24:森で起きていること
ロゼッタがレオを連れて拠点にした場所へ戻ると、テントや朝食などはそのままもぬけの殻になっていた。
「探索に出た……にしても不自然だな」
「はい……」
レオは周囲の様子を見て、「それらしき気配はないから、遠くに行ったのかもしれない」と言う。
「間違いなく、異変……です、ルイたちが朝食を片付けずどこかへ行くわけないですから。お鍋にもスープが入ったままだし」
「争ったような形跡も、慌てたような感じもしないな」
ロゼッタはレオの言葉に頷いて、安易に逃げ出すべきではなかったと後悔する。自分がもっとみんなを信じ、あの場に残らなければいけなかったのに。
無意識の内にぐっと拳を握りしめると、レオが「大丈夫だ」とロゼッタに笑顔をみせた。
「俺が協力するって決めたんだから、なんとかしてみせるよ。仲間も一緒に探そう」
「レオ……ありがとうございます」
優しいレオに、ロゼッタは涙ぐむ。一人だったらどうすればいいかわからず、途方に暮れていたかもしれない。
ロゼッタは自分の頬をバチンと叩いて、気合を入れる。
「よし、絶対にみんなを探し出して――ここの異変も解決する!」
「ああ!」
***
ロゼッタがレオとルイスリーズたちの探索を始めたころ、ほかの生徒や教師たちも同様に大変なことが起こっていた。
「うわっ、どうなってるんだ! スライムって……もっと弱かっただろう!?」
「私が魔法で攻撃するから、それまでどうにか盾で防いでぇっ!!」
「――っ、【ヒール】!」
スライムとフラワーラビットをメインに戦闘の練習をしていたとある班は、初日こそ順調だったのだが……二日目になって突然、スライムの強さが増して苦戦を強いられていた。
こんなことは聞いたことがないと、そう叫びつつも必死でスライムと戦いながら後退していく。これ以上森の中へ行くのは無茶だ――と。
しかし、教師が監視をしているだろうに……この事態になっても一向に出てくる気配がない。
「先生たちはいったいどうしたんだよ! どう考えても、こんなの異常事態だろ!」
「――もしかしたら、先生たちにも何かあったのかも! 急いで森の外へ出ましょう!」
「ああ……っ!」
そして一方、教師たち。
「いったいどうなっているんだ、地理の把握がまったくできなくなっている……! 森の中の魔力が歪んでいる? こんなことは、ここ数十年の間に観測されていないというのに!!」
魔法を使って周囲を把握してみようにも、魔力の歪みでそれもままならない。しかも、先ほど現れたウルフは異様に強かった。
(私は倒すことができましたが……生徒たちには、かなり厳しいはずだ)
下手をしたら、怪我だけでは済まない事態になってしまうかもしれない。学園側として、そして子どもを守る大人として、それだけは絶対に避けなければいけない。
「くそ……精霊たちよ、どうか生徒たちをお守りください――」
自分の無力さに嘆いて、教師は精霊に生徒の無事を祈った。





