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探し物へ

 貴族街からそのまま馬車を手配したアイネロ。

 馬車には王家の印章が刻まれており、すれ違う商人たちも驚いた顔を浮かべている。


 普段はメアに抱えられてシシロ村に帰るので、フレーナは違和感を覚えていた。

 ふかふかの座席に座っていると眠くなりそうだ。

 馬車でも村までに六時間はかかる。


「フレーナ様とアメ様は、シシロ村のご出身ですか?」


 馬車の中でアイネロが尋ねる。

 その問いに答えることは難しい。

 フレーナは返事に窮してしまった。


 彼女の動揺を感じたのか、メアが代わりに返答する。


「いや、違うよ。俺たちは旅をしていて、偶然立ち寄っただけだ。そこで英雄クレースと命神を見て……神が魔物を退治したところを見た」

「……ふふ、なるほど。

 アメ様自身も腕が立つようにお見受けするが、魔物は退治なさらなかったので?」

「ああ。俺とフレーナが村に着いたとき、すでに魔物は倒されていたからな」


 すらすらと偽りのストーリーを述べるメア。

 彼の話術にフレーナは驚いていた。

 普段は寡黙なイメージがあるので、ここまで上手く話を転がせると思っていなかった。


「なるほど。ご夫婦での旅は大変ですか?」

「ごふっ……!?」


 アイネロの急な爆弾発言。

 思わずフレーナは噎せ返ってしまった。


「そうだな。だが、フレーナと一緒にいるときは楽しいよ」


 しかし、当然のようにメアは取り繕う。

 彼はフレーナをそっと抱き寄せて言った。

 フレーナと婚姻関係にあるていで話を進めるようだ。


 ならばフレーナも話を合わせなくては。


「は、はは、はい! 楽しいです!!

 私たち夫婦一同、健全で安全な旅を送っております!」

「フレーナ、無理しなくていいぞ」


 メアが呆れたように苦笑した。

 たしかにフレーナは黙っておくのが得策かもしれない。


 その後もボロを出さないようにがんばりながら、フレーナは馬車の中で歓談を続けた。


 ***


 村に着く直前で、メアは馬車を停止させてもらう。


「俺たちはここから直接、邪石探しに向かおう。アイネロは村に行っても構わないぞ」

「おや……承知しました。では、私は村に馬車を停めてから邪石の回収に向かいましょう。邪石が見つかりましたら、何らかの手段で合図をお願いします。私が見つけた場合は狼煙を上げますので」


 メアは頷き、フレーナを連れて村から離れる。

 さすがにフレーナを同伴した状態で村人と顔は合わせられない。


「いったんお前を神殿まで送るよ。疲れただろう」

「いえ、私も邪石探しを手伝いますよ!」

「危ないから。何かの拍子に接触でもしたら、当分寝込むことになるぞ」


 やや強いメアの語調に、フレーナは考えを改める。

 彼は心配してくれているからこそ、ここまで本気になっているのだ。


「わかりました。では、神殿に戻ってからメロア様と一緒に探すことにします!」

「……メロアと一緒か。まあ、それなら安全か?」

「はい。放っておいたら魔物が寄ってくる危険な石なんですよね? それなら早く回収した方がいいと思いますし……私も山からは出ずに、村人の目にはつかないようにするので」


 メアは頭に手を当てて悩んでいる様子。

 どうやら本気でフレーナのことが心配らしい。

 彼の性格はよく知っていたので、フレーナはもう一押しする。


「もし熊とかと遭遇したら、すぐに逃げます!」

「ん……わかった。まあ、熊くらいならメロアでも倒せるし。行くぞ」


 メアに抱えられ、フレーナは神殿まで飛ぶ。

 フレーナが神殿の中まで入るのを確認してメアは山を下って行った。



 神殿の大広間に行くと、メロアがくるくると弧を描いて地面を這っていた。

 全身に雑巾を巻き付けている。

 モップを咥えて床を磨くより、雑巾を纏って蛇行した方が楽だとのこと。


『フレーナ、おかえりー。あるじは?』

「実はですね、メロア様。こういう理由で……」


 フレーナはここまでの経緯を説明する。

 事情を聞いたメロアは雑巾を脱ぎ捨てて目を輝かせた。


『邪石探し! 邪石はたしかに危険なものなのだ。もし見つけることができたら、ボクも珍しくあるじの役に立てるのだ』

「はい。私たちは山の中腹までを探しましょう」

『うん、できるだけ村には近づかないように。村人に見つかったら、ボクが魔物と勘違いされて退治されちゃうのだ』


 フレーナとメロアは急いで身支度を整えて、山中の捜索に向かった。

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