ある男の戦い
もし悪魔を魔法陣で呼び出せるなら、
天使を呼び出してもいいのではないか?
ある男、A氏は、そう考えた。
魂を渡す契約は、お断りだから。
自分でイメージした図形を床に書いた。
ダンボールに紙を張って。(借家なので)
そして、ひたすら念じて念じて念じて・・・。
やっぱり無理!でも、その日の夢に。
(夢の中)
「あ、どうも、天使です、何?、用?」
軽い話し方。医者っぽい白い服。
30歳ぐらいの男。背に翼付きで浮いてる。
A「態度が気安い!でも天使っぽい外見だ。インチキっぽいともいえるが。
夢でも構わない、コンタクトできた! ええと、急がないと。
覚める前に。質問というか願い事、
野放しになってる悪人を全員地球から消したい、どうすれば?」
天使「そうだね~。チャットGPTに聞いてみれば~?」
A「そう来たか、アラジンの魔法のランプへの質問みたいだな。
チャットGPTは登録できないんだ、携帯電話持っていない!」
天使「悪人を消したい、か。デスノートの拡大版ってことか~
具体的には?誰を消したい?」
A「えーと、対岸の火事だけど、まずはロシアのあの人かな、
無茶な命令が実行されるあの国の」
天使
「では君に究極の盾と槍をあげよう。バリアとビームスピア。飛行靴とレーダー帽子も。
例えて言えばアイアンマンのスーツだ。でも時間限定、2時間。あとリスクがある。
君は真面目だから大丈夫だけど、いつもと違うことはしないようにね~」
「リスクとは?」
「秘密だ。それも条件」
「・・・わかった」
(夢が覚める)
起きるとA氏の部屋の床に品物があった。
さっそく左手に盾、右手に短槍、帽子に靴を装備。
窓を開ける。空中に浮かんで。
「おっと、誰かに見られては面倒。透明化!」
鏡で写っていないのを確認、窓の外へ。
使い方は分かる。空へ上昇して。
バリアをまとって西へ。
とんでもないスピードで日本を出て海へ。そしてユーラシア大陸へ。
モスクワのクレムリン宮殿へ。
「さてサーチ!あの人、というか戦争推進派は。ざっと500名か。
やはりチームで計画的。全員にレーザー標準、
これはキャプテンアメリカの映画1作目の状況・・・シュート!」
右手の槍先が光り、細いビーム束が地上に降り注ぐ。
・・・これで500人を消せたらしい。
「よし、これで侵略は中止されるはず。そして。
地球上の悪人、軽重犯罪者たち、すべて消えろ、シュート!」
今度は5分ほど槍が、ずっとエネルギー波動を発射し続ける。
光の矢が細いビームに分かれて花火のごとく、四方に飛んでいく。
ようやく収まって。
「この位置から地球全土に撃てるなら、ここへ来る意味なかったかな・・・
まあいいや、戻ろう」
ゴウ!と高速で東へ。大陸から海、日本へ。
そして自分のアパートの前へ。
「ふう、別に疲れたってほどじゃないけど。ひと仕事終わった。
こういう時は一杯やるか」
地上に降りる。
自動販売機で発泡酒110円の低アルコール飲料を購入。
もう一度、飛び上がって、開けてある窓から自分の部屋に入って。
透明化を解除。装備を外す。
缶のつまみを開けてコップに少量を入れる。
冷蔵庫のジュースを加える。酒は実は苦手。
そして混ぜて飲む。
ゴクリ!
バシッ!
男は氷の固まりに閉じ込められてしまった!
アルコールを飲むのがNGワード。
「ある男」だから、ある凍る、だけにっ!