27:その本性
目の前にいる光の妖精は、『はああぁ~~』と遠慮もせずに盛大なため息をついた。ロゼッタの理想の妖精像が、ガラガラと音を立てて崩れていく。
「うわあ、光の妖精って性格悪いんだね」
「レオ……っ!」
『なんですって!?』
アハハと笑うレオにロゼッタは顔面蒼白になり、光の妖精は睨みつけてきた。
『あなた、光の妖精である私に、よくそんなことが言えたものね! 信じられない!』
「だって、あまりにもイメージと違いすぎて」
レオは光の妖精はもっとお淑やかで、聖母のような存在だと思っていたようだ。
けれど、それはロゼッタも同じ。光といえば、防御や治癒などに優れた魔法があるため、どうしても優しく穏やかなイメージをしてしまう。
最初に見た光の妖精の慈愛に満ちた表情は幻覚だったのだろうかと、ロゼッタは遠い目をした。
(――って、私はルイたちのことを知らないか聞かなきゃいけないんだった!)
ロゼッタは頭を振って、思考を切り替える。
光の妖精に会うなんてすごい経験だけれど、今は仲間の方が何倍も大事だ。
「光の妖精さん、私たち人を探してるんです。それから、この森……なんだか様子がおかしくて。何か知りませんか?」
藁にも縋る思いで、ロゼッタはここに来るまでにあったことを説明する。レオも、自分が感じ取っていた異変を光の妖精へ伝えた。
しかし光の妖精は、ぶすーっとしたままでロゼッタたちの問いに答えようとしない。
(これは教えてもらえそうにない……か)
ロゼッタはどうするべきか、レオに小さな声で話しかける。
「どうしよう、あきらめて違う場所を捜すのがいいかもしれない……」
「確かに、あれじゃあな……。もしかしたら、ほかの場所でピンチになってる可能性だってないわけじゃないし……」
ここで無駄に時間を食うくらいなら、潔くあきらめてしまおう。そんな結論をロゼッタとレオが出すと、光の妖精が『何をコソコソ話してるのよ!』ときつい視線を向けてきた。
『まったく! 強化した魔物をけしかけたから、死んだとばかり思っていたのに』
「「えっ!?」」
(そういえばさっきも、生きてたの? って言われた……)
えーっと……どうしたらいいのだろうか。
ロゼッタは頭を抱えて座り込みたくなる。このまま元の森に戻ったとしても、光の妖精をなんとかしない限り強い魔物が襲ってくるということだろう。
(タイミングが悪い!)
レベリング中だったらハイ喜んでウェルカム! なのだけれど、今はルイスリーズたちを探しているのでご遠慮したい。
きっとルイスリーズあたりがいたら、そうじゃないとツッコミを入れてくれただろう。
「えっと……なんで私を狙うんですか?」
『決まっているじゃない。私、闇属性が大嫌いだからよ!』
「あー、そういう……」
どうしようもないやつだと、ロゼッタは遠い目をする。
やはり光と闇は、相容れないものなのか……。その割に、プリムはロゼッタに懐いてくれているけれど。
『この世界は、光属性だけあればいいのよ。闇なんて、私の陰にすぎないのに。さっきだってそうよ、せっかく光属性の子を使ってあなたを殺しちゃおうと思ったのに』
「――っ!? もしかして、あなたがプリムを操っていたの!? 私が闇属性だけっていう理由で……!!」
『あら。理由なんて、それで十分じゃない』
光の妖精は、そう言って満面の笑みを浮かべた。





