表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パーティーメンバーに婚約者の愚痴を言っていたら実は本人だった件  作者: ぷにちゃん
第二章 死亡フラグいっぱいゲームスタート!
38/67

8:実技試験3

 鍛錬場が先ほどよりもさらにしんとなり、まるで時が止まってしまったかのようだ。

 誰も言葉を発することができずに、ただただ穴の開いた壁を見つめることしかできないでいる。生徒はもちろん、教師でさえも。


 最初に動いたのは、ルイスリーズだ。


「ロゼッタ、実技試験お疲れ様」

「あ、ルイ――様!」


 ロゼッタをエスコートするように手を取り、教師の方を向く。すると、教師はハッとしてしどろもどろになりながら試験の結果を告げた。


「ええと、そうですね……その、ええ、大変すばらしい魔法だと思います。闇魔法であることが残念で――っ、ロゼッタさんは合格です」


 余計なことを言おうとした教師にルイスリーズが冷たい瞳を向けると、ひゅっと息を呑んですぐにロゼッタの合格を口にした。

 ルイスリーズは内心でため息をついて、学園の教師がこれでは国の未来が思いやられるなと考える。早急に、学園内の調査を進めた方がよさそうだ。



「え、何あの魔法……すごい威力!!」

「上級魔法じゃないのか?」

「でも、【ダークアロー】って初級魔法……? いや、闇属性だと何か違うのかもしれない!!」



 ルイスリーズがロゼッタの下へ来たということもあり、生徒たちの緊張が解け始め、思い思いのことを口にし始めた。

 どうやら闇属性だからといって忌避する人ばかりではないようだ。そのことに、ロゼッタはほっと胸を撫でおろす。


「よかったな、ロゼッタ」

「うん! ありがとう、ルイ様」


 ロゼッタは花がほころぶような笑みをルイスリーズに向ける。それにちょっとだけドキリとしたルイスリーズは、「コホン」と咳払いを一つ。


「だけどロゼッタ、あれは……やりすぎだ」

「あ……」


 ルイスリーズが指さし方向をひゅおぉ~と、開いてしまった穴から風が吹いている。教師たちは、穴の前で頭を抱えてしまっている。


 しかしロゼッタにも言い分はある。

 守りの魔法があるから遠慮なくやれと言ったのは教師だし、そもそも自分は初級魔法の【ダークアロー】だ。

 本当はもっと実力を見せたかったのに、一番弱い魔法を使ったのだ。それなのに、どうしてやりすぎと言われなければならないのか。


(……まあ、穴をあけたのは申し訳ないと思うけど)


 ロゼッタが無言で口を尖らせていると、ルイスリーズがやれやれと苦笑した。そのままロゼッタの頭にぽん、と手を乗せた。


「でもまあ、さすがはうちの火力だな」

「――! うんっ!」


 ルイスリーズの言葉に、ロゼッタは嬉しそうに笑顔を見せた。



 ***



「うわあぁ、すごい……! あんなに強い魔法は初めて見た!!」


 鍛錬場の隅で、ロゼッタの実技試験の様子を見て目をキラキラさせている女子生徒が一人。名前はプリム。何を隠そう――この乙女ゲームのヒロインだ。


「私も回復魔法が得意な方だからちょっと自信あったんだけど……そう思ってたことが恥ずかしい……っ」


 顔が熱いと、自分の手でぱたぱた扇ぐ。

 これからの学園生活がとても楽しみだと、プリムの心は弾んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『私、魔王。――なぜか勇者に溺愛されています。』コミカライズ連載中!
魔王を倒しに行った勇者が、魔王に一目惚れしてお持ち帰りしてしまうお話です。

コミカライズページはこちら

私、魔王。―なぜか勇者に溺愛されています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ