26:光の妖精の住処
「これはまた……えげつないな。その魔法は……」
「闇属性の上級魔法。私が使えるのは、ここまで。もう一つ上の究極魔法は、まだ使えないんだよね」
さすが究極魔法というだけあって、入手が果てしなく困難を極めている。いろいろな伝手を使ってみてはいるが、一向に情報が入ってこないのだ。
ちなみに、以前父親からもらった闇属性の魔法書は、初級、中級、上級の魔法が記されているだけだった。
魔物が一掃されたので、ロゼッタたちはさっそく滝の裏側へ行ってみることにした。
「ロゼッタはいいけど、俺は結構ギリギリ……かも?」
「あ~、体格いいもんね」
先にどんな危険があるかわからないからと、レオが先頭を買って出てくれた。さすがは勇者、頼りになる。
滝の水を被りながら抜け、体を小さくしながら進んでいく。中は見た通り狭くて、強い草木の香りが鼻につく。
一〇メートルほど進むと、少しだけ広くなった。木の幹の中というよりは、トンネルと言った方がしっくりくるかもしれない。
「結構広い――お、出口だ」
「本当だ!」
滝を抜け、木の幹の穴を進んで、出た先は四方を岩壁に囲まれた不思議な空間だった。
柔らかな草花が咲き、中央には一本の木と小さな湖。小動物たちが水浴びをして、楽しそうにしているのが見える。
そしてその中心に、光り輝く何かがいた。
(あれは――何? 魔物、じゃ……ない?)
年のころで言うならば、六歳くらいの女の子だろうか。
頭の上に可愛らしい薄ピンクの丸い花が咲いている。花の化身の少女、というようなことばがしっくりくるかもしれない。
「あれは……光の妖精……!」
ロゼッタがじっと見つめていると、隣にいたレオがぽつりと呟いた。その言葉に、ロゼッタは目を大きく開く。
――あれが、妖精。
(いつか会ってみたいなんて思ってたけど、本当に会える日が来るなんて思ってもみなかった)
「って、俺も存在を聞いたことがあるだけで実物を見たことがあるわけじゃないんだ。でも、頭に大輪の花を咲かせ、慈愛に満ちている存在だ……って。住処も綺麗な草花のある場所だったはず」
「その条件にぴったり当てはまるね! それに、あんな綺麗な魔物は聞いたこともないよ。ドリアードだって、全然違う外見をしてるしね。何より、動物が近くにいるもん」
動物と魔物は相いれないので、近くにいることはまずない。よほど互いが無害だとわかっていなければ、同じ空間にはいないだろう。
魔物たちがここを執拗に狙っていたのは、きっと光の妖精を狙っていたからだろうとロゼッタは結論付ける。
ロゼッタが一歩踏み出すと、光の妖精がこちらに気づいた。あどけない笑みを浮かべた表情は、もしかしなくても世界一可愛いこの世の宝かもしれない。
(さすが光の精霊……可愛い、美しい……!!)
ロゼッタがメロメロになっていると、光の妖精の眉間に皺が寄った。
『――! 汚い黒髪のあなた、生きていたの?』
「はい?」
なんて?





