表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/33

あなたを永遠に愛します(完)

 フレーナがシシロ村を発って数か月の月日が経った。

 旅の宿で彼女は夜空を眺めていた。


 蛍が飛び回り、月光が木々の合間から射し込む。

 彼女は旅の疲れを感じつつも安らいでいた。

 旅は楽しいことだけではない。

 しかし、小さな村しか知らなかったフレーナにとって、この日々は刺激的だった。


「フレーナ、まだ外にいたのか。冷えるぞ」


 彼女のそばにメアが腰を下ろす。

 メアとメロアと旅をして、どこまで遠くに来たのだろう。


「ちょっと眠れなくて。すみません」

「いや、いいさ。旅の疲れは溜まってないか?」

「はい、まだまだ遠くに行きましょう!

 ……あ、でも靴の底がめくれてきました。そろそろどこかの街でお買い物したいですね」


 それなりに旅慣れたフレーナを見てメアは微笑んだ。

 神殿を出た当初はどうなることかと思ったが、今は何の心配もない。

 メロアも全面的にサポートしてくれる。


 そろそろ夜も更けてきた。

 辺りには鈴虫の音が響きわたっている。


「メア様……ちょっと行きたい場所があるんですけど」

「こんな夜中にか?」

「はい、すぐ近くなので……」

「いいよ。もちろん俺もついていく」

「ありがとうございます! こちらです」


 今日はやけにフレーナが上機嫌だ。

 メアは軽い足取りで歩いて行く彼女の後を追った。



 森を抜け、たどり着いたのは花畑だった。

 人気はない。

 こんな場所に花畑があるなど知らなかったメアは少し驚く。


「綺麗だな……」

「そうですよね? この景色をメア様にお見せしたかったのです」


 メアの手を引いてフレーナは歩く。

 少し開けたところに腰を下ろし、二人で咲き誇る花々を見た。

 風に揺れる花弁は色とりどりで鮮やかだ。

 甘い香りが風に乗って運ばれてくる。


 フレーナは花畑の中に咲いている、赤色の花を指し示す。


「宿の人に聞いたんです。

 この花の花言葉は……メア様、知っていますか?」

「もちろん」

「えぇっ!? 知ってたんですか……!」

「俺を誰だと思っている。神だぞ?」


 メアにサプライズ的に花を贈ろうと思ったら、とうに知っていたらしい。

 フレーナは若干のショックを受けた。


 そんな彼女の様子を見て、メアは頭を撫でる。


「だが、フレーナが俺にこの花を贈ろうとしてくれたなら……俺も同じ言葉を返そう。

 『あなたを永遠に愛します』──それが花言葉だろう?」

「……はい。なんだか恥ずかしいですね」


 本当は花言葉を教えず、ひっそりと想いを伝える予定だった。

 だけどメアは花言葉知っていて、フレーナの想いは明らかにされてしまった。

 耳の端まで真っ赤になってしまう。


 いっそ胸中の想いをすべて打ち明けてしまおうか。

 どちらにせよ、フレーナの心情などメアにはお見通しだろうから。


「私……ずっとそばにいてくれる人がほしかったのです。両親も死んでしまって、友達もいなくて。一生孤独のまま死ぬかと思ったら……思いがけずメア様が救ってくれました。そして私の恋心まで受け止めてくださって……今は誰よりも幸せだと思います。

 だから私の生涯を、あなたに捧げたい。

 永遠に愛したいのです」


 フレーナは花畑を見つめながら告白した。

 とてもじゃないが恥ずかしてメアの顔は見れない。


 そんな彼女の身体がぐらりと揺らぐ。

 いつしかメアに抱擁されていた。


 視線を上げると、メアの顔が見える。

 彼はフレーナにしか見せない笑みを浮かべていた。


「俺も永遠にフレーナを愛するよ。

 神と人、種族の違いはあっても……通じ合う愛は同じ。

 必ずお前を幸せにする。誓おう」


 真正面からメアの想いを受け止めたフレーナ。

 月下、彼女は周りの花よりも美しい──花のような笑顔を浮かべた。


「はい、これからも……よろしくお願いします!

 大好きです、メア様!」

完結となります。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

今後も番外編や第二部を開始するかもしれません。

みなさまの応援が大変励みになりました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 最初から一気に読みました! 楽しく読めましたよ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ