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パーティーメンバーに婚約者の愚痴を言っていたら実は本人だった件  作者: ぷにちゃん
第一章 悪役令嬢、死なないため冒険者になる!
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6:初めての冒険者ギルド

 ロゼッタ・フローレス、一二歳。

 婚約者になった王太子とは、定期的に数回ほどデートをしたはしたけれど、それからは会うことなく定期的にプレゼントが届くようになった。

 小さい頃から付き合っていけば仲良くなれるかもと思っていたが、それは夢のまた夢だったようだ。所詮、ロゼッタは悪役令嬢なのだ。


 そして、ロゼッタは闇属性であることを理由に周囲に迷惑をかけないよう、屋敷の中では極力大人しくしていた。

 部屋の窓辺で読書をすることが多かったのだが、そのせいで周囲から『深窓の令嬢がいる』と噂されるようになってしまった。闇属性の悪役令嬢が? と思うかもしれないが、桃色のウィッグをつけていたので慎ましやかな令嬢にしか見えなかったのだろう。


「でも、大人しくしているのは今日までよ!」


 理由は、冒険者登録ができる一二歳になったからだ。こっそり屋敷を抜け出して、冒険者として強く生きるのだ。

 ただ、家出というわけではない。公爵家には自分を育ててもらった恩があるので、日中は冒険者をし、夜は屋敷へ帰ってくるつもりだ。


(愛情というものはほとんどなかったけど、気にかけてもらえてはいた……)


 ――と、そう思いたい。

 しんみりとした気分になってしまったので、ロゼッタは首を振って思考をリセットする。

 ナタリーに用意してもらった平民の服に着替えたら、窓のすぐ横にある大きな木から庭へと下りる。幸い、日中にロゼッタの様子を見に来る使用人はいない。

 つまり、ロゼッタがいなくても誰にも気づかれないのだ。ただ、ナタリーには街で買い物をする……と、伝えてある。


(さすがに、冒険者になるなんて言ったら反対されちゃうだろうし……)


「よーし、行きますか!」


 悪役令嬢ロゼッタは、こうして新たなる一歩を踏み出した――!



 ***



「ようこそ、冒険者ギルドへ! 新規登録ですね」

「はいっ!」


 初めて屋敷の外へ出たロゼッタは、一目散に冒険者ギルドへやってきた。

 街の入り口付近にある、木造三階建ての大きな建物だ。一階が受付になっていて、その奥にはミーティングスペースという名の定食屋兼酒場。

 二階には、図書室など調べ物をするスペースや、応接室が用意されている。三階は、ギルドマスター室や資料室がある。


 冒険者ギルドの受付嬢が、申請用紙を用意しながらロゼッタを見た。


「私は、リリ。どうぞよろしくお願いしますね!」

「よろしくお願いします、リリさん! 私はロゼリー!」


(ふふ、ちゃんと偽名も考えてたんだから!)


 さらに、黒髪だと厄介ごとになるかもしれないので、新しい水色のウィッグをつけてきた。誰も、闇属性の公爵家の令嬢ロゼッタだとは思わないだろう。


 ロゼッタが堂々と名乗ると、リリは「手続きしますね」と書類を書き進めてくれた。同時に、ギルドの説明をしてくれる。


「冒険者には、ランクがあります。それによって、受けられる依頼の難易度が決まります」



 最初は、Fランクからのスタートだ。

 上からS・A・B・C・D・E・Fにランク分けをされ、一定の成果――たとえば依頼をこなした回数や達成率、難易度、によって左右される。依頼を受けられるのは一つ上のランクまでだ。

 内容は、街の外へ薬草などの素材を取りに行く採取系、モンスターを倒す討伐系が多い。Dランクからは、違う街へ行く人の護衛系を受けることができる。

 そのほか、ランクが上がれば指名依頼などもあるが……ロゼッタにはまだ関係ないだろう。

 Fランクは駆け出しで、五回依頼を達成するとEランクになることができる。



「ちなみに、ロゼリーさんはモンスターと戦ったことはありますか?」

「ないですね……レベルも上げてないので、正直めっちゃ弱いです……」


 自分で言葉にしたけれど、わりと凹む。

 いや、これから強くなるのだから大丈夫! ということで、拳を握りロゼッタは気合を入れる。


 その様子を見たリリが、くすりと笑って一枚の紙を取り出した。

 見ると、この街の周辺の地図と、出現する低レベルのモンスターと、採取しやすい薬草の分布が載っていた。


「わぁ! これは嬉しい!」

「ロゼリーさんはまだ一二歳ですし、あまり無理はせず安全第一に頑張ってくださいね。モンスター討伐をするなら、最初はスライムかフラワーラビットあたりがいいと思います」


 まずは低レベルモンスターで自分の実力を把握するようにと、リリがアドバイスをしてくれる。

 もちろん、ロゼッタもいきなり強いモンスターを倒しに行こうとは思わない。


(だって、まだ魔法も使えないし……)


 そう考えていたら、リリが「魔法に興味はありますか?」と話題を振ってきた。


「あります!」


 ロゼッタが即答すると、リリが微笑ましそうにしながら初級魔法と中級魔法の一覧が載った紙を出してくれた。


「え……も、もらえるんですか!?」

「中級魔法までは希少ではないので、ギルドで配ってるんです。でも、誰でも使えるっていうわけではないですよ」


 リリがそう説明してくれたが、ロゼッタの耳には届いていない。

 なぜなら、魔法の一覧に――闇属性も記載されていたからだ。


「これで、私も魔法が使える……! リリさん、スライム討伐の依頼を受けます!」

「ええと……魔法は誰でも使えるわけではないのですが、まあ、スライムなら大丈夫でしょう。では、このギルドカードを差し上げます。依頼の内容は裏面に記載されているので、大切にしてくださいね」

「ええ、ありがとう!」


 ロゼッタは冒険者カードを受け取って、とびきりの笑顔を見せた。

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