3:勉強は大切です
何事もなく入学式を終えたロゼッタたちは、三人集まって作戦会議だ。
しかしそう思っているのは、ロゼッタだけ。
「私はルイスリーズ様の従者なので、テストは受けますが自動的にルイスリーズ様と同じクラスになります」
――とは、カイン談。
「というか、そんなに難しいテストじゃないから問題はない」
――とは、ルイスリーズ談。
(え、テストのことで焦ってるのって私だけ?)
ロゼッタの背中を、嫌な汗がダラダラ流れる。
(ゲームでは全員一番上のAクラスだったんだよね)
つまり試験の成績が悪く、Bクラスになってしまったら笑えないのだ。もしロゼッタ一人だけBクラスになったら……と考えると、震える。
しかもロゼッタの場合、家で家庭教師から勉強を教えてもらっていたのは主に化身……たまにはちゃんと勉強していたけれど、不安は多い。
(ゲームのロゼッタは、家で勉強してたんだもんね……)
ルイスリーズは王太子だし、ロゼッタのように替え玉を使っていたわけではないので、本人が難しくないと言った通り学力だって問題ないだろう。
なんだかんだで、カインも勉強熱心なところがある。冒険者のことを始め、いろいろなことに詳しい常識人だ。
黙りこくってしまったロゼッタを、ルイスリーズが不思議そうな顔で見る。
「なんだ、入学式は終わったというのに……まだ緊張してるのか?」
「……テストが」
「テストは、そんなに難しいものは出ないはずだ。普段から家庭教師に習っているのだから――……」
そこまで言って、ルイスリーズはロゼッタは本当に勉強をしていたのか? という疑問が浮かぶ。
ルイスリーズは王太子の執務などを行っていた日もあったが、ロゼッタは毎日のように冒険者として狩りをしていた。
あ、こいつ全然勉強してないぞ――☆ という結論を出すには十分だった。
ルイスリーズは顔を青くして、隣にいるカインへ視線を向けた。カインも、同じように青い顔をしていた。
どうやら、二人とも考えていることは同じようだ。
「試験まで三〇分あるから、急いで復習をするぞ!」
「どこか空いている教室がないか探してくる」
「あ、ありがとううぅぅぅ」
ルイスリーズはすぐに時間を確認し、カインが勉強場所の確保へ走ってくれた。たかが三〇分だが、されど三〇分だ。
(悪役令嬢をするつもりはないけど、お馬鹿な公爵令嬢なんて嫌だよ~~!)
ロゼッタは頭を抱えて、叫びたくなる。
しかしそんなことをしたら、周囲から「やっぱり闇属性だからちょっとおかしいのかも……」なんて思われてしまうかもしれない。
「頑張る……!」
ぐっと拳を握って気合を入れると、ルイスリーズが頷いた。
「王太子の婚約者がBクラスなんて、恥もいいところだが――それよりなにより、闇属性だからと悪く言われて傷つくのはお前だ。絶対にAクラスになれ……!」
「……お、おう!」
「学園ではもう少しお淑やかに返事をしてくれ……」
勇ましいロゼッタの返事に、ルイスリーズはいろいろな意味で大変な学園生活になりそうだ――と、天を仰いだ。





