倒したり、子どもにPRFをせがまれた首相二人が同時に謝って終戦したりと、世界がだんだんと平和に戻っていったのです。


 そして世界中の争いが全てなくなりました。世界経済もPFRを中心とした流通により活性化しました。

 この功績から、ブライアン氏は平和賞を受賞し、会社とともにますます世界中で愛される存在となっていったのです。


 2187年、ブライアン氏は持病のためこの世を去りました。

 しかしその長男であるジェイク・ベイカー氏が二代目社長に就任し、パーフェクトイズを継ぎました。

 ジェイク・ベイカー氏はより世界に愛されるおもちゃを作るための決意表明として、PFR『ペルフェロイド』に、社名をペルフェクシオン・ソサエティ(完璧な社会)に、ついでにファミリーネームもみんなに覚えてもらいやすいように『ペルフェクシオン』に変えました。


 二四世紀を目前とした今でも、ブライアン氏の優しさは、脈々と受け継がれています。



「これを見る限り、すごくいい会社ですわね」


「おーい使役者、次で九階だぞ?」


 使役者がスマホから正面に視線を変えると、あと数段にまで九階の景色が迫っていた。

「わあ、すみません」


 九階につくと、そこにはまるで図書館のように所狭しと商品棚が整列していて、そこには全て、ペルフェロイドの箱がズラリと並んでいた。


 使役者はエスカレーターから降りて、すぐ近くにあった棚を手に取り、シールで張られた値段を見る。

「1980ポイント、ハイテク機械ですが値段はプラモデルとやらくらい……なのでしょうか?」


「ええっと、一、十、百、千……二十四万!? こんなちっさい人形が二十四万もするのか!?」

 と、脱走者は、存在がわからないくらい透明なガラスケースに入った、深みのある光沢をたたえた青い装甲のペルフェロイドが飾られていた。


「へぇ、高級志向のものもあるのですわね……」


 その間、戦死者は少し店内を歩いて、ペルフェロイドの武器パーツが並んだエリアにいた。

 ファンタジーの騎士が持っていそうな剣や、サイバーチックに光り輝く斧など、様々な武器が並んでいる。


 戦死者はその内の一つ――サイズを大きくすれば、自分が使ってもおかしくなさそうな無骨な銃が入った箱を手に取り、見つめる。


「それが欲しいのですの、戦死者さん?」

 最中、脱走者とともにこちらに来た使役者が聞いてきたので、

「見ていただけだ」

 と、答えて、棚に戻した。


「今ようやく喋ったな、戦死者……」


「ですわね。戦死者さん、どうやら、この上の階はお客様がペルフェロイドで遊べる場所になっていますの? ただ見るだけでもOKらしいので、試しに見てみませんこと?」


 戦死者は首を縦に振った。

 というわけで、もう一度エスカレーターに乗り、十階に行く。


 一番着目すべきオブジェクトは、格闘技のリングのように八角形のフェンス。

 そこの中央には巨大な大自然のジオラマ――大規模なバトルフィールドが設置され、周りにはゲームのコントローラーのような端末を握った六人の少年がいた。

 ジオラマの中では六機のペルフェロイドが動いている。その様子はフェンスの上に設置された八つのモニターに映し出されていた。


 フェンスの周りには五十人くらいの観客がいて、さらにその周りには、小規模なバトルフィールドと、ペルフェロイドのメンテナンスに使える作業台があった。


 三人は、フェンス周りにベッタリいる熱狂している観客から離れて、上のモニターを見上げる。

 まさしくアニメの中で描かれていたような、迫力満点のスーパーロボットバトルが、そこにあった。


「本当におもちゃとは思えない動きですわね……」

「すげぇな! なんかこう、すげぇな!」

 と、それぞれらしい感想を発する使役者と脱走者。


 その横にいる戦死者は、黙ってモニターを観察していた。


 八枚のモニターの内六枚は、六機のペルフェロイドにピックアップした映像を、一枚はフィールド全体の俯瞰映像を、もう一枚は二機のLP――ライフポイントだろうか――などの現状ステータスをまとめたものになっている。


 六機は二チームに分かれて戦っている。

 それは上のステータスでもわかるが、片方のチームが機械らしい角張ったデザインで、もう片方がおとぎ話の騎士のような荘厳なデザインなので、そこはあまり気にしなかった。

 さらに、操縦者たちの三人は、戦死者たちと同様の普通のカジュアルファッションで、もう三人はノリの効いたスーツ姿。非常にわかりやすい対戦構図が見て取れた。


 装飾が両陣営なりに豪勢になっていることから、リーダー格だと思われる二機は、フィールド中心の平坦な草原地帯で戦い、他の二組は周囲の森丘の中で戦っていた。


 それらの情報を見て、戦死者は、自分だったらここでその攻撃をする。そこに移動し仲間の補助をする。などなど、自分の頭の中でシミュレーションをしていた。


 当然ながら、彼らは戦死者の想定していた答えに合わせて動いていない。

 目の前の敵を倒すために、その時出来る全力の攻撃を連発していた。


 そうした考えの浅い戦闘を行えば、勝負の決着方法は性能と運の差だけになってしまい、悲劇的な結果を生んでしまう。

 今回の場合は、騎士風のチームの機体がそれぞれ、相手の機体を停止させ、三対一の構図が出来上がる。というものだった。


「早く戻ってこいお前ら! 三機がかりでアイツを叩きのめす!」

「「了解!!」」


 この指示については戦死者もだいたい同意している。ただ、彼のシミュレーションとは完璧には合致しない。

 護衛の二機は森丘エリアから、それぞれが出せる最高速度で移動し、残りの敵機に接近したのである。上のステータスのモニターには、両者とも、遠距離武装を持っているにもかかわらず。


 ただし、敵の一機には遠距離……どころか、今手に持っているナイフ以外の武装がもうなかった。リーダー同士の争いでことごとく破壊されてしまったのだろう。

 これならば三機でよってたかって叩くのも、決して悪くなくなる。

 もっとも、戦死者としては確実に仕留めるべく、二機は射撃に徹したほうがよいと思っているのだが。


「終わりだ! この平民風情が俺に挑んだことを後悔するんだな!」

 そして三機は、三方向から各々の近接武器を構え、三方向から一気に武器を振り下ろす。


「お前こそ、二年前は平民だったくせに……これで思い出しやがれ! 秘密兵器だ!」

 攻撃を受ける刹那、残りの一機の肩のアーマーが外れ、そこに何らかの砲身が現れ、そこからレーザーが放たれた。


 レーザーはそれぞれ扇状に回転し、辺り一帯を薙ぎ払った。接近していた三機は、それに巻き込まれる。上のモニターの情報によると、三機のLPはここでゼロになった。


 間もなく、上部のステータス表示のモニターに、『GAME SET!』の文字がデカデカと表示された。

 そしてカジュアルファッションの少年三人は肩を組み合い、その勝利を盛大に喜んだ。

 ところがその喜びは、即座に恐怖に変わる。


 スーツのチームのリーダー格の少年が、対戦相手のリーダーに向かって、拳銃を撃ったのだ。

 脅しのつもりだったのだろう。弾は左肩をかすめた程度で、致命傷には決して至ってなかった。

 それでも、日常生活で撃たれることはこの世界でも珍しいことであるため、リーダーは肩を抑えて激しく絶叫した。


「な、何でこんなことするんだよおおお前えええッ!?」


「お前がズルしたからに決まってるだろうが!」


「ズルなんかしてないだろ! ちゃんとペルフェロイドに備わった機能で倒した……!」


「そんな機能がその機体に備わってる訳が無い! 絶対にズルだ!」


「これは改造だ、レギュレーションにも対応している改造だぞ!」


「うるせぇ! 社員の親族がズルといえばズルだし! 俺の父さんに掛かれば揉み消せるんだからな! こうしてお前を殺しても!」

 スーツ姿の少年は、再び相手を狙い、引き金に指をかける。


「借りる」

「あ、はい……えッ!」


 ところがその拳銃は、発砲の前に少年の手から落ちた。

 代わりに、少年の手には、ペルフェロイドの調整に使うマイナスドライバーが刺さった。


 戦死者が側にあった調整用テーブルで拝借し、対戦ブースを囲うフェンスの網目を潜り抜けるように投げたのだ。


「ああああ! 痛えじゃねえかよおおお……おおッ!」


 さらに戦死者はフェンスを乗り越えてブース内に入り、スーツ姿の三人へ的確に打撃を食らわせ、全員気絶させた。


 間もなく、バックヤードのスイングドアから防弾チョッキなどで全身を固めた警備員が駆けつけた。


(はえーな警官。いや、警備か……?)

(対応早いですわね……)


「どうされましたか……!」


 戦死者は足元で横になる三人を指さした後、

「先に救急を」

 と、警備員に伝え、怪我をした少年へ駆け寄り、傷の状態を確かめる。


「かすり傷だ。大事には至らない」


 そして戦死者はどこからともなく傷薬や包帯を取り出し、テキパキと応急処置を済ませた。


 それを野次馬に変わった観客の隙間から覗いて、

「ああいうことも出来るのかよ。万能だなアイツ」

「後はちゃんと喋ってくれれば助かるんですけれどもね……」


 ここで使役者は何となく、スーツ姿の三人組の方を伺う。

 既にフェンスの外に出されており、仲良く警備員に連行されていた。


【完】

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