小さなアリは強くなりたい
小さなアリは強くなりたい。
だから強い者を倒す事にした。
小さなアリは胸を張る。
数を合わせれば、巨大な兎すら狩れるのだと。
小さなアリは胸を張る。
数さえ集まれば、巨大なイノシシすら狩れるのだと。
小さなアリは胸を張る。
数さえあれば、巨大なゾウですら狩れるのだと。
小さなアリは胸を張る。
数さえあれば、巨大な百獣の王ですら狩れるはずだと。
しかし、小さなアリは気が付かない。
いつしか、アリの群れが消えていた事に。
小さなアリは強くなりたい。
けれど、アリは狩りのために出した犠牲を振り返らなかった。
だからだれもついてこなくなってしまったのだ。
小さなアリは強くあれない。
だから、道端で出会ったたった一匹の大きなアリにかみ殺されてしまった。