5:もうすぐ実技試験
「よーし、ここからは私の時間だ!!」
ドヤ顔のロゼッタは、スキップしそうな勢いで実技試験が行われる鍛錬場へ向かう。
「実技試験って、どんなことするんだろう?」
ロゼッタが後ろを歩くルイスリーズとカインに声をかけると、ルイスリーズが「そうだな……」と口を開く。
「基本的に、各自の戦闘スタイルに合った試験をするはずだ。私みたいに剣を使うのであれば、教師が相手になる。ロゼッタみたいに魔法がメインであれば、的が用意されているはずだ」
「なるほど~」
ルイスリーズの説明を聞いて、ロゼッタはふむふむと頷く。
(自分の得意分野を見てくれるっていうのは、いいね!)
もしこれで試験が持久走やら筋力やらを見ますと言われてしまったら、笑えない。ロゼッタは魔法の腕はぴか一だが、体力面ではダメダメなのだ。
しかし気合を入れているロゼッタを、ルイスリーズは心配そうな瞳で見つめる。
「闇魔法、使うのか?」
「……うん」
ルイスリーズの問いに、ロゼッタは力強く頷く。
この世界――というか一部の貴族は、闇属性を忌避している。そのため、ロゼッタも幼い頃は外へ出ることもできず、嫌な目を向けられていた。
けれど、冒険者になり――その認識は変わった。
闇属性の冒険者は多くはないが一定数いたし、ロゼッタが闇属性だと知っても、驚かれはするがあからさまに邪険にされるようなことはなかった。
ルイスリーズはロゼッタが闇属性であることを気遣ってくれているけれど、知っている人はロゼッタが闇属性だということは知っているのだ。
特に、情報収集に長けている上位貴族ほど。
なので、開き直ってウィッグを付けるのもやめている。
(でも、これはルイが私の味方でいてくれてるからできたんだよね)
恐らく一人だったら、ぼっちで桃色のウィッグをつけて隅で小さくなっていたはずだ。
そう考えると、ルイスリーズとカインが一緒にいてくれることのなんて心強いことか。思わず、じんわり涙がにじみそうだ。
(年を取るって怖い!)
まだ一六歳だろう何を言っているんだとツッコミが入るところだけれど、前世があるので今の倍以上の人生経験がある。
ロゼッタは大きく深呼吸をして、にっと笑う。
「ここはやっぱり大技でみんなの度肝を抜くべきでは……!」
「アホか! 一番弱い魔法にしておけ」
「ロゼッタ様、寝言は寝ていいなよ?」
「ひぇっ、わかってる、わかってるよ~!」
二人の圧がすごくて、ロゼッタは逃げるように鍛錬室まで走り出した。





